マガジンのカバー画像

瞳に勇気、背中に未来 ―やがて冒険の世界に巣立つ君へ―

676
おとなはかつて子どもだった。 しかし、そのことをおぼえているおとなは少ないものだ。  ――サン=テグジュペリ『星の王子さま』 ◆すべての少年少女は、やがて大人となり、社会の構成…
運営しているクリエイター

#ゲーム

第394号『今すぐスマホを出してください』

第394号『今すぐスマホを出してください』

「これから講義を始める前に皆さんにお知らせがあります。カバンの中に入れてあるスマホを今すぐに出してください。そしてこれから私が話す内容を聞きながらわからない言葉があった時にはすぐに調べてください。また気になる言葉などがあったらスマホにメモを取ってください」

最近は全国の学校(専門学校や大学)で講義を行う際には最初にこういった告知を行うようにしています。

というのもですね。最近の学校教育は実にし

もっとみる
好きなものを作ればいいという無責任

好きなものを作ればいいという無責任

「そもそもなんでこんなゲームジャンルを選んだんですか?だってそうでしょう?いくらこういった作品を作ったところで企業は誰もあなたのことを評価しませんよ?なぜこれでいいと思ったんですか?」

これは先日訪問した専門学校で講演を実施した後に行った作品講評会で実際に学生さんが作ったゲーム作品を見て(あまりにもズレていて酷かったので)思わず私自身が口にしてしまった言葉です。

学生さんからはこんな答えが返っ

もっとみる
ゲーム業界を目指す僕を救った、新卒採用面接での質問

ゲーム業界を目指す僕を救った、新卒採用面接での質問

こんにちは。仕様です(@shiyoumasayume)という名前でSNSをやっているゲームプランナーです。

ふだんはコンシューマータイトルプロジェクトのセクションリードとして、ディレクターやプロデューサーがふわっと旗を振ったコンセプトから具体的なゲームデザインをする仕事をやっています。

2020年の9月も下旬になりまして、ゲーム業界を目指す21年度卒の学生さんの就職活動はだいぶ終盤に入ってきた

もっとみる
引きこもりゲーマーが気が付いたら大手ゲーム会社に入ってしまった話。

引きこもりゲーマーが気が付いたら大手ゲーム会社に入ってしまった話。

気が付けば新卒で大手ゲーム会社に入社してから3年が経過している。

ゲームしかしていなかった小さいころの僕にとっては夢のような生活だろう。

単なる引きこもりゲーマーだった僕がどうやってゲーム会社に入ったのか、簡単に紹介していこう。誰かの参考になればハッピーこの上ない。

小中学生時代:Wi-Fiとネット掲示板DSの「おいでよ どうぶつの森」のCMで「Wi-Fi通信をすることで遠く離れた友達とも遊

もっとみる
仕事は嫌々ながらやるもんだって誰かが決めた世界

仕事は嫌々ながらやるもんだって誰かが決めた世界

今と昔ではもちろん時代も背景も文化・風潮も違いますので価値観だってなんなら法律だって異なります。

私が子供の頃に多くの大人達から聞かされた言葉がありました。

「若いうちの苦労は買ってでもしろ」

本当に何度も何度も聞かされました。親にも学校の先生にも親戚のおばさんにもおじさんにも友達の親にすら言われたこともありました。

そういう時代だったのでしょう。

戦後の高度経済成長時代のことを考えると

もっとみる
二度とお前には教えない

二度とお前には教えない

これは今からおよそ30年くらい前の話です。

私は大学を卒業後にコンクリート二次製品メーカーに就職しました。(それから3年半ほど務めた後に友人と一緒にゲーム開発会社サイバーコネクトを作ったのですが、それはまた別のお話)

今回は私がまだ22歳で初めて会社員(社会人)としてお仕事を始めたばかりの頃に実際に起きたエピソードです。

*****

二度とお前には教えないそれは入社して研修を終えて2か月ほ

もっとみる
お前が来たら手加減するなと言われてるぜ、お前の親父にな

お前が来たら手加減するなと言われてるぜ、お前の親父にな

「松山さんの会社って人材の募集ってずっとやってますよね?ちょっと紹介とかでもいいですか?」

たまにこんな連絡をいただくこともあります。

確かにサイバーコネクトツーでは常に人材を募集しています。多くはゲーム開発者を対象としたものですが中には総務・経理・人事・宣伝・広報といった開発者を支える業務部の人材も募集しています。

特に最近は世界的な自粛体制の影響からか「働いていた会社が倒産したので転職し

もっとみる
逃げた先に楽園なんか無い

逃げた先に楽園なんか無い

学校訪問や直接講演を少しずつ再開しました最近少しずつ出張や移動が増えてきました。まだまだ世の中が落ち着いてきているとは言い難い状況ではありますが、みんなが少しずつ経済活動を再開してきている流れにあるのだと思います。

そんな中で私自身も福岡本社への来客が増えたり会食も増えてきて、同時に専門学校や大学での特別講義や講演を直接学校に訪問して実施する回数が少しずつ増えてきています。

まだまだオンライン

もっとみる
“描きたい”って言う人ほど描かない

“描きたい”って言う人ほど描かない

「絵、描きたいんですよね~」

「小説、書きたいんですよね~」

「マンガ、描きたいんですよね~」

「ゲーム、作りたいんですよね~」

「動画配信、やりたいんですよね~」

これらを口にする人はまず“やりません”。

描かないし、書かないし、作らないし、配信もしない。

なんにもやらない人です。

私の周りにもたくさんいますよ、こう言う人。

で、見ててもまずやらないですね。

なんなら「○○し

もっとみる
おこめDがイラストレーターを辞めた理由

おこめDがイラストレーターを辞めた理由

どうもゲームディレクターのおこめです。
今日は過去イラストレーターだった自分が、イラストを描くのをやめて、ディレクターを目指すことになった理由をお伝えします。

まぁシンプルに、イラストを描き続ける自信がなくなったからなのですが、前向きな決断だったので、良かったら読んでください。

1.プロの厳しさ
プロのイラストレーターの厳しさを感じたのが一つの理由です。
まずスケジュールとクオリティです。

もっとみる
生まれた意味を知るRPG

生まれた意味を知るRPG

「人はいずれ死ぬ」その恐ろしい事実を知った時は小学生ぐらいの時でした。初めてそれを知った私は周りの大人たちに「どうして人は死ぬの?」と聞いて回るくらいに子供でした。

周りの大人たちはそんな私に「誰も死ななかったらこの星で人で溢れかえって住めなくなるからだよ」とか「人間は一生かけて成長して大きくなってやがて老化して死んで天国に行くんだよ」と様々な(気を使った)返答をしてくれました。

が、やはりや

もっとみる
子供たちは自動的に夢を見ない

子供たちは自動的に夢を見ない

一昔前までは子供たちに“将来なりたい職業は?”というアンケートを取ると必ず“ゲームクリエイター”と書かれていました。

5本の指には必ず入っていました。

現在はそうではなくなってきています。

代わりに“ユーチューバー”って書かれるようになってきました。

誕生日やクリスマスで“欲しいものは?”と聞かれると以前は必ず“ゲームソフト”と書かれてましたが現在は“アイフォン”って書かれます。

まぁ、

もっとみる
退屈が人を殺す

退屈が人を殺す

『はじめの一歩』の作中で“なぜイジメが起きるか?”ってエピソードがあって、その中で(イジメる側がそういったことをやるのは)“ヒマだから”という恐ろしい理由が明示されます。

漫画本編でこのエピソードを読んだ時は“身も蓋も無いなぁ”と思いましたし、もう少しマシな表現はないのか?とすら思いました。

だってイジメられてる側の視点から見るととんでもないフザケた理由じゃないですか?自分自身に降りかかる(降

もっとみる
最初の10年の仕事の仕方③

最初の10年の仕事の仕方③

『最初の10年の仕事の仕方』シリーズ『①』『②』が更に大きな反響がありましたので、引き続き続編記事をお送りしたいと思います。

前回までの記事はこちら(↑)からご確認いただくとして。今回も“最初の10年”にスポットを当てて記事をお送りしていこうと思います。

2001年当時のサイバーコネクトツーは全社をあげてプレイステーション2専用ゲームソフト=オリジナルRPG『.hack』全4巻の開発を行ってい

もっとみる