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詩『馬』



馬が向こうからやってくる気配がする

獣臭い息を切らして 体毛は汗に湿り

重い蹄の音が頭蓋の奥を叩く

ありがたくないことになるのは分かっている

その馬は私を乗せるのを嫌がって身震いする

そのくせ何かを期待して後をついてきては

言い知れない要求を鼻面で訴えてくる

なだめても 餌をやっても

その要求を満たすことはできない

ただただ私を小突き回すことだけが

生きがいであるように

満足という言葉は遠い

ひたむきと言える執拗さで

私にはないものを私から引き出そうとして

私ではないものに私がならないことに苛立つ

そんな生き物が向こうからやってくる気配で

私は目を覚ます


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