ブレイディみかこ ・ 鴻上尚史 『何とかならない時代の幸福論』 : 〈チコちゃん〉に 叱られろ!
書評:ブレイディみかこ・鴻上尚史『何とかならない時代の幸福論』(朝日新聞出版)
ねえねえ岡村~、この中で一番おもしろいレビューが書ける、クリエイティブな大人って、だぁれ?
つまり、例えば本書について、やれ「イマイチ」だとか、やれ「期待はずれ」だ、やれ「面白くない」とかいった「芸のないレビュー」を書いている日本人は、まず間違いなく「クリエイティブ」ではないし、自分が「見られている」ということにも気づかない、いかにもわかりやすい「世間的視野しか持たない日本人」だということだ(型通りのベタ誉めレビューも、また然り)。
言い換えれば、なんの芸もひねりもなく、素面でチコちゃんの質問に答えちゃうような、チコちゃん言わせれば「つまんねー奴」だということになる。
本書についての、「イマイチ」だとか「期待はずれ」だとか「面白くない」といった評価は、必ずしも間違いではない(私も、両者の著作は読んでいるので、それぞれの単著に比べると、ゆるい予定調和に終わった感の無きにしも非ず、という評価な)のだが、しかし問題は、本書を読んでも、何も学んでいないような「つまんねー奴」が「つまんねーレビュー、書いてんじゃねえよ!」ってことなのだ。
そこで「今こそ全ての日本国民に問いたい」。国民への説明責任が果たせない総理大臣が国政を担うのと同様、「読めない奴」に、レビューを書く資格なんてないことくらい分かれよ。そうだろう? と。
だが、「日本人がそこまでいくのは、いつになるんだろう」ね、ほんとに。
ともあれ、せっかく読むんなら「ボーッと読んでんじゃねえよ!」っていうことだ。
そして、レビューを書くんだったら、自分が「評価者」であると同時に「評価の対象」にもなる、つまり「見られる」側にもなるんだって自覚ぐらいは持てるようになろう。本書を読んで、それに気づけるようになれていたら、本書は決して、その人にとっては「イマイチ」だとか「期待はずれ」だとか「面白くない」なんてことにはならず、価値ある「気づきの書」ってことになっただろう。
無論、「芸」を見せるには、それなりの勉強が必要。ボーッと本を読んで、面白いだのつまらないだのと、どこまでも「お客さん」気分では、決して「芸」も「教養」も身に付かないだろう。一一結論としては、ひとまず「チコちゃんに叱られろ!」ということなのである。
日本人の名誉のために、あえて憎まれ役を演じてみました。本当は、こんな奴ではありません(笑)。
初出:2021年3月20日「Amazonレビュー」
(同年10月15日、管理者により削除)
再録:2021年 3月27日「アレクセイの花園」
(2022年8月1日、閉鎖により閲覧不能)
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