李琴峰
【解決済み】知念実希人さんによる国籍差別発言に関連して
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【解決済み】知念実希人さんによる国籍差別発言に関連して

李琴峰

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 本件は既に当事者間で和解に至り、解決済みとなりました。
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 2021年9月8日、作家の知念実希人さんは私のツイートを引用RTする形で、以下の国籍差別的なツイートをしました

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 知念さんはこのツイートで、私のTwitterでの発言を「露骨」な「政治活動」と表現し、更には「外国籍の作家」と強調しています。これは「外国籍の人は(たとえ日本で生活していても)日本の政治について発言するな」という、明らかな国籍差別です。

 この点について、既に以下のツイートで抗議しています。

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 実は、知念さんが私に言及するツイートをするのは、これが初めてではありません。

 9月5日午前、知念さんは以下のツイートを発表した。

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 このツイートで知念さんは、私のことを「他人の難病を揶揄する人間」と表現しました。

 しかし、すでに何回も釈明した通り、私は安倍さんの難病を揶揄したことがありません。これは一部のアンチによる悪意的な解釈であり、デマです。

 9月5日午後、知念さんの上記のツイートに気付いた私は、彼にDM(ダイレクトメッセージ)を送りました。彼は単に私を誤解しているだけであって、説明すれば分かってくれると思ったからです。

 そのDMの内容は、以下の通りとなります。

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知念実希人 様

突然のDM、失礼致します。李琴峰です。
本日午前に、知念さんがつぶやかれた下記ツイートについて、ご連絡申し上げます。
https://twitter.com/MIKITO_777/status/1434296405481312262

ネット上の一部界隈では、「李琴峰は安倍晋三の潰瘍性大腸炎という難病を揶揄した!」といった、文脈が欠如した情報が拡散されていますが、これは単なるデマです。
この件について、私は自分のアカウントで釈明しております(下記参照)。

https://twitter.com/Li_Kotomi/status/1417130997900926981
https://twitter.com/Li_Kotomi/status/1417092150261473281

端的に言うと、「本当に腸を断ってくれないかな」という発言は「潰瘍性大腸炎」という難病ではなく、
政治家によってあまりにも軽々しく、繰り返し使われる「断腸の思い」という言い訳の言葉に対して、発した揶揄です。
この発言意図は、全く拡散されていない別のツイートからも読み取れます。
https://twitter.com/Li_Kotomi/status/1283963125633445889

もちろん、上記の揶揄は言葉遣いがきつく、批判を招いても仕方がないというふうに、私自身も反省していますが、
しかし「難病を揶揄した」という事実は決してありません。

時系列で考えてみると、それは明らかです。
wikipediaによれば、安倍さんが1回目の辞任をしたのは2007年とのこと。
2007年であれば、私はまだ台湾のいち高校生で、日本のことはほとんど知りませんでした。
日本の総理がどういった理由、どういった病気で辞めたか、当然知る由もなかったのです。

私が日本に来た2013年9月、安倍さんは既に総理に復帰していました。
2020年8月の辞任まで、その持病がメディアなどで取り上げられることはあまりなく、
私も2020年8月、彼の辞任報道を見てはじめて、その持病のことを知ったのです。

前述の「本当に腸を断ってくれないかな」という発言は2020年2月のものでした。
2020年2月時点で、私はそもそも安倍さんの病気のことなどを知らなかったので、「病気に対して」揶揄のしようがありません。

私は政治信条として、一貫して安倍さんや自民党に対して批判的なのは事実です。
実際、自民党の多くの政治家は女性や性的少数者に対して暴言や差別発言を繰り返してきました。そのたびに私は深く傷つけられています。
しかしだからといって、誰かの難病を揶揄することを、私は決してしないのです。

ネット上の、文脈から切り離されて拡散されるスクショに踊らされず、
何とぞご明察のほど、宜しくお願い致します。

李琴峰
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 私としては、礼を尽くし、誤解を解こうと説明を試みたつもりです。

 しかし、この言葉は結局届かなかったようです。
 知念さんはあくまで私を「難病を揶揄した人間」と認定し、私が発した政権批判の発言を「ヘイト」として曲解し、更には冒頭のツイートのような、露骨な国籍差別の発言までしました。

 それだけでなく、知念さんは事実を確認もせず、以下のツイートもされました。

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 上記のツイートに対する私の返答は、以下のツイートです。

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 この一連の事件について、私は深い落胆の念を抱きました。

 Twitterというのは元来、議論に向いていない媒体だと考えております。複雑な世界の事象を、たかが140字で語り尽くせるわけがないからです。私自身も極力、誰かとTwitterで議論をしないよう、ここ1年は気を付けています。

 確かに昔(2020年8月以前、つまり1年以上前に)、私もいくつか思慮の浅いツイートをしました。政権批判や権力批判にしても、言葉がきつすぎるものもありました。「ネトウヨおつ」といった、今なら発しないような言葉も発していました。

 言葉がきつすぎた点に関しては批判されても仕方ない部分もありますが、しかし「反日」「外省人」「左翼の工作員」といった浅はかなレッテル貼りや、「難病を揶揄した!」といった事実に反する指摘は、受け入れられるものではありません。

 今般の知念さんの件で、ネット上のコミュニケーションがいかに難しいかということを、再認識させられました。
 私の言葉は結局知念さんには届きませんでした。せめてこの記事を読んでくださっているあなたに届くことを願っています。

★★★追記①★★★

 9月8日22時ごろ、知念さんが以下のツイートを発表し、反省の意を示してくださいました。直接私に連絡を取り、謝罪するとのことです。

 知念さんからの連絡を待ちつつ、本件はこれで解決になることを願います。

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★★★追記②★★★

 9月8日22時半ごろ、知念さんから謝罪のDMがありました。内容は全文のツイートの通り、外国人の政治参加に対する思い込みがあった、というものでした(私信であるため、知念さんのメッセージをここで貼ることはできません)。

 知念さんのお言葉に誠意が感じられましたので、私は以下のDMを返信しました。

------------------------以下引用------------------------

知念様

メッセージありがとうございます。李琴峰です。
この度、意図せぬ形で話題になり、私としても心苦しい限りです。

知念さんからの謝罪のメッセージを(そしてツイートも)拝読しました。
知識不足ゆえの誤った発言として理解し、ひとまず知念さんの言葉を受け入れたいと考えております。
知念さんの、政治に対する考えもよく分かりました。
今のリベラル政党に政権運営能力がないという知念さんのお考えも、当然尊重されるべきだと思います。

その上で、3点ほど、知念さんのお考えを伺えましたら幸いに存じます。

①「難病の揶揄」について
前のDMでも説明申し上げましたが、私が安倍さんの難病を揶揄したという事実はありません。
知念さんは恐らく私の小説をお読みになったことがない(私はつい最近まで無名作家なので当然ですが)と思いますが、
私はこれまでの作品で、主に(それこそ自民党政権下で差別され、暴言を浴びせられ、蔑ろにされてきた)女性や性的少数者、マイノリティの境遇を描いてきました。
マイノリティの声なき声を掬い上げようと努めてきた私は、完全に差別意識がないとはいかないまでも、
少なくとも、誰かの難病を揶揄するようなことは決してしません。
発言の時系列で考えても、私が安倍さんの難病を揶揄したというのは単なる誤解であることは、前のDMでもご説明した通りです。
この点について、私の言い分を受け入れて(信じて)くださいますか?

②「ヘイト」について
知念さんは削除されたツイートで、「(私の)芥川賞授賞式の発言やツイートからは、安倍前首相や自民党に対するヘイトが迸りすぎていて怖い」と述べられました。

まず、知念さんは恐らく「授賞式」と「記者会見」を間違えられたと思います。
授賞式で私は特に自民党に触れていません。授賞式で行ったスピーチ全文は、ここでお読みいただけます。
https://nippon.com/ja/japan-topics/g01180/

次に、私は記者会見で「忘れてしまいたい日本語は?」と何度も訊かれ、苦慮した後に「美しいニッポン」と答えたのは事実です。
この応答にはもちろん安倍政権批判の意図も含まれていますが、しかしそもそも、「美しいニッポン」という言葉は、自分の受賞作『彼岸花が咲く島』からの引用で、作中では一種の排外的なディストピアを指しています。
なので、この応答を「安倍前首相や自民党に対するヘイト」と解するのは、完全に間違いだと思います。

その上でですが、「ヘイト」または「ヘイトスピーチ」というのは、「人種、出身国、民族、宗教、性的指向、性別、容姿、健康(障害)、といった、自分から主体的に変えることが困難な事柄に基づいて、属する個人または集団に対して攻撃、脅迫、侮辱する発言や言動のこと」を指します(wiki引用)。
例えばアメリカでは、黒人や性的少数者を狙った犯罪がしばしば起こり、これらは「ヘイトクライム」と認定されます。

権力者や政治家に対する批判は、(その批判が的を射ているかどうかはともかく)単なる批判であり、「ヘイト」ではありません。
私が行った政治的な発言も、政権や与党、権力者、政治家に対する「批判」であり、「ヘイト」ではありません。
この点に同意してくださいますか?

③他のツイートについて
これは①②に関連してですが、下記知念さんのツイートについても、削除・撤回されるご予定はありますでしょうか?
https://twitter.com/MIKITO_777/status/1434296405481312262

私として伺いたいことは、以上の3点となります。
知念さんの誠意あるご返答を、心よりお待ちしております。

宜しくお願い致します。

李琴峰

------------------------引用終了------------------------

 私のDMを受けて、知念さんは、9月9日午前0時半に、返信を送ってくださいました。私の言い分を全てご了承いただき、当該ツイートも削除していただけました。

 知念さんのご返信を受けて、私も以下のDMを返信しました。

------------------------以下引用------------------------

知念様

ご返信いただき、ありがとうございます。
こちらの言い分をご了承いただけて、大変嬉しく存じます。
また、当該ツイートが削除されたことを確認致しました。

文筆業界の大先輩として、今後とも陰ながら応援させていただきたく存じます。
ご健筆をお祈り申し上げます。

宜しくお願い致します。

李琴峰

------------------------引用終了------------------------

 これにて、知念さんと和解ができ、本件は解決済みとなったと認識しております。

 本件に関しては多くの方々に関心を持っていただきましたこと、大変感謝しております。お騒がせ致しました。

 今後とも李琴峰作品に応援のほど、宜しくお願い致します。

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李琴峰

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李琴峰
作家、日中翻訳者。台湾出身。最新刊『星月夜(ほしつきよる)』⇒ https://amzn.to/3i50f9u。群像新人賞優秀作。芥川賞、野間新人賞候補。 公式サイト→http://likotomi.com