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よりよいキャリアを築く「働く場」の選択(15)~ 就職後、意識しておきたい取り組みスタンス (前編) ~

前回、「次回が最終回になります」とお伝えしましたが、意外に長くなったので、3回に分けて紹介することにしました。
今回(15回)は、前編として、選択した企業(組織に身を置くことを選択したこと)において、意識しておくべき取り組みスタンスということについて紹介したいと思います。


求められる取り組みスタンス

社会人人生は学生時代と違い、「卒業」という自らの意思ではないところでリセットされ、「次のステージ」に進ませてくれる環境はありません。
学生時代は、現在の日本の「小6・中3・高3・大4(+2~3(修・博))」制度の中で、身を処す区切りをつけるタイミングが否応なく用意されています(留年・退学は別として…)。しかし、今後(社会人人生)は、何事においても「自ら決断し、行動すること」が求められることになります。でないと残りの人生が、「ただただ流されるまま」になってしまいかねません。もちろん、そうした生き方を「ダメ」と言っているわけではありません。そこでは「ただ流されるままで良い」ということも含めて、自身で「決断する」という行為が必要であるということです。
簡単に言ってしまいましたが、先を見通すのが難しい時代にあって、人生に大きな影響をもたらす「決断をする」ということは大変なことです。そうした必要性が訪れたタイミングに「納得し得る決断をする」ためにも、俯瞰的、全体感でモノごとを考える癖と、相談し得る(相談できる)「人(上司、同僚・友人等)」作りが大切だと考えています。どのような場においても、「一期一会」を大切にして欲しいと思います。
その上で、どのような業界・職場においても、社会人(企業人)として意識しておいて欲しい「物事に当たる時の取り組みスタンス」について、以下に示したいと思います。

1.物事に当たる時は「背景を読む」努力を怠らないこと

■「3現主義」を徹底すること(現場・現物・現実)
組織においては、当然のことのように「報告」するということが多くあります。そして年数を重ねていくと「報告を受ける」という立場にもなります。報告は、報告相手に「正しく理解してもらうこと」が重要であることは言うまでもありません。そのためには、その内容(報告)の裏付けとしての「現物(生産物)」をいつでも見せられるようにしておくこと、また報告を受ける立場では「現物を見る」ということを心がけることが重要になります。出来るなら「現場」に出向き現場の雰囲気を知るとともに、「現実(取り巻く環境、状況認識)」を肌で感じる(感じてもらう)ということを心がけることも必要です。
リモートワークが定着する中、この3現主義をどう実行し、その実効性をもたらせられるのかを考えて行動して欲しいと思います。

■目の前にあるモノをただ鵜呑みするのではなく、納得いくまで確認・追及すること
判断をするにあたっては、目の前にあるものの「根拠」は何なのか、それは「正しい情報」なのか、「出所」はどこか、その出所の「信頼性は高い」のか、「別の観点」から観てみたかなどなど、自身が納得しうるための裏付けを取る意識、姿勢が重要だと考えています。
お客様だから、上司だから「鵜呑み」で良いという姿勢は、楽で時間も要しませんが、絶対避けて下さい。まず、自身が「納得する」「納得できている」ということが重要です。課題解消の先送りや関係者を納得させるためにも、必須なことと考えています。是非心掛けて欲しいことの一つです。

2.物事に当たる時は「全体を俯瞰」して臨む姿勢を崩さないこと

■自分に与えられた仕事の範囲だけでなく、全体を理解して取り組むこと
仕事は、分担して取り組むというケースが一般的だと思います。そうした際に自身が受ける仕事の範囲の理解はもとより、「仕事全体」の中で、自身が受けた仕事の範囲の位置づけを知っておくことが重要であるということです。「全体」と「位置づけ」を知ることにより、自分の担当業務への取り組み方も変わります。特に、仕事間(プロジェクト間)のインターフェースを取る際など、円滑に進めるための必須要件の一つだと考えています。周りのことを理解することで、自らの仕事の効率化も図れるでしょう。

■自らの立場、位置づけを明確に把握すること(人との関係)
「人との間」でも、全体を意識しておくということは重要です。仕事の範囲と同様、体制上での自身の立場・位置づけなどを、全体の構成から見て正しく認識し、役割を理解することが大切だと考えています。項目タイトルからすると、自身の範囲だけしっかりやればよいと思ってしまわれるかもしれませんが、そうではありません。立場・位置づけを踏まえた上で、全体感の中で常に物事を考え、発言、行動して欲しいということです。誤解なきよう。

3.物事に当たる時は「何事にも気配り」を忘れないこと

■たとえ自グループ外のことでも、疑問点があれば質問し、発言・具申すること
人は往々にして、他のグループのことには無関心になりがちです。自身の範囲を全うするだけで精一杯ということもあるでしょう。しかし、後手を踏まない(最終フェーズになって、齟齬が発覚するようなことを起こさない)ためにも、相互の関係を常に意識し、必要だと思ったことには躊躇せずモノを申す癖をつけることが重要だと考えています。良い意味での「お節介」をして欲しいということです。他グループのことだからこそ、客観的に見られるということもよくあることですので、臆さず行動して下さい。

4.物事に当たる時は「ニュートラルかつ柔軟」であること

■思い込みに陥る(一つのことに固執し続ける)ことなく、多面的に取り組むこと
経験を積み、仕事に慣れてくると、その仕事のことだけや、自身が見聞きした範囲だけで物事を考え、判断することが増える傾向にあります。(視野狭窄現象といっても良いかもしれません)「自分が正しい」と思いがちになるということです。こうした傾向を避けるのは、実は大変なことです。(身に付いた自身の常識を変えるのは難しい)ということで、日ごろから「常に、意識し続ける」ことが重要になります。前記したように、常に俯瞰し全体感で観ることに加え、物事を常に一歩引いて「ニュートラル」に眺める癖をつけることが肝要だと考えています。

■自身の考え、行動・行為などを、「振り返られる」こと
物事を進めるためには、「決断」が必要であるということは言うまでもありません。ここで申し上げたいのは、「一度決めたから、もう変えられない、変えない」ということではなく、常に、3現主義に基づき「その決定」を振
り返る、見直す「勇気」を持つことが重要だということです。
「ニュートラルに」ということと通じることですが、周りの意見を聞く耳を持つということの寛容性を養って欲しいと思います。


今回、物事に当たる時の取り組みスタンスとして、重要と考える「4つの観点」を紹介しました。技術や業界における専門的な知見は、もちろん非常に重要です。しかし、仕事に対するそもそもの取り組みスタンスを誤ると、間違った結果を招き、自社だけでなく仕事相手にも多大な迷惑を掛ける可能性があるということを、忘れないで取り組んで下さい。

こうした取り組みスタンスは、結果、社会人としての仕事の幅をも広げていくことになると考えています。

中編では、取り組みスタンスの続きとして、社会人として持つべき意識として、さらに「2つの観点」を紹介したいと思います。

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