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素敵な記事

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色々なクリエイターさんたちの素敵な記事をまとめています。
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#エッセイ

おじさんの愚痴は宝の山

おじさんの愚痴は宝の山

 おじさんは僕に、とても嬉しそうに説明をした。行きつけのお店が何件かあること。そこではあだ名で呼ばれていること。1号店は常連ばかりで、店員の愛想も悪いこと。2号店は魚が美味しいが、名物女将は3号店に移ってしまったこと。休みの日は家から30分、運動も兼ねて歩いて飲みに来ていること。

 この10年間で、日本の飲み二ケーションは随分変わってしまった。10年前、僕は新卒の営業マンで、銀座の専門商社で働い

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ひとりのクリスマスに寄せて。

ひとりのクリスマスに寄せて。

今年のクリスマスはひとり。
子供達は父親の家に行っている。

ヨーロッパでは、クリスマスは家族と過ごす時間の代表選手なので、こんな日に独りなどと言うと、たぶん盛大に憐れみを買ってしまう。
ひっそりとしていたけれど、心までひっそりしないようにしたい。

離婚家庭というのは、こういう行事をどう乗り越えているのかな?と思う。

ドイツも離婚は多く、しかし共同親権が普通なので父親と母親の家を行ったり来たり

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アラサーになると友達が減っていく問題

アラサーになると友達が減っていく問題

昨年末にオーストラリアに来てから1度も友達と出かけることもなく1年が過ぎそうです。元々こちらに知り合いがいないので「友達と出かける」もクソもないのですが。

パートナーと暮らすために東京から単身豪州へ移住してきて、友達もそのうちできるだろうと考えていたのですが、甘かった。私はもう学生ではなかった。

私は今年で30歳になります。
アラサーを過ぎると新しい友達を作るのが難しくなりました。職場の同僚や

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妹に、「出産に立ち会ってよ」と言われた日のこと。

妹に、「出産に立ち会ってよ」と言われた日のこと。

海のそばで育った。

波が止まらないのが不思議だった。
いつ止まるのか、その瞬間が見たくて、僕はいつも波打ち際にしゃがんでいた。

海って、常に音がある。
風、波、砂、魚が跳ね、海鳥が鳴き、
繋いだ船の縄が軋む。
けれど、すべての音が偶然消え、なんの音もしない瞬間もある。
そんな時、周りを見渡す。
今、時間止まらなかった?
と、そんなふうに感じる。

兄と妹というのは、いろいろを気を使うことが多く

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「成人」──「お母さん」から離れて

親離れ、子離れの難しさについて考えている。
ある友人が初対面の女性相手に発した台詞が、こんな感じだった。

「あたしのお母さん、頭いいんです。東京の××っていう女子校に昔、通ってて、そこ女子校だとツートップって言われてるところなの。うちの一族はみんないい大学出てて、私が一番悪いくらい。お父さんは頭悪いんですけど、あたしお父さんに似てるんじゃないかって不安なんです」

言われたほうは困惑したことだろ

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お腹が大きくない妊婦たちに抱擁を(妊娠7週/つわり)

お腹が大きくない妊婦たちに抱擁を(妊娠7週/つわり)

人生で体験する色々なことは、ドラマや映画や本などであらかじめ見たことがあるような現象も多く、大体の場合は「その時」が訪れるまでは知った気でいるものだ。今わたしはまさにその真っ只中にいる。「つわり」だ。

いつか子供が欲しいと思っていたわたしなので、つわりに対する知識もいくらかはあった。なんでも吐いてしまう「吐きづわり」。食べないと気持ちが悪い「食べづわり」。眠りつづけてしまう「眠りづわり」。あとは

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君が生まれて、人生の主役は交代したか

君が生まれて、人生の主役は交代したか

「子どもが生まれると、人生の主役が交代する。」

そんな話を聞いた。正直に言って、君が生まれる前は不安を覚えていたし、カチコチに身構えていた。

「子どもが生まれたって、自分の人生の主役は自分自身だ。」

そんな話も聞いた。どっちだよ。辞書を引くと、主役とは「ストーリーの中心となり、物語を牽引していく人物」とある。つまり主役が交代するということは、君が僕の人生を牽引していくということだ。そんな気も

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「あなたのために」は結局自分のためだしその努力は報われないことの方が多い。

「あなたのために」は結局自分のためだしその努力は報われないことの方が多い。

努力とは。

「努力 とは」と検索をする。
努力(どりょく)とは、目標を実現するために、心や身体を使ってつとめること。
らしい。Wikipediaに書いてあった。

じゃあ私、ただいま努力の真っ最中です。
胸を張って言える。
子どもを育てるために、心を、身体をすり減らして毎日毎日つとめている。

「努力は必ず報われる」
昔はよく言われていたと思う。
最近は全然聞かない。そういう時代なのかも。

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今度はClubhouse離婚

今度はClubhouse離婚

コロナ禍で一気に広まったコロナ離婚。
実際にはコロナが原因で離婚に至ったわけではなく
もともとの不和がコロナが原因で発覚したのだ。

夫婦の問題が多くあった人たちも
今まではお互いが仕事に行き別の時間を持つことで
見て見ぬ振りができたから何事もなく夫婦としての形が保たれていた。

しかし
緊急事態宣言で夫はリモートワークで朝から家にいる。
子供たちも家から出られずに妻は3食ご飯の支度をし、そして自

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そこに小さな楽しみはあるのかい?

そこに小さな楽しみはあるのかい?

Google先生に ていねいな暮らし と話しかけるとうざい 胡散臭い つかれた 無理 と予測変換がつづけて出てくる。

これだけみると「ていねいな暮らし」は相当嫌われているようだが、雑誌で特集が組まれてるのをよく見るし、インスタのハッシュタグなんかでもよく見かける。むしろ好かれているように見えるが。

正直「ていねいな暮らし」からはかけ離れた生活をしているから何とも言えない。家事に対して時間をかけ

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不妊治療に泣き、最後は喜びで泣いた

不妊治療に泣き、最後は喜びで泣いた

昨日、子供が産まれた事を皆さまへ報告させて頂きました。

沢山のお祝いメッセージを頂き、本当に嬉しかったです。noteというコミュニティの温かさを実感しました。

出産の報告だけだと、順風満帆に感じて頂ける事と思いますが、決して平坦な道のりではありませんでした。

ここに至るまでの苦難の道のりと、私が社会に投げかけたいメッセージをここに記します。

初めての妊娠は流産私は妻と結婚をして、3年半くら

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プライベートが幸せだから、仕事がしんどいのかも

プライベートが幸せだから、仕事がしんどいのかも

私の幸せを感じる能力は、おそらく幼稚園児と同じくらいで、
ご飯が美味しいとか、可愛い猫を見かけたとか、偶然話した人が親切だったとか、そういうことで幸せになれる。

だけど、どうしても、仕事をしていると不愉快な気持ちになることが多い。

楽しいと感じるときが全くないわけじゃない。
でも、「仕事」が楽しいというわけではない。
一緒に働くなんとかさんがいい人だったので嬉しいとか、ちょっと難しい仕事が解決

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男性不妊検査を受けた時に考えたこと。 それと魚について。

男性不妊検査を受けた時に考えたこと。 それと魚について。

「なぁ不妊検査受けてみてくれへん?」

妻がこう言ったとき、私は夕食の煮イワシを口にしようとしていた。

リビングダイニングのテレビでは『世界ふしぎ発見!』の女性レポーターが、ダ・ビンチがゴニャゴニャと私達へ熱っぽく語りかけている。

私はイワシの梅煮が好きだ。

その日はそれをご飯のおかずとして食べるか、はたまたビールの肴にすべきか悩んだ結果、半分はご飯と食べ、残りはビールでゆっくりと楽しむこと

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