メルシーベビー

言葉の国、文字通り、163番街に住んでいます。詩人はツェランが好き。

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    • 詩を紹介するマガジン

      主にドイツ、フランス、それから日本の詩をご紹介していきます。訳は基本的に拙訳。詩の背景や作者にも言及しつつ、自分の感想なども書いていきます。不定期更新。

    • お仕事日記

      仕事が中心のエッセイです。建築業界、不定期連載。

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      短編小説と散文を集めています。

    • あったらいいなシリーズ

      「あったらいいな」をまとめています。なんでも思いついたことを書きます。

    • 翻訳 カフカ「父への手紙」

      カフカ「父への手紙」を訳しています。400円の買い切りです。 よい作品だと思いますが翻訳が少ないようなので、皆さんのお手元で読んでいただけたらと思いました。 これから親になるすべての人、かつて子どもだったすべての人へ。

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    ずっとnoteに訳を連載してきた、カフカ『父への手紙』を出版しました。楽天ライティングライフで出してみましたので、電子書籍で読んでみたい方ご利用ください。 https://books.rakuten.co.jp/rk/0ebe99edb6023dcab215310ea40411fe/?l-id=search-c-item-text-02 noteのマガジンはこちら。 https://note.com/mercibaby/m/mc992331d5e77

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      • 真面目においしく生きるなら

         このあいだ喫茶店でデザートを食べていて、ふと「人間、食べるために生きてるよな」と思った。おいしい一皿、口の中に味わう幸福な一瞬のために生きてる、そう言っても過言じゃないと思った。    デザートがそれくらいおいしかったとも言える。マロンクリームの乗ったコーヒーゼリーと、シナモンのかかった焼きリンゴ。旬の味覚は、肌寒さの増す外の景色とあいまってより一層おいしくなる。    古代ギリシャの哲学者が「食べるために生きるな、生きるために食べよ」と言ったとか言わないとか聞くけど、食べ

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        • 「格差」と言われるといつも思い出す

           留学先のドイツにいた頃、驚いたのは町中にある格差だった。例えば大学生や大卒なら英語を話せるけど、そうでない人や移民はまず話せない。    大学近くの大通りなら、留学生が多いこともあり、屋台の店員も商売に必要な英語は話す。「パンに玉ねぎはつける?」とか「長いソーセージ二つ折りにする?」とか。でもそれ以上のコミュニケ―ションは、ドイツ語でないと通じなかった。    大学通りからすこし離れた店になると、本当にドイツ語しか通じなくなった。ドイツの人々はあまり外交的ではないと言われる

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          • 「死なないで」って今も言えない

             高校生のころ友達から「死にたい」とメールが来た。深刻な内容だから返信に悩んだ。悩んで「死なれたら悲しいけど、あなたの意志なら受け入れる」という内容を送った。この対応はずっとあとになってから不満を言われることになる。   「なんであのとき『あなたがそうしたいなら仕方ないね』みたいに言ってきたの。わたしは『死なないで』って言われたかった」    その人とはもう連絡を取ってない。コミュニケーションのむずかしさを教えてくれる人だった。    「死なないで」って言われたいものなんだろ

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            『楽に痛みなく死ねるならどうする?』

             いつでも楽に痛みなく死ねる自殺装置があったら、皆どうするんだろう。友人たちとそんな話をする。   「『いつでもあれで死ねる』と思えば、いろんなことにチャレンジする人が増えてくると思う。最悪、最後は安楽死装置つかえばいいんだから、保身に回る必要がなくなる」  一人はそう言った。  確かに、いつでも自分の意志で死ねるとなれば「老後のために資金を貯める」よりも「やりたいだけやってスッカラカンになったら逝くわ」ってスタンスの人も出てくるか。こういう生き方/逝き方もアリなのかもし

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            ヒマだから読んでる、で何もわるくない

             「小さい頃は本を読んでいるだけで『真面目だね』ってほめられるのに、大人になった途端、『いいトシして本ばっかり読んで』って言われる」  母はときどきそう言って愚痴る。    小学生の頃、読書好きな子は偉いという雰囲気があった。図書館から借りた冊数の多い子が表彰される制度があったから、借りたあと読まずにすぐ返す子もいた。そういう水増しが横行するくらい、本はなんとなく知的でいいものだと思われてた。    小中学校では、ダレンシャンやハリーポッターをみんなで貸し合ったり、『恋空』が

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            あまりにも些細なモヤモヤ

             定時であがると、同じように仕事を終えた別の会社の女の子たちと横断歩道で一緒になったりする。信号を待っているあいだ見るともなしに見ていると、鞄が小さい子がときどきいる。ブランド物の紙袋に、財布も入らない小さな鞄の組み合わせ。    自分がずっとリュックサックで通っている。中には資格試験の参考書とか、水筒とかお弁当とか読んでいる本が入ってやや膨らんでいる。大学時代に語学の辞書を持って歩いたときよりマシだけど、中身は詰まっている。    小さい鞄って、やっぱりおしゃれなのかな。重

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            毎日がすこしずつ別の一日だということ

             ジャン=ポール・サルトルの『嘔吐』を訳しながらゆるゆる読んでいる。冒頭はこんな感じ。  こうして日記のような小説が始まる。この出だしは、自分に自信がないと書けないと文章だ。生粋のエリートコースを歩んだ人間がかもし出す、環境と天才のハイブリッド。    それにしてもここで書かれていることは、なんだか印象深い。日々の出来事を書き記しながら、昨日と今日のささいな違いに耳を澄ますこと。言われてみれば、よく似通って言見える毎日は、本当はすべてが違っているのだった。    万物は流転

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            虫めづる韓国

             『くだらないものがわたしたちを救ってくれる』を読む。帯には「ああ、今日も推し(線虫)が尊い。」と書かれている。線虫を研究する科学者の本だ。糸のように長い虫なのでそう呼ばれるらしい。    著者は韓国人で、読んでいると「日本との距離感そんな感じなんだ」とか「そこはかなく韓国を感じる」と思う箇所がところどころに出てくる。たとえば第1章の最初の節「何の因果で科学者に」では、少年ジャンプが自然に登場している。  そういうものなんでしょうか、男児のみなさま。わたしはマンガ雑誌で自分

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            勝手に撮らないでほしい

             喫茶店のメニューに「マロンクリーム」「アップルシナモン」が踊るようになって、秋。友達は、最近のユーチューバーに苦言を呈している。   「ショッピングモールの休憩所で電話してたら、Tiktokかユーチューバーみたいな人が動画撮りながら『すみませーん』て声かけてきて。人の許可とかなしにもう動画撮ってるの、本当にやめてほしい」    わかる。動画じゃなくても、勝手にカメラを向けられると嫌な気持ちになる。  むかし、乗っていた新幹線が半日以上立ち往生してニュースにまでなった。暗くな

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            わたしは今でも高慢だけれど

             田舎の公立校に通っていたから、中学のクラスメートにはいろんな人がいた。孤児院に住んでいる子、いくつか習い事をする余裕のある子、スポーツでジュニア日本代表に選ばれる子、家庭が生活保護寸前の子。    家庭の経済事情と成績のよさが比例しているのを、みんな肌で知っていた。お金持ちの家の子にはなにも勝てない、はっきりそう言った子もいる。張り合おうとするだけバカだと。みんなそういう空気の中で10代前半を過ごした。    自分の家は相対的に恵まれたほうだった。ある日、普段お調子者の男子

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            「対話って大事なんです」

             同じ学者の本を連続して読んでいる。内容は整っているけれど、まったく同じ文章が何冊にもわたって出てくる。同じデータを扱い、表現を一切変えないで一語一句そのまま。こうも繰り返されるとだんだん倦んでくる。    それなりに影響を受けた著者だったから、なんだか悲しい。繰り返し使っているデータ以外に似たような例を見つけられなかったのか。いや探せばあるはずだ。それなのに、どこの本でもすべて同一のケースを例に挙げてくる。誰も指摘する人がいない。    どこかで研究への意欲が死んだのだろう

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            ずいぶん前に載せたアンケートをいまさらながら集計しました。答えてくださった皆さんありがとうございます。 「楽に安全に歯を白くする方法が知りたい」と書いてくれた人、たぶんおすすめはこのへんかと。歯を削らないタイプです。(リンク先は楽天) https://search.rakuten.co.jp/search/mall/%E3%83%9C%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%9E%E3%82%B8%E3%83%83%E3%82%AF+%E3%83%9B%E3%83%AF%E3%82%A4%E3%83%88%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%9A%E3%83%B3/

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            ドラマ、ちょっと昔のアメリカ

             アメリカの人気ご長寿ドラマ「フレンズ」を見ている。シェアハウスに住んでいる仲間たち6人が主人公の、日常系コメディー。座ってみるコメディなのでシットコメディと言うらしい。逆がスタンダップ・コメディ。    1994年放送開始、そこから2004年まで続いたというから、知ってる人もそれなりにいるかもしれない。当時のアメリカが伝わってくるので、新しい歴史ドラマを見ている気になる。いまシーズン1。    94年には当然、スマートフォンがない。携帯電話も普及してない。登場人物がトランシ

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            私はアンドロイドに似ている

             すごくきれいな風景を見て「絵の中にいるみたい」と思う。すぐれた絵本や美しい風景画や、アニメのワンシーンみたいな景色が世の中にはある。それにしても、なんで「絵の中にいるみたい」と形容するんだろう?    絵やアニメは、実際の風景をまねして描かれている。ほんとうならオリジナルなのは、現実にある風景のほうだ。だから現実をたとえるのに絵を持ち出すのは、なんか変な感じがする。オリジナルを褒めるのに、コピーを引き合いに出すなんて。    こういうことは時々ある。  小学校の理科の教科

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            大きな不幸のただなかで

             大きな不幸は目に見えない。目の前の小さな不幸なら気づくけれど、自分を取り囲むくらい大きくなってしまうと、もはやそれを自覚することができない。    いつだったか大学の授業で、担当の先生がこんなことを言った。 「いまはとてもいい時代なんです、絶対。だって江戸時代なんかには身分制度があったわけでしょ」  士農工商みたいな、固定された身分がないだけ私たちは幸せなのだ。現代を生きる我々は恵まれている。ただ科学技術が発展した結果、江戸時代にはなかった苦しみが生まれていますね……話

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