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コント集

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オチのない世界で僕らは一体何を語ればいいのだろう。
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もしも世界からうどんが消えたなら

 閉店ギリギリのはなまるうどんに入ってきた男と女は店の閑散とした光景に唖然としてしばし立…

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退職届

拝啓  ゴールデンウィーク中のところ失礼します。突然ですが、私須玖八女類は五月をもちまし…

秋(空き)時間
15時間前
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計算づくのジ・エンド

 何もかもが計算づくのようだった。彼女の企みは三流小説のようにプロットが丸見えだった。レ…

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桜とうどんの相乗効果

 皆さん、お久しぶりです。雉を世話していたせいで、記事を書くのをおろそかにしていました。…

秋(空き)時間
2週間前
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ひとちがい

 三連休の大阪。ここはなんば駅の高島屋前。緊張で震えながらアコースティックギターを手に歌…

秋(空き)時間
3週間前
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涙の初任給

 四月から五月になり、初めて尽くしの世界で働いた成果がもらえる日が近づいてきた。  ぼく…

秋(空き)時間
3週間前
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文学の授業『人間失格』

 今、国語教師史岳守は現代文の授業で太宰治の『人間失格』について語っていた。史岳は元々文学青年でしかも今授業で扱っている太宰治の愛読者であった。俺は太宰なしじゃ生きていけないとは彼から聞かない日は一日もないだろう。実際に彼は付き合った女たちにも太宰治を読むことを強制していた。彼は女たちが太宰を呼んでいるか試すために抜き打ちテストまでした。そこで90点以上なら合格で交際を続行。90点以下なら即刻別れた。そんな男だから当然生徒たちにも朝礼と終礼には抜き打ちで太宰テストを行った。こ

旅立ち 〜心にうどんを抱きしめて

 四国の山中にあるとある駅。そこから今私は旅立とうとしている。行先は東京だ。東京に進学す…

秋(空き)時間
1か月前
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カリスマ指揮者朝ドラに出る!

 我らがカリスマ指揮者は常に忙しい。フォルテシモで名高い指揮者大振拓人は二十代にして自ら…

秋(空き)時間
1か月前
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愛が終わる時

 大切なものが一瞬にして壊れてしまう過程をこの目で見た。結婚から数年たったあの日に起きた…

秋(空き)時間
1か月前
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有名になるために今できる事

 とある俳優養成所ニ回生の高松紀夫は怯えたり、びっくりするシーンがなかなか上手く、教官の…

秋(空き)時間
1か月前
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物を書くこと

 物を書く行為は果実を絞るようにも、鉛筆の先端をミリ単位で削るようにも喩えられる。それは…

秋(空き)時間
1か月前
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恋に恋する乙女たち

 春は恋の季節だという。氷が溶けるように、熊が冬眠から覚めるように、花が咲くように人は恋…

秋(空き)時間
1か月前
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言語は文明を作る

 我らが友権後道男は人文学最大の天才であった。権後は小学生であらゆる国の言語をマスターし、中学を卒業するまでには世界の名著名作をほとんど読み尽くしていた。だが、それゆえなのか権後は高校に入った頃には人文学そのものを軽蔑するようになってしまった。権後はプラトンやソポクレスから大江健三郎に至るまでの古今東西の人文学の偉人たちを無能と罵った。彼によればそれはこれら偉人たちが自分の言葉を作らず、ただ自らの属する共同体の言語でものを書いたからだである。学生の時権後はジェイムス・ジョイス