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詩を紹介するマガジン

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主にドイツ、フランス、それから日本の詩をご紹介していきます。訳は基本的に拙訳。詩の背景や作者にも言及しつつ、自分の感想なども書いていきます。不定期更新。
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記事一覧

【詩を紹介するマガジン】第19回、Jacques Prévert(ジャック・プレヴェール)

 どういう詩なのか、映像で見るとこんな感じ。  映像では女性が主人公になっているが、男性…

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【詩を紹介するマガジン】第18回、岸田衿子

 「明日には間に合わなくても 来世の村に辿りつくだろう」。幼いころ初めて読んだときには「…

【詩を紹介するマガジン】第17回、吉野弘

 吉野弘の詩の代表作──ではない。有名になったのは、もっと戦争の色がしない詩で、穏やかで…

ウクライナ詩翻訳

 今日は急遽、詩の翻訳をすることにした。ウクライナの学校で教えられていて、みんなが勉強す…

【詩を紹介するマガジン】第16回、高村光太郎

 息が白く、寒さに身を切られるような気持ちになってくると、この詩を思い出す。「刃物のよう…

【詩を紹介するマガジン】第15回、大木実

 大木実、1913年生まれ。1996年没。この頃に日本男児として生まれれば、戦争にまきこまれるの…

【詩を紹介するマガジン】第14回、茨木のり子

 茨木のり子には、いつもどこか「女」を感じる。それは大和なでしこ的な女らしさではなくて、一本芯の通っているあの感じ。女の人にしか出せない、気迫のある強さ。そういう意味での「強い女」。  強い女にしか書けない詩がある。茨木のり子の代表作はほかにあると言われがちだけど、自分が紹介したいのはこの一篇になる。  「コミュニケーション能力」が生きるのに必須になっている現代だから、みんなよく喋る。SNSでもリアルでも、とりあえず口がうまいと勝つ。誰かを言いくるめないと自分が不利にな

【詩を紹介するマガジン】第13回、三木卓

 早口で読みたい日本語。  歴史は繰り返す。最近ある人から「お母さんに似てきたわね」と言…

【詩を紹介するマガジン】石垣りん(2)

 石垣りん、代表作がひとつに絞れない。【詩を紹介するマガジン】の8回目では「貧しい町」と…

【詩を紹介するマガジン】第11回、会田綱雄

 この詩人の詩はこれしか知らない。小さい頃に読んでよくわからなくて、少しだけ大人になった…

【詩を紹介するマガジン】第10回、江國香織

 「江國香織って小説家でしょ」と思う人は多い。自分の中でもこの人は「小説を書く人」の立ち…

【詩】パウル・ツェランを読む。

 ここにツェランの詩がある。  宗教画で、キリストの後ろに輝いている後光。縦に長いアーモ…

【詩を紹介するマガジン】第9回、田村隆一

 生きたまま死んでいるような人間は、死にも生にも触れることができない。棺が歩いているのと…

【詩を紹介するマガジン】第8回、石垣りん

切り詰められた生活の切実さ、ただ「生きる」ことの圧倒的な重み、愛という言葉でコーティングされる人の醜さ。日常の残酷さから目を背けることのない人だ。石垣りん。いつか取り上げようと思っていたけど、気持ちに弾みがつかなかった。 紹介する詩を一本に絞ることができない。どれもこれも読んでいて「痛い」。その中でも以下の詩は、働くことを表現した一篇として最高峰だろう。 「貧しい町」 一日働いて帰ってくる、 家のちかくのお惣菜屋の店先きは 客もとだえて 売れ残りのてんぷらなどが 棚の上