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皆様の執筆された心に留めたいnote記事を集めさせて頂いております。 素晴らしい作品に感謝です。
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【書評】市川沙央「異世界転生は殖民論の夢をみる――『大転生時代論』」【全文公開!】

【書評】市川沙央「異世界転生は殖民論の夢をみる――『大転生時代論』」【全文公開!】

『ハンチバック』で衝撃のデビューを飾る以前は、20年にわたってライトノベルを中心に小説投稿を続けてきた市川沙央が、異世界転生×本格ポスト・ヒューマンSFの島田雅彦の新作『大転生時代』を読む。

◆◆◆

 世はまさに、大転生時代である。

 大型トラックに轢かれて異世界に転生し、電車にはねられて異世界に転生し、通り魔に刺殺されて異世界に転生し、頭を打ったり、病気になったり、過労死したり、はたまた特

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「真っ暗な中でキャッチボール」を想像できるか、という話。

「真っ暗な中でキャッチボール」を想像できるか、という話。

先日、とある目的から小学校を訪問した。

入口に立つ警備員に挨拶をして正門を抜けると一年生が校庭でボール投げをしていた。

真上にボールを投げて、ボールが上がっている間に「いちにさんし」と手を叩く。そしてボールをキャッチ……できない(笑) 
頭に受けたり、肩に当たって弾き飛ばしたりしてキャッキャしている。そんな彼らの笑顔は天使のよう。

校舎に入り、各学年のフロアを覗く。

オープンな造りで、教室

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「論文を信じてはいけない」は、誰が言ったかで意味が変わるという話

「論文を信じてはいけない」は、誰が言ったかで意味が変わるという話

「誰が言ったかより何を言ったかが大切だ」と言い続けている私ですが、一字一句が同じ台詞でも、誰が言ったかによってまるで違う意味になることはあります。その一つが「論文を信じてはいけない」という台詞です。

陰謀論者の「論文を信じてはいけない」は…
 論文は半分以上が嘘です。論文なんて研究費や薬の売上が欲しい人達や目立ちたい、出世したい人が我欲で書いているだけだから、論文にはほとんど価値はないです。それ

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0-100(ゼロヒャク)思考について【パーソナリティ障害当事者だより】

0-100(ゼロヒャク)思考について【パーソナリティ障害当事者だより】

 現在、仕事がある日とない日の差が激しい。働き詰めで自分の傷を見ないようにしながら走ってきた身としては、このゆるやかなペースと環境は大変ありがたいはずが、暇すぎるとなぜかパニックと0-100思考(白黒思考)に陥り大変苦しいという悪循環がある。そこで今日は気持ちを整理してみようと思う。



 当方、境界性パーソナリティ障害(いわゆるボーダー)であり、最近はその病気の特徴である「気分の上がり下がり

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『また猫と 猫の挽歌集』あとがき

『また猫と 猫の挽歌集』あとがき

世界猫の日で、かつ企画編集で携わっていただいたキャッツミャウブックスの7周年の日でもあるので、編集部の許可を得て、『また猫と 猫の挽歌集』(雷鳥社)のあとがきを全文掲載いたします。

まったくネタバレのないあとがきなので、安心してお読みください。

著者(仁尾智)あとがき      

 生きていくことの傍ら、猫を保護したり、保護した猫の里親さんを探したり、ときには子猫の一時預かりのボランティアを

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「好きな作家がSNSやってないと不安になる」 〜「作品と作者は別」論について

「好きな作家がSNSやってないと不安になる」 〜「作品と作者は別」論について

 あたいの友達に、互いにスタンスが近かったり遠かったりするものの、飽きもせずに何年もずっと長いことつるんでいて、政治やSNSやジェンダーや社会のことについて議論できたり、いろんな思ってることをブレインストーミングのようにつらつらと言い合える心理的安全性の高いダチがいる。

 その子は、元々はあたいがゲイバーで働いていた時に飲みに来ていたお客さんだったんだけど、歳も近く、酒の飲み方(ペースとか)も似

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[ブログ] お祝いイラストをいただきました!🌞

[ブログ] お祝いイラストをいただきました!🌞

先日、Twitterでフォロワーの福介さんからお祝いイラストをもらいました!

実にかわいいですね~😊嬉しいですね~😊福介さんは、漫画家デビューを目指す高校生です。なんとこのコンテストでも準グランプリに入賞しています。

そんな若い方がこのオッチャンの漫画をこんなに気に入ってくれるなんて、ビックリですよね。しかも見れば見るほど、私の今までの漫画をよく読んでくれている事に気づくんです。キャラクタ

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『創作大賞2024応募作』を投稿する前に。

『創作大賞2024応募作』を投稿する前に。

創作大賞用の小説が順調に二万字を超えたのでひとまず小説の舞台になる街を訪問します。

今回の舞台は我が青春の街、吉祥寺です。

などなど。小説の舞台となる街の様子を撮ってきました。

滞在できる時間は二時間。とりあえず歩き回りました。

今日はよく晴れて非常に暑いです。

残り一時間。
くぐつ草も行きたかったけれど、今回はこちらでランチ。

10代、20代を過ごした街を舞台に書くのはとても楽しいで

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〝推し〟の声が出なくなった。

〝推し〟の声が出なくなった。

推しの声が出なくなった。

不調が出始めたのは、コロナで世の中が混乱するよりも前だったと思う。

声が出なくなる少し前、推しは肺腺がんを患った。
その時も、ヴォーカリストである彼は、どれだけの不安を抱えただろう。

2019年。わたしの推しバンドは『CROSS』というアルバムを、世界的音楽プロデューサーのスティーブ・リリーホワイトと共同で作った。その間も喉の状態は良くなかった。良くなかったどころか

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「身内に怒られてない奴」←ほんまにヤバい

「身内に怒られてない奴」←ほんまにヤバい

「ヤバい奴とは、考えなしにうっかりヤバいことをしてしまう者ではなく、ヤバいことをしても周りから諌められず、遠巻きから寄せられた批判や注意に耳を傾けないでいられる者である」というのがあたいの持論である。

 昨今、TwitterやInstagramやYoutubeなどで炎上している人間は毎日ってほど見かけるし、そういった話題が目に入ってくるたびに「またお前か」という常連もおりますわ。

 普段から軽

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「メランコリック・ダイバーの浮上」が公開されました

「メランコリック・ダイバーの浮上」が公開されました

内閣府ムーンショット型研究開発事業のSFプロトタイピング企画"NeuWorld"にて作成した漫画が公開されました

大阪大学 柳澤先生の研究内容である脳機能に作用する機械"BMI(Brain machine interface)"を題材とした漫画です。
58P無料で読めますのでぜひ読んでみてください!

ムーンショット型研究開発事業とこの企画の説明は前にXで一生懸命書いたのでご参考に…(長いツリー

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「再掲」 粋人と「水ぼたる」

「再掲」 粋人と「水ぼたる」

「蛍を見に行こう」と誘われた。
 ずいぶん昔の梅雨入り前のことである。
 その友人は、私同様転勤族だった。家事の合間を見計らっては団地周辺に広がる里山を駆け巡り、一人自然を堪能していた。
 神出鬼没のスタイルはとても真似ができない。本人も思い立ったら即行動だから当然単独の探索になってしまう。

 多動性ナントかと言って揶揄する人がいたけれど、金融系の頻繁な移動は一般企業とはかなり異なる。何処へ行っ

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416.noteと言う世界⑪1冊でも5冊でも本が作れる時代となった。note作品を本にしてみない。

416.noteと言う世界⑪1冊でも5冊でも本が作れる時代となった。note作品を本にしてみない。

note雑感①
「スキ」を押していないのに「スキ」を押し続けてくれている人がいる。
もちろん「スキ返し」などできなくても関係ない。

私も、同じ、「スキ」なものは「スキ」、迷惑そうならやめる。
ただ、「スキ」無駄にはできない。

それは、「スキ制限」なるものがあるからだ。
このnoteの先輩たちの話によると、「スキ」は一日に150~200が限界らしい。ということは、「スキ」は誰にでも押せばいいもの

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狂っていて、頭おかしくて、イカれているということ。

狂っていて、頭おかしくて、イカれているということ。



 数年前、ゲイバーにて。お客さんの一人が、たまたま隣に居合わせたゲイと意気投合し盛り上がっている最中に、ふと「それは障害者すぎる(笑)」と半笑いで口走っていたのを見かけた。

 会話の脈略はそこまで覚えていないけれど、ゲイの子が身内の失敗エピソードか何かを話していて、おそらくそれに対して「そんなことをする奴はおっちょこちょいのダメ人間である」という旨の辛辣なツッコミの意味で「障害者」という語

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