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よりよいキャリアを築く「働く場」の選択(16)~ 就職後、意識しておきたい取り組みスタンス (中編) ~

前回(第15回)に続き、「取り組みスタンス」について紹介します。前回紹介しましたように、社会人生活においては、自身で決断しない限り「次のステージ」への展開は訪れません。ここでの「次」とは、「転職」という意味だけではなく、社内における異動(所属間・担務・出向等)による変化ということも指しています。
特に今回は、就職された企業内(社内)において、意識しておいて欲しい「取り組みスタンス」について紹介したいと思います。


求められる取り組みスタンス

最近、新入社員における「4月1日に転職を決断」「研修終了時に転職」といった話に加え、会社を辞める際に「退職代行業者」(そういうビジネスが成り立つのも驚きですが)に依頼して退職する、ということが話題になっていることはご承知のことと思います。こうしたことは極端な事例かもしれませんが、入社後3年までに「やめる」「転職する」といった人達が数%(3~6%程度)出ているということも、現実です。

さて、皆さんはこうした「突出 *1した人材」ですか?

もちろん、就職してみたらブラック企業だったり、会社説明会で言っていたこととは全く違う仕事だったことがわかるなど、「退職した方が良い」という場合もあるでしょう。
そこで、今回は今一度日本の企業の多くが培ってきた優れた手法(メンバーシップ型雇用 *2)を活かし、より楽しく、有意義な社会人人生にするために取り組んで欲しい「取り組みスタンス」について、以下に紹介します。「つまらない」「やってられない」=即「退職」となることなく、一歩立ち止まって考える(振り返る余裕を持つ)1つの取り組みとして、捉えてもらえればと思います。

*1 「突出」という言葉を使った訳
「若手の離職」、特に新入社員の動向は、話題になるテーマとしてマスコミなどで大事として扱われる傾向が高いような気がしています。「数%の動向」が、あたかも「一般的な傾向」として捉えかねられない印象になっていないでしょうか。

*2 メンバーシップ型雇用
『第12回 より良いキャリアを築く「働く場」の選択(4)~どのような「場」で仕事をしたいか③~』の回を参照下さい。

1.今の状況・環境だけで考え(決め)ず、その先があるということ(状況・環境は変わる)

■今の上司・同僚が、永遠に続くことは無いと思うこと(人間関係)
職場において、同じ状況が永遠に続くことは非常に稀です。定期的な人事異動はもちろん、社会・経済環境によって会社の取り組み方針も大きく変わるものです。(事業再編、組織再編など)
今の状況が「一生続くのでは」と思うと、気持ちも萎えますが、決してそのようなことは無いと考えていて良いと思います。(ブラック企業かの見極めは、しっかりとして下さい)
もちろん、自分で異動願いを出すというのも1つの方法です。但し「今の環境がイヤだから」という理由では意義のある異動はできません。「新たな場所でどの様なことがしたいのか」ということを明確にしておくことが必要です。(転職したい場合も同じです)

■つまらない仕事と決めつけず、面白くする工夫を考えること
どんなに単純な作業であっても、「つまらない」「私の仕事ではない」と言ってしまえば、そこで終わりです。たとえ「コピーして」ということでも、与えられたことを「完璧」にこなすことが「プロフェッショナル」の基本です。そして取り組むにあたっては、常に自分なりの工夫を入れることが大切なことだと考えています。そうすることで、新たな気付きを得ることも期待できますし、作業そのものを面白くすることにも繋がります。また、依頼した人の信頼も高まるでしょう。(もっと任せてみたくなる)
さらに、周りの人達の意見を聞く寛容性を養うことや、周りを巻き込む(頼む)という取り組み方も意識して欲しいと思います。もちろん、頼まれたら積極的に対応してあげましょう。(余裕も工夫から生まれる)

2.「プロフェッショナル」であるという自覚を忘れないこと

■「給与を得る」「報酬を得る」ということは、それだけで「プロ」であるということ
給与(報酬)を得た時から、「プロ」になったと考えることが大切です。つまり、「対価」のあることをしているということです。新人だから多少のことは許されると、自分自身で思うことの無いようにしましょう。
その昔、お客様の研修を担当するインストラクターの部門では、決して「新人である」ということをお客様に悟られことがないように、新人を指導、対応するということが厳命されていました。つまりお金を頂いているということの意味を、常に意識した取り組みをすることが求められているということです。もちろん、フォロー体制が重要になるということは言うまでもありません。

【避けるべきこと】
あるソフト会社では、新人だから「半額で良いです」という営業活動が一般的に行われていました。一見、当たり前のようにも見えますが、決してやってはいけないことと考えています。会社として「新人でも、ベテランと同じような品質をどのように担保できるようにするか」を考えるべきだということです。「人に見合う価格ではなく、受けた仕事に見合う価格を頂く」という考え方でなければ、会社の成長も、ひいては個人の成長も見込めません。

■発言・行動には、常に会社人としての「責任が伴う」こと
SNS上で問題になっているように、「匿名性を盾に発言する(無責任さを生む)」といったことが蔓延しています。特に、個人がメディアを持ったと言われる時代、さらに拍車が掛かっているようにも感じます。
しかしながら、ビジネスにおいては安易な(裏付けがない)発言・行動は許されることではありません。(一般的にも許されないことですが)
代表取締役ではないので最終責任は無いと思うことなく、お客様の前に出たら「会社の代表」であるという自覚を持ち、常に自身の発言・行動には、「会社の責任」を伴うと考えておくことが肝要です。お客様は、担当者を通して「会社を見ている」というものですから。

【避けるべきこと】
自身の知見、経験知だけで「出来る、出来ない」を判断することも避けて欲しいことの一つです。お客様は、個人との契約と言うことではなく、個人のバックボーンとしての「会社の知見、経験知」を信頼して依頼、契約して下さっているのだということを、常に意識しておいて下さい。

以上、「会社」という組織の中で、充実感を得、責任感を持って仕事を進めるための取り組みスタンスについてご紹介しました。今回紹介したことは、非常に当たり前で単純なことのようですが、それを実現するには「常に意識し、行動のベースにする」ということが必要だと考えます。是非、心掛け、実践して頂ければと思います。

後編では、前編の4点と合わせた「6つの取り組みスタンス」を、持続、継続的に実践し続けるための「基本的な素養(思考・行動様式)」について紹介したいと思います。


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