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カラスと呼ばれる少年と砂嵐の話。

ある場合において

”運命”というのは

絶え間なく進行方向を変える

局地的な砂嵐に似ている。




君はそれを避けようとして
何度も足どりを変える。


そうすると、
嵐も君に合わせて
足どりを変える。


君はもう一度足どりを変える。


すると砂嵐もまた同じように
足どりを変える。


何度でも、何度でも。


まるで夜明け前に死神と踊る
不吉なダンスのように


それが繰り返される。



なぜかといえば、

その嵐はどこか遠くからやってきた
”無関係な何か”じゃないからだ。



そいつはつまり、君自身のこと。



君の中にある”何か”





だから君にできることといえば



諦めてその嵐の中に
真っ直ぐ足を踏み入れて、
砂が入らないように
目と耳をしっかり塞いで
一歩一歩通り抜けていくことだけだ。


そこにはおそらく太陽もなく、
月もなく、
方向もなく、
ある場合には真っ当な時間さえない。

そこには骨を砕いたような
白い細かい砂が
空高く舞っているだけ。

そういう砂嵐を想像するんだ。





そしてもちろん、
君は実際にそいつを
くぐり抜けることになる。


その激しい砂嵐を。


そしてその砂嵐が終わった時、
どうやって自分がそいつを
くぐり抜けて
生き延びることが出来たのか、
君にはよく理解できないはずだ。



いや本当にそいつが
去ってしまったのかどうかも
確かじゃない。

でもひとつだけ
はっきりしていることがある。


それは


その嵐から出てきた君は、

そこに足を踏み入れた時の

君じゃないっていうこと。


それが砂嵐というものの意味なんだ。








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