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各話URL集『 恋しい彼の忘れ方』
「恋しい彼の忘れ方」 1〜14話 第1話 再会 https://note.com/haru_s2/n/nd2d75a61c65a?sub_rt=share_b 第2話 色情 第3話 感性 第4話 光明https://note.com/h…
各話URL集『 恋しい彼の忘れ方』
「恋しい彼の忘れ方」 1〜14話
第1話 再会
https://note.com/haru_s2/n/nd2d75a61c65a?sub_rt=share_b
第2話 色情
第3話 感性
第4話 光明https://note.com/haru_s2/n/nb5645255900f
第5話 廻想https://note.com/haru_s2/n/n128d7e1c4a38
第6話 出
【恋愛小説】 恋しい彼の忘れ方⑭【創作大賞2024・応募作品】
「恋しい彼の忘れ方」 第14話 -創造-
(最終話)
向暑の候、ある日の夕方、お母さんが家に来た。
「ほら、子供らーの服持ってきたから見てみなよ。」
「はいよー。ありがとう。」
ゆるく返事をする。私は夕食に向けて机の上の荷物をどかしながら、息子にミルクをあげていた。
お母さんがいつもの口調で言う。
「そんな何かやりながらミルクあげててー。オレは、目みながら、話
【恋愛小説】 恋しい彼の忘れ方⑬【創作大賞2024・応募作品】
「恋しい彼の忘れ方」 第13話 -統合-
新緑の侯、私は有紀先生に、こんな連絡をした。
「先生、こんにちは。
ちょっと自分で気になっていることがあって、連絡しました。
それは、『自分軸』がしっかりしていない、というところです。
他者の言動に左右される自分や、他者の目線を気にする自分を感じており、これは、母親との幼少期の関係が原因なのかな?と気になっています。
だいぶ、母親のことは認められている
【恋愛小説】 恋しい彼の忘れ方⑪【創作大賞2024・応募作品】
「恋しい彼の忘れ方」 第11話 -決意-
5月初旬の朝。
賢人が、ハァハァ息を切らし、腕で汗を拭いながら玄関からリビングへと入ってきた。額につけたバンドや、服が汗でじっとりと濡れ、重力が増している。
そのまま洗面台の方へ向かい、脇に置いてある洗濯機に、脱いだ服を荒々しく放り込む。
私は、リビングのイスに座って本を読みながら、声をかけた。
「今日は外、暑かったー?」
「え?あぁ、そんなにはね。
【恋愛小説】 恋しい彼の忘れ方⑩【創作大賞2024・応募作品】
「恋しい彼の忘れ方」 第10話 -法則-
私は、マリさんに話してみようと口を開いた。勿論、大輝への想いだ。今回の海東くんのお陰で、「恋愛への罪悪感」は薄らいだが、まだ私は大輝への想いを抱いており、それをどこに向かわせたらよいかが分からなかった──。
マリさんは、私の話を聞くと、神妙な面持ちでこう言った。
「葵ちゃん、"因果応報"って知ってる?"原因と結果の法則"とも言う。
火遊びしたいなら、
【恋愛小説】 恋しい彼の忘れ方⑧【創作大賞2024・応募作】
「恋しい彼の忘れ方」 第8話 -純真-
この時、私は愛ちゃんを園に迎えにいく途中であった。車を運転しながら、先日のことを思い返していた。
私は、マリさんに、泣きながら「母に愛されたかった」「自分を愛したかった」と話し、そを聞いてもらって、心の中の暖かさを見出すことができた──。
これはとても大きな感覚で、私の心の中に、ふわふわの綿をギュッと入れて貰えたような、丁度いい湯加減の温泉にゆったりと浸
【恋愛小説】 恋しい彼の忘れ方⑥【創作大賞2024・応募作】
「恋しい彼の忘れ方」 第6話 -出産-
出産月のある日、妊婦健診を終え、一人お店に入った。そこは、地元の農産物を使った、ヘルシーなお料理が人気の古民家カフェ。大きなお腹で、しばらくは味わえないだろうと思い、この日初めて足を運んでみた。
野菜やメインのハンバーグが、彩りよく並べられているランチメニューを頼む。私は、どちらかと言うと、一品料理よりも、複数の味を楽しめる寄せ寄せプレートが好みだ。
そ
【恋愛小説】 恋しい彼の忘れ方④【創作大賞2024・応募作】
「恋しい彼の忘れ方」 第4話 -光明-
有紀先生のセッション当日。
私の胸の中は薄曇りであった。
自分の中の、ずっと見ないようにしてきたものに、目を向ける瞬間の抵抗。
例えるなら、ザラザラな#70の紙やすりに、手指の腹を当てて、ゆっくり押し付けながら伝わせるような鈍い痛み。
もう皮膚はぼろぼろなのに、削り続けて、それでもハンドクリームを塗って、見た目をごまかし続けていた。それが、もう、血がにじ