#私の仕事
ハードボイルド書店員日記【192】
<いずれにせよ>
荻窪にある本屋Titleの店主・辻山良雄さんが書いた「しぶとい十人の本屋」(朝日出版社)が売れた。購入したのは眼鏡をかけた女性。
Titleは私にとって理想的な本屋のひとつだ。思わず話し掛けようとし、カウンターへ置かれたもう一冊に気づく。寄藤文平さんの本。「しぶとい~」の装丁は彼と垣内晴さんの仕事である。
本を買う目的や理由はひとつじゃなくていい。いずれにせよありがとうございま
「全国チェーン」「街の書店」「コミュニティ」
6月14日にオープンした「八重洲ブックセンター グランスタ八重洲店」へ行ってきました。
JR東京駅で降りるのは久し振り。「八重洲地下中央口」を出たら「ゴディバ」や「ゴンチャ」のある方へ向かい「ゴンチャ」の横を通って右折すると右手に見えてきます。他にも「中央口」という名の付く改札があるので注意してください。
同じような広さの他店と比べ、コミックが少な目でした。場所柄や客層に合わせたのでしょうか。
イチ書店員が「町で唯一の本屋」に思うこと
嬉しいニュースです。
北海道・南西部の白老町(しらおいちょう)に、町の本屋「またたび文庫」がオープンしました。同町に本屋ができるのは30年ぶりらしいです(5年前までは文具店が一部書籍を扱っていたとか)。
↑いわく「話題の小説など新刊約800冊を扱い、学術書などの専門書や児童書、実用書の古書も約1000冊置く」とのこと。町で唯一の本屋だから、あらゆるジャンルをひと通り押さえている感じでしょうか。
「連休明けのだるい自分」にオススメの一冊
GWも終盤ですね。
前半に3連休、そして3日間の平日を挟んで4連休。これぐらいがバランス的にちょうどいいかもしれません。
大型連休明けに元のスケジュールへ戻って動くことは、連日稼動し続けるのとは違ったしんどさを伴います。
年中無休の書店で働く身です。しかし営業マン時代は、年末年始に1週間弱のお休みがありました。年明け最初の朝礼で社訓を叫んだら声がガラガラ。驚きました。毎日やっている時は平気だ
本好き&本屋好き&書店員にオススメの「ほぼ哲学書」
暇な時間にレジで同僚と話をします。
基本的には本に関することだけ。ちょっとした一言が選書や仕事への取り組み方を見直すヒントに繋がります。
数年前、純文学好きの同僚と某作家の話をしました。好きだけど「面白い?」と訊かれて「面白い」と返せる本ではない。不遜にもそう伝えたら、彼は軽く笑ってこう返しました。
「それが文学のいいところじゃないですか?」
たとえばある書籍が「さほど売れそうにない」と評
私の職場は「気骨ある書店」ではないかもしれないけど
入荷したのを見て「読みたい」と思いました。
「本屋のない人生なんて」というド直球なタイトルが潔い。出版社は光文社で定価は税込2090円、著者は「真夜中の陽だまり ルポ・夜間保育園」で知られる三宅玲子さんです。
「北海道から九州まで、全国の気骨ある書店を訪ね歩いたノンフィクション」とのこと。
登場している11店のラインナップを見て、一気にテンションが上がりました。「本屋Title」は、行くたび
「現場を大事に」と「経営者目線」を併せ持ちたい
考えるヒントをいただきました。
大阪と佐賀で書店を経営する直木賞作家・今村翔吾さんのインタビューです。次は神保町でシェア型書店の1号店をオープンするとか。
最も驚いたのは「取次を変えると在庫を清算し、現金に換えることができる」というくだり。恥ずかしながら知りませんでした。
一方で「在庫管理が難しい」「気がついたら大赤字を食らっている」は末端の非正規雇用である私にも理解できます。
在庫は抱え
ハードボイルド書店員日記【176】
「ピーターラビットの500円を5枚、1000円を3枚。1枚ずつ包装ね」
図書カードがやけに売れる月末の昼。今度はサングラスをかけた常連の老紳士だ。レジを打とうとしたら「あと1500円を7枚」と言われた。
「1500円のものはございませんが」
「知ってる。だから1000円と500円を1枚ずつで7組」
ならば「1000円を10枚、500円を12枚」と伝えてくれる方が助かる。組み合わせは包む段階で教え
「歴史から学ぶ意義」を実感させてくれた一作
歴史が好きです。
学ぶ過程で得られた諸々を、仕事やプライベートへ落とし込んでいます。
いま思うと、学生時代は「歴史=暗記」みたいな風潮が強かったです。歴史に限らず? テストでいい点を取るためにとにかく記憶する。試験が終わったら忘れる。親も教師も成績さえ良ければ何も言わない。
人生のある局面では、理屈抜きで覚える作業も必要でしょう。
しかし取り込んだ情報をいかに活用するか、が本来の学ぶ意義の
「一番自分を評価してくれた人」の思い出
4年前。
いまの職場に来てしばらくは棚を任されず、雑誌の手伝いをしていました。正直「またか」です。最初に入った書店で長く雑誌担当を務めたせいか、以後の職場でも「じゃあやって」となるケースが多かったのです。
しかしある日、店長に「雑誌をやらせるつもりはないから」と告げられました。そしてビジネス書や専門書の棚を作るコツをイチから教えてくれたのです。時間をかけてじっくりと。
同僚の非正規に「ここは
イチ非正規従業員が「書店のゴミ捨て」に思うこと
有益な情報です。助かりました。
書店で働いているとダンボールに触らない日はまずありません。そして文具や雑貨類、備品などが入った大型の箱にはしばしば太い金属が付いている。いままではどうにか外していました。
複数の紙を留めたホッチキスの針についても言及されています。「リサイクル工程の分離機で取り除けます」「古紙の再生紙工程の邪魔にはならない」とのこと。気がラクになりました。
お笑いコンビ・マシン
「多様なニーズに応える」と「好き」は共存可
こういう記事を読むと刺激を受けます。
「佐賀之書店」をご存知ですか?
直木賞作家・今村翔吾さんがオーナーを、カリスマ書店員・本間悠さんが店長を務める本屋です。昨年12月にJR佐賀駅の構内にオープンしました。
本間さんの講演も記事になっています。
「いつでもそこにある“駅の本屋”であり続けたい」
「多彩なジャンルの本を満遍なく置く」
素晴らしい。
お店の画像や動画を見て、セレクト系ではな
「閉店=終わり」とは限らない
素晴らしい。
阿佐ヶ谷で40年以上営業してきた街の本屋「書楽」が1月31日に閉店しました。しかし跡地で八重洲ブックセンターが新たに開店するそうです。2月10日オープンとのこと。
何より感銘を受けたのは「本屋で働いている従業員のうち希望した人は継続して勤務するそうです」のくだり。前にも書きましたが、駅前再開発に伴う閉店で職を失った経験があります。すぐ近くで新規店がオープンするにもかかわらず非正規
ハードボイルド書店員日記【170】
文庫のミステリィフェアが始まった。
国内外の約20点。基本的には担当のセレクションだが、他の人の案も活かされている。選んだ人の作ったPOPが付されているのもポイントだ。
「ちょっといい?」巡回でフェア台の横を通った際、中年の男性に声を掛けられた。「いらっしゃいませ」「これはおかしいよ」右手人差し指の先を追う。新潮文庫「カラマーゾフの兄弟」だ。全3巻でいずれも600ページ超。誰の選書かは述べるま