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より良いキャリアを築く「働く場」の選択(17)~就職後、意識されておくべき取り組みスタンス(後編)~

これまで「より良いキャリアを築く『働く場』の選択」というテーマで、包括的に、企業、雇用、事業形態の種類定義から業種、業界分類、主要業界取り組み動向、そしてそこで求められる人材像について、14回にわたり連載してきました。また、15回から「就職後、意識しておくべき取り組みスタンス」と題して、2回にわたり企業人、組織人として有意義に過ごすための「仕事に対する取り組み方」について紹介してきました。
今回、本テーマの最終回(17回)として「報酬を得るプロフェッショナル」として活動していくための「求められる基本的素養」について、まとめとして紹介したいと思います。
就活にあたって、視野を広げる一助になればと考えています。


求められる基本的素養(思考・行動様式)

「求められる取り組みスタンス」を堅持し確実なものにするため、基本的に実践していくべき「思考・行動様式」について以下に示します。 
本記載内容は、主に実業企業を支援する企業群  *1 におけるシステム部門(所謂、フィールドSE部門(顧客担当))の人材を想定しています。

*1:実業を支援する企業 
第2回「どのような『場』で仕事をしたいか」を参照して下さい。

1.「学習」を怠らないこと(幅広い知識を得る取り組み)

■専門領域は無論であること
■周辺領域をも意識することが必須であること(雑学は重要)

日本におけるビジネス慣行と言っても良いと思いますが、「会ってすぐ仕事の話に入る」ことはあまり推奨しません。
これが生産性を押し下げている一要因とも言われることがありますが、お互いを少しでも理解した上で仕事を進めたいという思いにおいて、会話開始の「時候の挨拶」も含め、所謂世間話としての「知識(雑学)」披露は相互の理解を早める要素になると考えています。

2.社内では「お客様の立場」に立つこと

■お客様の立場で発言すること(特に、社内ではお客様の代弁者であれ)
■ただ、お客様を前にした際は、社内決定事項を遂行すること

往々にして社内の状況・雰囲気(特に上司の考えなど)を忖度し、お客様の思いを十分伝えることなく、打ち合わせや商談審査会や評価会議などが進行してしまうことが起こります。当然のことではと思われるかもしれませんが、社内会議にはお客様が出席することは基本的に無い(出来ない)ことから、お客様を一番理解しているであろうお客様担当者は、出来るだけ代弁者として「お客様の思い」を語ることが重要だと考えています。
ただ、それは取り組み方が決定するまでのことであり、決定以降(会社としての決定事項)は、会社の立場で話すこと(お客様への回答時など)は言うまでもありません。議論、検討の場ではという意味で捉えて下さい。

3.「対営業、対他部門」とは切磋琢磨(建設的議論)すること 

■社内では「喧嘩」するぐらいの気概がなければ、お客様に満足を与えられないと考えること
■初めから妥協する行為は回避すること(関係部署に忖度しないこと)
■「できない」「やれない」ではなく、「できるには」「やれるためには」という発想で臨むこと

社内事情が分かってくると、「どうせ通らない」「どうせやれない」「人がいない」等々後ろ向きな発想が生まれ、検討する前に「あきらめる」「妥協する」といったことが起きます。このようなことは、お客様にとって大変不幸な事であり、決してあってはならない事だと思うでしょうが、往々にして起こるというのが現実です。
そのような時に重要なことは、行動を起こす前に「あきらめる」ことなく、「行動、活動してから考える」ということではないかと考えています。会社として決定するまでは、とことん「考え、議論する」ことが重要だと考えています。場合によっては、社外に解を求めることも必要でしょう。(安易にではなく)とにかく、「やれるだけのことはやった」という納得感を得ることが重要だと考えています。

4.「友人」を作り「知人」を増やすこと(社内外の信頼獲得)

■自分一人の限界を知ること
■企業という「組織」に居ることの優位性を意識すること

お客様は、自身を担当する人材に期待することはもちろんですが、最終的には企業としての総力に期待しているということを忘れないことが肝要です。技術者は往々にして、「自分が出来ないことは、実現できないこと」と思いがちの傾向に陥ることがあります。これもお客様にとっては不幸なことであり、決してあってはならないことと考えます。そういう意味からも、常に自身の知識だけで対応することを考えるのではなく、会社としての知見、実績を把握しておくことが重要となります。その為に多くの部門とのコミュニケーションを積極的に取り、会社の実力を知る努力が不可欠になります。これは社外人材についても同様です。常に広い視野、知見を得るように努めることが求められます。

5.プロジェクトメンバー・上司との意思疎通は密に取ること(組織信頼の醸成)

■単なる「報連相」ではなく、「自分・コト」の「本音・本質」を伝えられる(言える)こと
■本音・本質を引き出せる「環境、雰囲気」作りを、常に心がけること

プロジェクトの成否は担当責任者の技術力だけでなく、「人間関係をどれだけ円滑に遂行出来ているか」に掛かっていると言っても過言ではないかもしれません。システム構築においては、個人で行うというケースはマレであり、複数人体制での遂行が一般的であるとともに、その要員体制作りにおいては「自社の同僚」だけでなく、「協力会社人材(外注)」を含めて構成されることが一般的です。つまり「気心が知れた人材」だけでプロジェクトを運営することは、ほぼ無いといっても良いかもしれません。
よって、各メンバーの性格を理解した上での運営が必須となります。その為には常に本音で語れる環境作り、雰囲気作りが不可欠であるということです。(3現主義の徹底、信頼感の醸成、風通しのよさなど)

6.「自分の常識は、人の常識ではない」ことを自覚すること

■自分の常識を中心にコトを進めようとしないこと
■自分だけが理解できる表現・内容になっていないか常に意識すること

経験を積めば積むほど、自身の常識を当たり前のように考えてしまうのは「人の性」かもしれません。常にニュートラルでいるということは難しいことであると思います。よってコトにあたる際には、常に「ニュートラルでいること」を意識して臨むことが肝要です。ことあるごとに意識していないと、いつのまにか自身の常識(過去の経験・知識)で判断し、行動することになってしまうものです。
正しくコトを進める、正しく理解してもらうようにするためには「自分の常識は、他人の常識ではない」ということを、常に噛みしめてコトにあたってほしいと思います。

以上、就活や就職後においての基本的な行動様式について紹介しました。

今「配属ガチャ」ということが話題になっています。大企業の新人一括採用においては、当たり前のこととして理解されてきたことですが、ここ数年(特に2024年度新人)の採用事情では、空前の「売り手市場」の中、希望の配属先でないことが「辞退理由」として大きく取り上げられています。

そこで、希望が叶わなかった際の対処が「即転職といったことは早計かもしれない」と思う心の余裕を持つことを推奨したいと思っています。中途採用ということなら分からないことも無いのですが、新卒時点でどの程度の方々が、本当の仕事の中身やそこでの自分の姿を理解できているでしょうか?
選択された会社の「人事担当者の目」を信じてみるというのもありかと。それが、自身の違った側面(力)を引き出すきっかけになるかもしれないからです。(意外と自分自身のことを分かっていない)
希望でない配属先が、実はおもしろかったということも少なくないことですから。

前回(16回)でも紹介しましたが、長い社会人生「今の状況・環境だけで決めることなく、その先があるぞと考える(状況・環境は変わる)」余裕をもって、望みましょう。

最後に、就活時ならびに就職後において考えておいて欲しいことを以下に示し、今回のテーマの締めとしたいと思います。

【まとめ】考えておいて欲しいこと
■売り手市場(好景気)は、いつまでも続くか?      
・歴史は繰り返す:時代背景、世界・国内情勢、景気サイクルなど
■自身の能力を決めつけていないか?  
・自身の理解1:今出来る、出来ないで判断しないようにすること
■自身がやりたいことは、本当か?         
・自身の理解2:今の仕事をつまらないことと思わないようにすること
■「気分」で仕事の選別、選択をしていないか?           
・自身の理解3:「好き、嫌い」で判断しないこと
■担務している仕事を、楽しくしようとしているか?  
・気持ちの持ち方:ポジティブシンキングに徹すること
■企業・直属上司・同僚との関係は?  
・組織の在り方: 仕事のやりやすさにおいて活かしあうこと
■直属の上司だけが上司ではないと思えているか?      
・壁にぶつかったら :代表取締役まであげる気概を持っていること
■公(就労生活)私(私生活)の区別をつけられているか?  
・公私の判断:良い意味での「割り切り」が出来ること
■自分で、自分を傷つけて(卑下して)いないか?       
・自己否定は禁物:自分を責めても、何も生み出さないと認識すること

【過去の記事】






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