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トイプードルのミシン屋さん / 短い物語 #1
お月さまが目をつむり、
お星さまがにこにこ歌う
その先になり響く ミシンの音
ずずずずず うぃーんうぃーんうぃーん
暗い夜もお月さまに照らされて、
お星さまのきらきらの歌声に心がおどり、
今日もトイプードルのぽぉはミシンとリズムを刻む
ずずずずず うぃーんうぃーんうぃーん
はい 完成
ちょっきん
できた できた ぽぉの手づくりハンカチ
たくさん作ったぽぉの手づくりハンカチ
気づけばお月さまも
あわいむらさき / 詩#25
あたまの中が濃い色であふれる
考えすぎていろんな色がまじりあっている
どれもこれもが主張している
本当はどの色も大事なんだ
わかってるよ
でもね、
疲れたときのあたまの中はどの色も綺麗にみえないの
疲れた疲れた
疲れはこわい
そう思ってた
そんなとき、
あわいむらさきがすっーってやってきた
優しい色がやってきた
あたまの中のたくさんの色が一気にあわい色になる
それがなんとも綺麗だった
過ぎ行
たどりつく場所 / 詩#24
わたしの身体はわたしにしかわからない
と、思ってた
それは逆だった
わたしの身体はわたしが一番よくわかってあげられていないのかもしれない
すべてをまかせる
身体も心も無に
ありのままの自分で目を閉じる
疲れも痛みもすべてまかせる
何も考えずに心を無にしてその時だけの癒しを感じる
そしたらね、
この非日常空間で大切なことに気づかされる
本当に痛かった場所は自分が思っていたところとは別だったって
こぼれたコーヒー / 詩#21
マグカップにお砂糖とコーヒーを少々
お湯を注いでスプーンでくるくるっと
最近飲めるようになったコーヒーを作る
カレンデュラ色のマグの中
黒濃くまわるコーヒー
ふわふわっとやってくるいい香り
そうっと
そうっと
机に置いたのに
こぼれたコーヒー
黒濃くじわじわ広がるコーヒー
あぁ、やっちゃったと思いつつ
なんだかちょっと嬉しい
だって
わたしがコーヒーをこぼすなんてね
ちょっと前までは飲めな
子どもだけの長靴の世界 /詩 #18
今日は雨が降っていたから、息子は長靴を履いた
長靴を履いたら天下無敵のように水溜まりへ飛びこんだ
大人は水溜まりを汚れていて汚ないと思う
水溜まりにはまって濡れると嫌な思いしかしない
茶色で泥水で服も靴も汚れる
大人の目にはマイナスでしか映らない
好き好んでわざわざ水溜まりにダイブなんて絶対ない
だけど長靴を履いた子どもは違う
靴だと禁止令が出ちゃうからやめようと思っていたことが、長靴だと許さ