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#博物館

全国自然博物館の旅㊲豊田ホタルの里ミュージアム

全国自然博物館の旅㊲豊田ホタルの里ミュージアム

5月下旬から6月上旬はホタルの発光観察のメインシーズン。すでにホタル観察に出かけられた方は多いのではないでしょうか。
幻想的なホタルの光を見るのなら、やはり名所に行くのがベスト。この度は、ホタル観察の聖地・山口県の豊田町に立つ自然博物館に行って参りました。

天然記念物の地でホタルが舞う!山口県の下関市が擁する豊田町。この地は、国内屈指のホタル観察の聖地です。木屋川流域のゲンジボタルの生息地は国の

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千葉百年後芸術祭・内房総アートフェス(千葉県木更津市・市原市・袖ケ浦市)

千葉百年後芸術祭・内房総アートフェス(千葉県木更津市・市原市・袖ケ浦市)

千葉県を中心に展開しているアートイベントである千葉百年後芸術祭。千葉県が誕生して百五十周年記念事業の一環として、百年後を考えるという芸術祭である。広大な千葉県の各エリアで開催されており、全てを回ろうと思うととても一日では回りきれないボリューム。

専用のHPがあるものの、そこだけは情報がよくわからないので調べてみたところ、百年後芸術祭には全部で以下のエリアがあることがわかる。
・内房総アートフェス

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【一人旅レポ】青森の主要4美術館を東京から一泊二日、電車・バスだけで周る

【一人旅レポ】青森の主要4美術館を東京から一泊二日、電車・バスだけで周る

【約6,900文字、写真約60枚】
実体験を基に「青森県の4つの美術館を」「東京から一泊二日」「電車・バスで周った」「一人旅」について、具体的なルート、食べたものとともに、感想などを書きます。

結論から言うと、青森の主要美術館は素晴らしいものばかり!美術館メインで旅行を組む価値は十分にあります。なお、車を使わない場合、2日で5つの美術館は周り切れず、4つが限界でした。注意点は、青森は都内と違い、

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展覧会レポ:十和田市現代美術館「常設展」「野良になる」ほか

展覧会レポ:十和田市現代美術館「常設展」「野良になる」ほか

【約5,900文字、写真約80枚】
青森の美術館巡りの一環として、十和田市現代美術館で「常設展」「野良になる」などを鑑賞しました。その感想を書きます。

結論から言うと、こんな美術館は初めてで、満足度が高かったです!とにかくクセが強すぎて、楽しい!面白い!アートに興味が全くない人も十分楽しめると思います。また、無料で楽しめる屋外アートが多く、美術館の建築も外に丸見えになっていることにより、アートと

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美術家たちの沿線物語 小田急線篇+京王線・井の頭線篇 /世田谷美術館

美術家たちの沿線物語 小田急線篇+京王線・井の頭線篇 /世田谷美術館

 東京都世田谷区では、京王線、小田急線、東急線が東西を貫き、東急世田谷線が南北を結んでいる。
 これら私鉄の開通と宅地開発が並行して進むにつれ、沿線を中心に賑わいが生まれていった。
 いっぽうで、どの路線からも離れた地域には、現在でも農地や緑地が散見され、往時を偲ばせるとともに、世田谷らしい暮らしやすい雰囲気にもつながっている。

 世田谷美術館では、区内で暮らし、制作に励んだ美術家の作品や資料を

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特別展『本阿弥光悦の大宇宙』のストーリーを整理して分かりやすく解説……を試みる@東京国立博物館

特別展『本阿弥光悦の大宇宙』のストーリーを整理して分かりやすく解説……を試みる@東京国立博物館

東京国立博物館(トーハク)で始まった、特別展『本阿弥光悦の大宇宙』へ行ってきました。「どうだった?」と美術館・博物館が好きな人に聞かれたら、本心から「うん、よかったよ。ぜひ行ったほうがいいよ」と答えると思います(まだ、そんな質問をされたことがありませんけどね)。実際、展示を巡って会場を後にする時には、良いものが見られたということで気持ちが高揚気味でしたし、そうした気持ちを反映させた記事を下記に寄稿

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道東の美術館・博物館27か所行ってみた(十勝・釧路根室・オホーツク)

道東の美術館・博物館27か所行ってみた(十勝・釧路根室・オホーツク)

美術館や博物館を巡るのが好きだ。
学生時代を過ごした東京には回り切れないほど美術館がたくさんあって、世界中の古いものから新しいものまで、なんでも見ることができた。芸術・文化が集まっていることは、なんなら京都から上京した理由のひとつでもあった(今になると、京都こそいろいろあるよ!と言いたいが)。
社会人になって東京から札幌へ転勤し、2年前からは帯広へ。道東といえば、都会とは真逆の“大自然”が広がる土

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大学博物館の可能性(明大博物館長×広大博物館長)

大学博物館の可能性(明大博物館長×広大博物館長)

本記事は、明治大学博物館広報誌『MUSEUM EYES』Vol.80の特集「大学博物館の可能性」をnote向けに再編集したものです。元記事は以下のリンクからPDFにてご覧いただくことが出来ます。

中坪孝之(NAKATSUBO TAKAYUKI、写真右)
広島大学総合博物館長、総合生命科学研究科教授
研究テーマは「外来植物・希少植物の生態学」など
千葉修身(CHIBA OSAMI、写真左)
明治大

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地元の水族館が閉館するので久々に行ってみたら、想像よりガチだった話

地元の水族館が閉館するので久々に行ってみたら、想像よりガチだった話

 僕の地元には、水族館がある。

 幼い頃に家族に連れられて行った思い出はあるが、正直なところよくある田舎の水族館だと思っていた。

 そんな水族館が今月末で閉館することになったので、小学生の頃ぶりに行ってみることにした。
 ところが、こうして大人になってから行ってみると、これがだいぶ「本気」めの水族館だったことに気付いたのだ。

海洋大学が直々に経営する水族館

 水族館の正確な名前は、「東海大

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『学芸員の観察日記』に拙著がおすすめの本として紹介されました

『学芸員の観察日記』に拙著がおすすめの本として紹介されました

近日刊行される 4コマ漫画『学芸員の観察日記: ミュージアムのうらがわ』を 滝登くらげ先生よりご恵贈頂きました。

展示から求人まで博物館の裏側が網羅された素晴らしい一冊でした。

各エピソードに併記されるひとことも良き!

また、本書籍内に拙著『ただいま収蔵品整理中!学芸員さんの細かすぎる日常』がおすすめ本として紹介されています。

ご興味がありましたらこちらも是非!

祝これぽーと1周年│美術館・博物館のコレクション展のすすめ

祝これぽーと1周年│美術館・博物館のコレクション展のすすめ

美術館・博物館という"場・空間"が好きなわたしは、全国各地、そして世界各地でいろいろな館に出かけてみて、長らく不思議に思っていたことがありました。

なぜ、日本の美術館・博物館のコレクション展や常設展示のスペースは、だいたいいつも空いているんだろう・・・
もしかして、その魅力も存在も、ほとんど知られてない・・・?

だとしたら、もったいなさすぎる!!!
・・・でも一方で、そうなってしまう理由もわか

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慶應義塾大学慶應義塾史展示館〜ミュージアムコモンズ(東京都港区・三田駅)

慶應義塾大学慶應義塾史展示館〜ミュージアムコモンズ(東京都港区・三田駅)

・慶應義塾大学慶應義塾史展示館

福沢諭吉が設立した慶應義塾大学。以前に訪れた早稲田大学と並ぶ、私立大学で最も歴史のある大学である。3番目に歴史のある國學院大学と明治大学も攻略済なので、やはりここは押さえておかなくてはと訪問。他の大学とは違いここは平日のみの開館となっているため訪問には注意が必要。

場所的には東門から行くのが最も近い。ただ、慶應義塾=三田といえばラーメン二郎の三田本店である。空腹

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ゴールデンカムイの最終回描写と「ゴールデンカムイ展」~学芸員資格持ちの美術史院生が考察してみた〜

ゴールデンカムイの最終回描写と「ゴールデンカムイ展」~学芸員資格持ちの美術史院生が考察してみた〜

2022/06/01 追記1

最終回の「博物館」描写和人が選び、集め、公開している 博物館の「アイヌ展示」

 何故最終回の「博物館」描写が批判されているのか? 私は長いこと理由が分かりませんでした。

 私は博物館学を学び、学芸員資格を取得しています。
 現在は修士課程で美術史を学んでいます。
 おそらく、マジョリティのつくってきた「博物館学」の伝統に、飲み込まれていたのでしょう。

 博物館

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“さわる”展覧会「ユニバーサル・ミュージアム」に行ってきました!

“さわる”展覧会「ユニバーサル・ミュージアム」に行ってきました!

「ポプラ社こどもの本編集部note」では、全盲の文化人類学者で国立民族学博物館准教授の広瀬浩二郎さんに、連載〈失明得暗──新たな「ユニバーサル」論の構築に向けて〉を3回にわたって書いていただきました。(こちらからお読みいただけます→第1回、第2回、第3回)
「誰もが楽しめる博物館」の実践的研究に取り組む広瀬浩二郎さんは、2021年秋に国立民族学博物館で開催された「ユニバーサル・ミュージアム ――

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