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ゲーム業界を目指す僕を救った、新卒採用面接での質問

こんにちは。仕様です(@shiyoumasayume)という名前でSNSをやっているゲームプランナーです。

ふだんはコンシューマータイトルプロジェクトのセクションリードとして、ディレクターやプロデューサーがふわっと旗を振ったコンセプトから具体的なゲームデザインをする仕事をやっています。

2020年の9月も下旬になりまして、ゲーム業界を目指す21年度卒の学生さんの就職活動はだいぶ終盤に入ってきた頃でしょうか。22年度卒の学生さんは、そろそろ就活の準備をしなきゃなあ、なんて考える人が増えてきた頃かもしれません。

僕はこのnoteでゲーム業界でのはたらき方についてよく触れているのですが、ゲーム業界に入る際の面接の様子について知りたいという人もいるのではないかとふと思いました。というか、当時の僕がそういった情報を探してネット上を徘徊していた記憶があります。

そこで今日は僕が就活生として体験した新卒採用時の面接について書いてみようと思います。

実は専門学校に通いでもしない限りゲーム業界の具体的な就活情報って手に入りにくくて。面接の場ではこんなことを聞いてみてもよかったよ、という情報にもある程度価値があるのかな、なんて思いましたのでまとめてみようと思います。

僕の就活時のステータス

僕は経済学部に通う大学生でした。特にプログラミングができたり絵を描けたりといったスキルは持っておらず、ゲームを遊んだ本数も人並みかそれよりちょっと少ないくらい。ただ何かしらモノつくりに関わる仕事につけると楽しそうだなと思っていた人間です。

そんなところから大学三年の秋頃に何のスキルも必要なさそうなゲームプランナーを目指して勉強と準備を始めましたが、とにかく箸にも棒にもかからない日が続きます。最初に志望した大手のゲーム会社は書類審査の段階で落とされ続け、何度か書類のブラッシュアップを繰り返してようやく面接にこぎつけた中小規模のゲーム会社もことごとくお祈りをいただくという有様。控えめに言っても優秀な学生ではありませんでした。

夏の暑さが本格的になる前には就活スーツを脱ぎたいよねえ、なんて友人と話していた僕は結局真夏になってもスーツを着続けることになります。いい加減心が折れそうになってきた中で、ようやく貴重な面接を1社こぎつけることができました。

どうせ落ちるだろう

書類審査で落ちるのは当たり前、一次面接で落ちるのが最高到達点というのを繰り返していましたから、面接をこぎつけても「どうせ落ちるだろう」という気持ちは強いままでした。

「ダメそう」

面接に訪れた会社はゲーム開発に特化したデベロッパーで、事前の情報でそのことを知ってはいましたが、現地の雰囲気にやられてしまった僕はシンプルにそんな感想を抱きました。ゲームを人一倍遊んでいるわけでもない僕がこんなガチの開発会社に来てどうするんだと。

このとき僕は思考を面接を頑張ることではなく「どうせ落ちるなら」という方向にシフトさせることにしました。落ちてしまっても就活はまだ続く、時期的にゲーム業界はそろそろ厳しいけれど、あと数社なら…といった具合に、別の会社を受けた時に役に立つようなものを今日はせめて持ち帰ろうという気持ちです。

最後の質疑応答で言った、1つの質問

面接は和気あいあいとしたものでした。思っていたより話しやすい会社だなあと思い、僕は面白いと思ったことがあれば雰囲気にまかせて笑うようにしました。そのおかげか「一番好きなゲームってどんなもの?」「この企画のココはどういう意図で入れてるの?」などの質問にも比較的リラックスして答えられた気がします。

面接も終わり、最後の質疑応答の時間。どうせ落ちるのならとすでにある種無敵な状態となっていた僕は、「僕の企画書をもっと良くするにはどうすればよいのか?」という質問をしました。

もう、それは相手の会社になんの関係もないことです。

既に提出済みで面接も済ませた企画書についてのことです。

僕としてはその企画書を他の会社にも使い回さないといけないので、せめて実際の現場ではたらくプロのプランナーの目でブラッシュアップしてもらおうという気持ちでした。自分の力不足については重々思い知らされていましたから、その自分が作る企画書はきっと穴だらけで、とうてい完璧なものではないと思っていました。

返ってきたのは「時間は大丈夫?」という言葉。

大丈夫ですと答えると、面接官をしていたプランナーさんはおもむろに立ち上がり、なんとホワイトボードを使ってじっくりと丁寧に説明してくれました。企画書の構成から、内容をビジュアル化することの重要性、文章の添削まで。夕方前には終わるはずだった面接は、すっかり夜になりビルの正面出口が施錠される時間を過ぎてから終わりました。

僕は思いがけず期待していた以上のものを受け取ってしまいました。帰り道の僕は「いい会社だったなあ」という記念受験を終えた学生の気持ち。それからまた別の会社の対策を進めるのですが、数週間ほどして、僕はそのゲーム会社から内定を受けることになりました。

何がピンときたのか

内定を受けた僕はそれを辞退する理由などなく、その会社の入社を決めました。

採用後しばらくして、僕は上司となったプランナーに僕のなにがピンときたのかを尋ねてみました。返ってきたのは、「自分の企画書がどうすればもっと良くなるかをその場で聞いてきたから」という答え。

今ならその言葉の意味や気持ちを理解できますが、当時の僕は意外で仕方ありませんでした。

つまり、ゲーム開発とは大勢の人と一緒に一本の面白いゲームを作る作業で。自分の感覚に固執せず人に相談できること、人の意見を取り入れることができるかはゲーム開発者の重要な素養の一つということでした。

本当に何がどういう結果を出すかなんてわかりません…。ただあの日の面接を振り返ると、開き直ってその場の会話を膨らませたことや、意図的でないところがあったにせよ「どうやって面白いものをつくるのか」という問いに対するアプローチを伝えられたことが良かったのかと思います。

またそういった雰囲気になる入り口があったという点では、僕と会社は何かしらの縁があったんだろうなあという気もします。結局僕は今もその会社で何年も働き続けていますし、多分まだまだ働き続けるだろうと思います。


ここまで読んでいただきありがとうございました!

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