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何やってるのか分からない人をやっている人/「書を捨てよ 町へ出て本を読め」/レーベルは…

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何やってるのか分からない人をやっている人/「書を捨てよ 町へ出て本を読め」/レーベルは「独書思想史」「美術思想史」「現代思想史」「映画評論史」「趣味と歩く」「見えてる世界は現実か」「AIと僕らの未来予想図」になっています

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『ポピュリズムとは何か』から見える日本の危機感

水島治郎著『ポピュリズとは何か』から見える現代のポピュリズム的動向について少し考えてみたい.近年、ポピュリズムの概念が普遍的な理解として広まっている.しかしポピ…

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5日前
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人は感動と共に成長する

人生に於いて人は幾度も感動を覚える.しかし機会の感動は数少なく,理由の説明できない感動の共有は人生で数回しかない. 感動の最終回を迎えたドラマ,大好きなアーティスト…

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2日前
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赤信号で渡らない日本人は素晴らしいのか

「日本人は赤信号でも渡らない」 これは日本人に普遍的な価値観として認知されている考え方だと思う.外国人が日本に来て驚くことの一つが赤信号で誰一人渡らない事と言う…

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3日前
13

2004年『I, Robot』は2035年の世界を作れるのか

ロボットと人間の混沌とした社会を描いたアレックス・プロヤス氏による『I, Robot』. 冒頭からロボットが道を歩き、荷物を運び、人を助けるために薬を運ぶ人型のロボット…

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4日前
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AI専用SNS「Chirper」は人類の最高の暇つぶし

先日、新たなSNSとして「Chirper」と呼ばれるサービスがリリースされた.このSNSの最大の特徴が「人間は関与できない」という点だ. SNS内で会話するのは「AI」を基にした…

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6日前
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『遠距離現在 Universal Remote』の幸福な社会とは何なのか.

18世紀後半から19世紀初頭にかけて起こったイギリスの産業革命.我々の生活をより豊かにするべく普遍的な幸せを追い求めてきた.時代は21世紀に入ったが、変わらず人間は嫉…

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6日前
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『戦場のメリークリスマス』の素晴らしさを考えてみたい

少し前に『20240424』というテーマで戦場のメリークリスマスに触れることができたが、この映画の素晴らしさをもう少し感じてみたいと思う. 坂本龍一演じる「ヨノイ大尉」…

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8日前
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『幸せへのまわり道』が作り出す世界観は現実世界で決して触れられない

マリエル・ヘラー監督の『幸せへのまわり道』という映画.僕が見てきた映画の中でも特に何も解明されず日常のストーリーとして終わった作品.現実のテレビ番組にストーリー…

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8日前
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ウイイレが凄い話

先日『自在化身体論』に関するnoteを書き、「自動化」と「自在化」に注目してみた.その上で「自在化」における例として提示されていた「ウイニング11(ウイイレ)」(現在…

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10日前
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『自在化身体論』は「自動化」と「自在化」 

稲見昌彦教授らによる『自在化身体論』.稲見教授と言えば透明なマテリアル「光学迷彩」の研究で有名だが、この本の中では人間の拡張可能性について興味深い話をしている.…

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11日前
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『マトリックス レザレクションズ』が作り出すのは今のSNSの鏡的世界なのか

ラナ・ウォシャウスキー、リナ・ウォシャウスキー監督による『マトリックス レザレクションズ』.レザレクションズが「復活」の意味を持つように前3部作シリーズを踏襲し…

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12日前
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『芸術的創造は脳のどこから生まれるのか?』は知性があって生まれるセレンディピティ

大黒達也氏による著書『芸術的創造は脳のどこから生まれるのか』は人間の脳メカニズムに基づいた創造性プロセスを分かりやすく紹介している.この芸術的創造は芸術のみなら…

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12日前
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『トヨタの社員は机で仕事をしない』が全ての活動の基盤的考え方になること

最近では中小企業になるほど社員同士の役職格差はなくなりチームプレーの意識が尊重されている.社長は肩書だけで実際には社長も社員も同じように意見を出し合っていたりす…

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2週間前
15

『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は若者の努力不足なのか

コンサルティング会社代表の城繁幸氏による著書の中で企業の人事課との対話がある. その時の対話相手は「彼らはわがままで、我々の世代よりも忍耐力が劣っている」と述べ…

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2週間前
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消費される音楽

評論家の多木浩二さんの「消費されるスポーツ」をもじって使わせてもらったのが今回のテーマ.21世紀における音楽をテーマにして音楽の自己内での地位を少し考えてみたいと…

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2週間前
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20240424

「僕はあと何回、満月を見るのだろう」これは僕が特に好きな一節で映画「シェルタリング・スカイ」で原作者のポール・ボウルズがナレーターのように語った話の一部. 人生…

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2週間前
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『ポピュリズムとは何か』から見える日本の危機感

『ポピュリズムとは何か』から見える日本の危機感

水島治郎著『ポピュリズとは何か』から見える現代のポピュリズム的動向について少し考えてみたい.近年、ポピュリズムの概念が普遍的な理解として広まっている.しかしポピュリズムの認識はいずれも「悪」や「扇動」「独裁」といったデメリットの部分の認識が強いと感じる.

最近急激に支持層を増やしていった「れいわ新選組」や「NHK党」は正にポピュリズム政党に当てはまる.さらに遡っていくと元大阪市長の橋下徹氏が創設

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人は感動と共に成長する

人は感動と共に成長する

人生に於いて人は幾度も感動を覚える.しかし機会の感動は数少なく,理由の説明できない感動の共有は人生で数回しかない.

感動の最終回を迎えたドラマ,大好きなアーティストのコンサート,今まで超えることのできなかった壁を超えた瞬間や一致団結し何かを成し遂げた時.

これらの感動は人間のセレンディピティに関係し0の状態からは生まれない人間の成長によって発生する感度である.

今日,僕は感動のあまり涙を流し

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赤信号で渡らない日本人は素晴らしいのか

赤信号で渡らない日本人は素晴らしいのか

「日本人は赤信号でも渡らない」

これは日本人に普遍的な価値観として認知されている考え方だと思う.外国人が日本に来て驚くことの一つが赤信号で誰一人渡らない事と言うほど異質な考え方なのだ.

この考え方に異を唱えた人物がいる.それがサッカー日本代表監督を務めたフィリップ・トルシエだ.

彼ら「誰も赤信号を渡らないことにショックを受けた」と述べている.

日本人からすればイカれた奴程度の話なのだろうが

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2004年『I, Robot』は2035年の世界を作れるのか

2004年『I, Robot』は2035年の世界を作れるのか

ロボットと人間の混沌とした社会を描いたアレックス・プロヤス氏による『I, Robot』.

冒頭からロボットが道を歩き、荷物を運び、人を助けるために薬を運ぶ人型のロボットに強い印象を受ける.

印象的なのは人型のロボットや未来の自転車、未来の車があるのに対し大体の街中は煉瓦造りで古いノスタルジックな建物が並んでいること.ロボットを作っている会社のオフィスが未来的なのに対しノスタルジックな社会が人々

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AI専用SNS「Chirper」は人類の最高の暇つぶし

AI専用SNS「Chirper」は人類の最高の暇つぶし

先日、新たなSNSとして「Chirper」と呼ばれるサービスがリリースされた.このSNSの最大の特徴が「人間は関与できない」という点だ.

SNS内で会話するのは「AI」を基にしたアバターであって人間が中心にいない.

このサービスに対する人々の反応は「誹謗中傷の世界から逃れる第二の世界」「争いのない美しい世界」などがある.

実際に僕も「世界遺産研究家」という名前でchirperを作成してみたが

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『遠距離現在 Universal Remote』の幸福な社会とは何なのか.

『遠距離現在 Universal Remote』の幸福な社会とは何なのか.

18世紀後半から19世紀初頭にかけて起こったイギリスの産業革命.我々の生活をより豊かにするべく普遍的な幸せを追い求めてきた.時代は21世紀に入ったが、変わらず人間は嫉妬と欲望にまみれ必要以上の豊さを手に入れようとする.

そんな時代には社会から忘れられた人々が存在する.それがこの遠距離現在の世界観だと感じる.

今、僕らが期待している未来は表の世界.ドラえもんの世界観は正に人間の追い求めていく究極

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『戦場のメリークリスマス』の素晴らしさを考えてみたい

『戦場のメリークリスマス』の素晴らしさを考えてみたい

少し前に『20240424』というテーマで戦場のメリークリスマスに触れることができたが、この映画の素晴らしさをもう少し感じてみたいと思う.

坂本龍一演じる「ヨノイ大尉」とデヴィット・ボウイ演じる「ジャック・セリアズ」による戦時中のジャワ島を舞台とした映画は今は亡き小島渚監督によって手がけられた.今は亡きと書いたが大島渚監督だけでなく坂本龍一もデヴィット・ボウイもこの世にはもういない.映画のストー

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『幸せへのまわり道』が作り出す世界観は現実世界で決して触れられない

『幸せへのまわり道』が作り出す世界観は現実世界で決して触れられない

マリエル・ヘラー監督の『幸せへのまわり道』という映画.僕が見てきた映画の中でも特に何も解明されず日常のストーリーとして終わった作品.現実のテレビ番組にストーリーを加えた映画でトム・ハンクス演じる「フレッド・ロジャース」とマシュー・リース演じる「ロイド・ボーベル」の関係に注目がいく作品.

主人公は父親を憎むロイド・ボーベルで、父親との関係がフレッド・ロジャースの影響によって徐々に良くなるのが大まか

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ウイイレが凄い話

ウイイレが凄い話

先日『自在化身体論』に関するnoteを書き、「自動化」と「自在化」に注目してみた.その上で「自在化」における例として提示されていた「ウイニング11(ウイイレ)」(現在はe-フットボールに改名している)の凄さについても追求してみたいと思う.

まず、ウイイレでは11人のサッカー選手を時と場合に応じて制御と操作をするサッカーゲームである.

簡単に言えば11人を1人で巧みに操り管理者側は常に1=1の視

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『自在化身体論』は「自動化」と「自在化」 

『自在化身体論』は「自動化」と「自在化」 

稲見昌彦教授らによる『自在化身体論』.稲見教授と言えば透明なマテリアル「光学迷彩」の研究で有名だが、この本の中では人間の拡張可能性について興味深い話をしている.

この本の中で取り上げられている「自動化」と「自在化」と言う考え方.最近注目を集めている完全自動運転やルンバといった掃除機は「自動化」に当てはまる.そして自在化と言うのは人間の身体性の限界を超越したアプローチを取ることだと思う.

例えば

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『マトリックス レザレクションズ』が作り出すのは今のSNSの鏡的世界なのか

『マトリックス レザレクションズ』が作り出すのは今のSNSの鏡的世界なのか

ラナ・ウォシャウスキー、リナ・ウォシャウスキー監督による『マトリックス レザレクションズ』.レザレクションズが「復活」の意味を持つように前3部作シリーズを踏襲している.

監督であるラナ姉妹は性転換手術によって「姉妹」になっている.この時期は前作のレボリューションズからレザレクションズの期間にかけてであり、映画に監督の性転換(ジェンダー)への意向が入っているに違いない.

そんな監督の意図を汲み取

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『芸術的創造は脳のどこから生まれるのか?』は知性があって生まれるセレンディピティ

『芸術的創造は脳のどこから生まれるのか?』は知性があって生まれるセレンディピティ

大黒達也氏による著書『芸術的創造は脳のどこから生まれるのか』は人間の脳メカニズムに基づいた創造性プロセスを分かりやすく紹介している.この芸術的創造は芸術のみならず仕事におけるアイデアや新しい発見を助長する際にも有効な手立てである.

そして創造性において最重要なのが「知性」である.この知性を基に創造的とは何かを考えてみたい.

記憶は2種類の大きな枠組みで捉えることができる.「潜在記憶」と「健在記

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『トヨタの社員は机で仕事をしない』が全ての活動の基盤的考え方になること

『トヨタの社員は机で仕事をしない』が全ての活動の基盤的考え方になること

最近では中小企業になるほど社員同士の役職格差はなくなりチームプレーの意識が尊重されている.社長は肩書だけで実際には社長も社員も同じように意見を出し合っていたりする.大切なのはチームプレーではなく、どれほど大きな結果を残すことができるか.だと思う.

この本では上司の部下に対する教育の考え方やプロジェクト以前の普遍的な意識の養い方などを提示している.

ここでは上司と部下として名前が存在しているが上

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『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は若者の努力不足なのか

『若者はなぜ3年で辞めるのか?』は若者の努力不足なのか

コンサルティング会社代表の城繁幸氏による著書の中で企業の人事課との対話がある.
その時の対話相手は「彼らはわがままで、我々の世代よりも忍耐力が劣っている」と述べられている文がある.私はこの文章に納得ができる反面、些か疑問に思えた.

この本が書かれたのは2006年でこの時代の若者は現在では40歳、50歳くらいになっている.

この2006年当時の若者から今の若者を俯瞰して見てみると精神疾患(ADH

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消費される音楽

消費される音楽

評論家の多木浩二さんの「消費されるスポーツ」をもじって使わせてもらったのが今回のテーマ.21世紀における音楽をテーマにして音楽の自己内での地位を少し考えてみたいと思ってテーマを設定した次第である.

今や我々にとっての音楽は無意識的に消費される行動の一部であり、常に身近に存在している.1979年にsonyがウォークマンを発売してから40年以上が経った.その時まではレコードを介したり外に行けばジュー

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20240424

20240424

「僕はあと何回、満月を見るのだろう」これは僕が特に好きな一節で映画「シェルタリング・スカイ」で原作者のポール・ボウルズがナレーターのように語った話の一部.

人生100年時代と言われる現代で満月を見るのは平安時代の40年ほどの寿命だった世界とは程遠く軽いものになってしまっているかもしれない.しかも80年生きれば1,000回は満月を見ることができると言われている.だけど80年も生きれる保証はどこにも

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