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短編小説『私はネコ』
今日はネコの日だったと聞いたので、取り急ぎ、体裁だけ整えて。
未完成のような気がするので、今後、訂正することがあるかもしれません。
冗談のつもりで楽しんでもらえたら幸いです。
『私はネコ』
うちには、人間が一人いる。
始終、泣いたり笑ったり、忙しない生き物だ。
しかし、いつも私の食事の面倒など見てくれて、悪い奴ではないようだ。
冷たい窓際でうっかりうたた寝をしてしまい、どうにも腹の調子
短編小説『ある通信会社クマ社員のふつうの1日』
午前
ぼくがこの小さな星のき地にやってきて、4ヶ月になる。
今日もおだやかなピアノが歌って、ぼくをゆり起こしに来る。いつものように窓のブラインドが開いて、光を部屋にさし入れる。
この星で朝と夜を分けるものは、この音とブラインドの開け閉めだ。ここの太陽は、地球の太陽より、赤みがかって大きくて、光はちょっと弱々しい。そして、オレンジ色の気球がと中でのぼるのをあきらめたみたいに、じっと空の真上には
お知らせ あるいは 覚え書き
私の書き物を読んでくださっている方々、本当にありがとうございます。
自分の表現したものが人目に触れることには不安もありつつも、アクセスやボタンを押して評価をいただくと、ひとしお嬉しいものなんだなと実感しています。
あくまで趣味として、遊びとして書いているにすぎないはずなのに、気がつけば、思う以上にやっきになっていて、一人前にも、もっともっとすごいものを書こうとか、できるだけよく見せようと欲深
クリスマス小説『きっと君は来ない』
『きっと君は来ない』
正直、恋とか愛とかって下らないと思う。
クリスマスって、そういうバカバカしい欲望をいやに美しく飾り立てただけのもんだろう。
盗人の目をした巨大広告の微笑みのもと、何も知らないふりをしてはしゃぐ恋人たちが群れ歩いている。どんなに浮かれ騒いだって、その愛とかなんとかいうのものは春の雪より儚くて、遅かれ早かれ、思うより美しくなれない現実に気づかされて、失望するか、見ないふり
『タルトタタンの憂鬱』(米津玄師『メランコリーキッチン』より)
『タルトタタンの憂鬱』
選択というものはいつも微妙なものだ。
正しい選択と間違った選択、いい選択と悪い選択というものがあることは明白だ。
しかし、肝心の選択は、自由という名のもとに我々の前に投げ出されているし、その良し悪しというのは、結果を見るまで本当には知りえない。振り返ってみて初めて、ひどく間違った選択を後悔しても、結果はもはや変えようもない。なぜなら、結果こそが、その選択の正誤を