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コンテスト・お題企画参加作品

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noteのコンテスト・お題企画への参加作品たち
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祖母がくれた褒め言葉

祖母がくれた褒め言葉

あれは6年前の初夏のこと。米寿を迎えた祖母に会いに行こうと、久しぶりに母方の実家へ家族で遊びに行った。父は家で犬猫の面倒を見るため一人お留守番で、行き帰りの道中は母と姉と妹と私、女4人のプチ旅行となった。

ざっくり分けると、家族の中で私と父は基本的にはマイペースなおっとりタイプで、あとの3人はおしゃべり好きなちゃきちゃきタイプだ。性格は違えど、一時期は毎年あちこち姉妹で旅行に行っていたくらい姉妹

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心が潤う、癒やしの曲たち

心が潤う、癒やしの曲たち

はじめに「#スキな3曲を熱く語る 」というお題企画を知り、これは参加したい!と久しぶりにnoteを書きたくなった。

去年から始まったこのコロナ禍で私の中で大きく変わったことは、聴く音楽の幅が今までよりぐっと広がって、今まで以上に音楽を楽しむようになったことだと思う。今回はそんな音楽の聴き方が変わるきっかけを最初にくれたギタリストの関口シンゴさんを軸に3曲を選んでみることにした。

ちなみに曲を紹

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初めて一人で映画館に行った日。「まともじゃないのは君も一緒」鑑賞記録

初めて一人で映画館に行った日。「まともじゃないのは君も一緒」鑑賞記録

◆「まときみ」との出会い私にとって映画館という場所は必ず誰かと一緒に行く所だった。同じ鑑賞系でもライブにはほぼ一人でしか行かないけれど、映画だけは家族や恋人と見に行くことがほとんで、一人ででも映画館に足を運んで映画を見たい、と思ったことが実は一度もなかった。つい先日までは。

4月3日(土)に映画「まともじゃないのは君も一緒」(略して「まときみ」)を見に行った。この日は一人でではなく、いつものよう

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言葉を大切にすること

言葉を大切にすること

◆はじめに「#自分にとって大切なこと」というテーマで真っ先に浮かんだのは「言葉を大切にする」ということだ。その「大切にする」を具体的に言うと大きく分けて3つある。

1. 他人の言葉で満足せず自分で言語化すること。
2. 言葉の暴力性を忘れずに、心に誠実な言葉を紡ぐこと。
3. 目の前の言葉に自覚的であること。

どういうことなのか、1つずつ詳しく書いてみたい。どれも私にとって本当に大切なことだ。

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偶然の先にある未来

偶然の先にある未来

大学時代、気の合う男友達がいた。出会った当初の私たちはちっとも仲よくなりそうな気配なんかなかったのに、いつからか距離が縮まり、何かのきっかけで夜の暇な時間に電話でもしゃべるようになり、そのうち2人でごはんに行くようにもなった。女と男ではあるけれど色っぽい空気など一切なくて、ただ2人で話しているのがやけに楽しい、という感覚を共有していることはお互いに分かっていた。

彼は私より先に二十歳になり、酔う

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今の私につながる部屋

今の私につながる部屋

初めての1人暮らしが始まった日の朝のことを、昨日のことのように覚えている。

目が覚めると、まだ見慣れない天井と、日に透けた黄色いカーテンが視界に入った。ベッドに入ったまま右を向くと南向きの大きな窓があり、その薄い黄色のカーテン越しに、朝の光が柔らかく揺れていた。それを見て、自然と口元がほころぶ。

足元のテレビラック、部屋の中央のローテーブル、壁際の小ぶりの本棚。その1つ1つを、少しぎこちない距

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「秘密の質問」の「母親の旧姓は?」という項目に凝縮されているもの

「秘密の質問」の「母親の旧姓は?」という項目に凝縮されているもの

1.「よそはよそ、うちはうち」の感覚がプラスの意味で社会に浸透してほしい「よそはよそ、うちはうち」

小さいころ、親からこの言葉を言われた人は結構いるんじゃないかな、と思う。

「Aちゃんちは毎年家族旅行に行くんだって。いいなー」
「みんな毎月おこづかいもらってるのに、何でうちはないの?」

こういうおねだり系のことを親に言った時に、「よそはよそ、うちはうち」というひと言で一蹴されたことは、私も子

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下界の彼と仲直りした、旅路の夜

下界の彼と仲直りした、旅路の夜

「もしもし、今どこ?」

気まずそうな恋人の声。呼び鈴を押しても出ないから、電話をしてきたのだろう。

黒い空に輝く月と白い雲を近くに感じながら、私は努めてシンプルに答えた。

「富士山、の5合目」

「は!?」

予想どおりの反応に、思わず小さく笑ってしまう。

私と彼はケンカ中だった。

その夜、私は彼に何も言わず、勢いで女友達と富士山に来ていた。勢いと言っても、装備や下調べは万全だ。少し前に

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『私はロボットではありません』

『私はロボットではありません』

唐突にその言葉がパソコン画面に現れたのは、納期に追われてものすごい勢いで調べ物をしていたときのことだった。

Google Chromeのタブをいくつも開き、キーワードとなる英語を次々と組み合わせて調べていく。文字どおり手を休めることなく動かし続けていたそのとき、それは現れた。

『私はロボットではありません』

通常と異なるトラフィックが検出されました、という文言と共に、ロボットではないこと

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姉とヨーグルト

姉とヨーグルト

ヨーグルトと言えば、思い出すのは姉のことだ。あまり意識したことはなかったけれど、思えば昔から、姉はよくヨーグルトを食べていた。

私には姉と妹がいる。大人になった今でこそ、姉妹で旅行に出かけたり仲よくしているけれど、小さいころはよくケンカもした。それでも、昔からおやつだけは仲よく一緒に食べてきた記憶がある。

小学校低学年くらいまでは、母が2~3種類のおやつを少しずつ均等に、色違いのプラスチック製

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自分なりの「クリエイティブ」とコンテスト入賞 #noteでよかったこと

自分なりの「クリエイティブ」とコンテスト入賞 #noteでよかったこと

まえがき ~noteの印象~noteならではの特徴って何だろう、と考えてみた時に、否定的かつ一方的なコメントが付いている記事を見たことがないな、と思った。私の見ている範囲ではほとんどないと思うのだけど、どうだろうか。

他人の投稿のコメント欄に、思いの詰まった素敵な感想を残してくれる人はいても、本文と関係ない独り言みたいな個人の見解をダラダラと述べるような人は圧倒的に少ない気がする。それだけで、n

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就活で「会社選び」に終始していた私は、社会人になってから「生き方選び」をし直した

就活で「会社選び」に終始していた私は、社会人になってから「生き方選び」をし直した

1.就職活動の波にのまれてふと気づけば周りは就職活動を始めていた。

あの時、私は訳の分からぬまま大きな波にのまれ、とにかく周りと同じように「就活」を始めなければという焦りに突き動かされていたと思う。「大学卒業後に働く会社」を早く選ばなければと焦っていた。

その時点で、自分が選択肢を狭めていることにも気づかずに。

就活にはだいぶ苦労した。自分が何をしたいのか、全く分からなかったからだ。

正確

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素直になれること、甘えられること

素直になれること、甘えられること

小さいころ、私は甘えられない子どもだった。

三姉妹の真ん中。おしゃべりな姉に、愛嬌たっぷりの妹。家族の中で私はなんとなく「冷静、沈着、勤勉」なキャラに定着していった。

高校生のころ、家族で知り合いがやっているお店に夜ごはんを食べに行った。そこのおかみさんが手相を見られるというので、みんな代わる代わる見てもらうことに。

私の番が来た。当時、高校卒業後の進路に留学という道も少し夢見ていたので、そ

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魔法の手

魔法の手

私は本物の魔法使いを知っている。

今まで、それっぽい人に出会っては、細かいところに目をつぶって「まあこんなものかな」と納得したり、最悪の場合、そのインチキ具合にがっかりしたりしてきた。

何より、そもそも魔法使いなんてこの世にいるはずがないんだし、しかたがないか…と半ば諦めていたのだ。

彼と出会うまでは。

*****

その魔法使いの彼は、都内のとある美容室で店長をしている。

引っ越しを機

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