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君はドリアン・グレイ
君はドリアン・グレイだ
肖像のないドリアン・グレイ
いつでも人気者だった
女の子の群れに囲まれて
どんなに意地の悪いことも
若く美しい君は許された
君はドリアン・グレイ
になれなかった
最初は小さな綻びだった
隠し通せる程度の小さな穴
俺はこんなのにやられる男じゃない
黙ってりゃもっと上まで行けるんだ
君はドリアン・グレイだ
肖像のない
人
【小説】詐欺師の娘たち-2
前回の記事はこちら。
女たちの目をまっすぐに見るようになった。それ以来、体調が悪い。
彼女たちの瞳の中にある、ベタベタして救いようのない黒くて重い何かが、父親に移り、それから繋いでいる手を伝って流れてくる。私に。美しく着飾り、自分にとって人生はなんてことないと明るく笑う表情の裏で、毎晩泣いているような何かが。それは一個の人格を持っていて、人の感情であるというよりは人に憑りつくような何か。