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なんでもない。

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記したつもりが消えていくもの。
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#エッセイ

純正じゃない思い。

純正じゃない思い。

 最近、"母に似て来た"と自分でも思うようになった。
以前ほど思い出さなくなっているのにも関わらず、日々、鏡に映る顔を見る度に"母"を感じる。
幼少期には、もうこの世から消えてしまったから、その記憶のほとんどはアルバムの中に在る。自分の子供と向き合う時、ふとスマホに視線を落とす時、
わたしは母親の姿をそこに見つける。

 母は美大の学生だった。21歳でわたしが生まれた。わたしが絵が好きなのは遺伝な

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夢、記憶、可塑性。

夢、記憶、可塑性。

 連続の夏日が薄らいだ昨日、夢をみた。

 「何処でも行けるけど何処にも行けない」彼はそう言っていた。中目黒のベッカーズから学校まで歩く途中で、山手通りの排気ガスとビルの谷間を屈折して、アスファルトに反射する照り返しに眩しく目を細めて、人生について話し合っていた。青春時代の悩みの大半は哲学に触れてから、人生というカテゴリーに分別される。似ているようで似ていない。重いようで軽いようで。擦れているよう

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embalming。

embalming。

 年度末も過ぎて、久しぶりに美容院へ。そして担当のTさんとも、久しぶりに顔を合わせた。

 「今回は暫く空いたね」

 「ええ、気づいたら、カットはもうどうにもならなくて、後、髪の艶、艶が欲しい…」

砂漠で水を求めて彷徨う旅行者の如く、手を伸ばしてジェスチャーして、受付でマスク越しに、お互い大笑いした。

 「伸びたね〜この間に一度も?切らなかったの?」

 「もちろん。セルフカットなんて、

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車エピソード。

車エピソード。

 教習所って言うより、ドライビングスクールって言う響きが好きです。(画像は和泉自動車学校から引用しています)あんまりにも、このキャッチコピーが面白くて。運転しながら上機嫌になる気持ちは理解するけど、実際にひとりで笑顔でも……ね。(怖い)

 吉祥寺にあるドライビングスクールに通っていた記憶を思い出していました。もう閉校してしまったので記憶のみなんですが、総武線の電車に乗り、校舎と走行コースが車窓か

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チャンピオン。

チャンピオン。

 今週は何がとは、具体的に言えないけど、慌ただしかった……。良く眠れる。

 よーし!と金曜の夜だからと、YouTubeで、ミラクルひかるさんの癖の強めなイントネーションで、完璧に再現されてる工藤静香さんのモノマネを連続して観ていたせいか……大笑いしながら夢を観た。

 とあるベッドの上で目覚めて、すく隣に視線を移すと……怪訝そうに見つめるキムタクが!!

 エッ? ……。とまた横にある化粧台を勢

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スキップ。

スキップ。

 娘の塾通いも、波に乗って来た。早いもので、学年末だからね、まだ入り口、人生の試練だから走り抜けろ。

 勉強は手段だから。この世を深く知る為には、知識が必要。あくまでも手段に過ぎない。

 「100%の人生を求めるのが難しいとしても、テストで100点は取れてしまうのよねえ〜」と、悪戯に目線で笑い合う。

 時代がどのように変化しようとも、どのような状況だろうと、起こる事をなるべく面白がり、スキッ

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R.M.T.T(ラーメン食べたい)

R.M.T.T(ラーメン食べたい)

 急に食べたくなるもの。それは、ラーメン。こんな寒い日には特に。いろいろあるけどスープは、澄んだ醤油がいいね。じゃあ、行っとく?行っちゃおうよ!騒がしいクラブ音楽からエスケープするように、R.M.T.T(ラーメン食べたい)と口にすれば気分も高まる。

 六本木の交差点を少し歩いたその先へと、白い息を吐いて彼とふざけ合いながら、えんとつが目印の屋台みたいな建物を目指して、濡れて鈍い街のネオン、車道で

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詰め込む愛。

詰め込む愛。

 久しぶりにお弁当作りをした。自分自身の学生時代から始まり、子供達の離乳食から、幼稚園児の小ちゃなお弁当まで、それはそれで歴史でもある。"不慣れ"だったり、"不器用"だったり、"不恰好"だったり、"質実剛健なお弁当"キャラ弁は時間が無理、でも"彩りと旬はモットー"に、お腹が減ってる時は"スタンダードが一番"なんだから、とばかりに、唐揚げ、ウインナー、玉子焼きなどがメインの至って普通のメニュー。手先

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栄養えいよー。

栄養えいよー。

 冷凍庫に一枚、玄米食パンが残っていた。ブイーンと唸る機械音と共にさみしそうに。パンにそんな感情があるはずがない。茶色い表面がちょっと冷凍焼けしているせいで、白くしらけている様が、そのように見えた。「もう〜白いパンより茶色いパンの方が体に良いんだよ」なんて家族に言ってみても、白くてやわらかいルックスで、お砂糖やバターたっぷりの方が魅惑的だから、仕方ない。

 コーヒーと一緒に、トーストして食べた。

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愛は日常に溢れる。

愛は日常に溢れる。

 やっと週末。
ちょっと風邪気味だったけど、回復。まだまだ倒れる訳にはいかないので。エネルギーが必要。夫にあれが食べたい…これも食べたい…と言って、会社帰りにテイクアウトしてもらった。たまには我儘も良いよね。これも、愛でしょ?

 夫が珍しくミネラルウォーターをお風呂に持ち込んで長風呂。最近、わたしより長い、本当に長い。娘が「パパ風呂長〜長っ!モデルか?」って言葉に笑いが止まらなかった。モデルは風

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甘いに浸る。

甘いに浸る。

 もうアイスドリンクって季節じゃないかも?と思いながら、日差しが心地良い午後。家事の合間に冷蔵庫を探る。以前に友人が「疲れた〜って時にこそ飲んでね」と、くれたフォションのアイスチョコレートドリンクを、豆乳を切らしてしまったので、あまり飲まない牛乳で氷まで入れて味わった。ここのアップルティーは好みでストックしてある。(そう、紅茶のイメージが強い)

甘いんだけど、甘過ぎることなく、ちょっとほろ

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纏う。

纏う。

 先日の夏日。

 季節が過ぎて、いつものように衣替えの作業に手を出していたら、真逆の夏日。

 よく考えてみたら、いつから季節と季節の変わり目が薄れるようになったのだろう。異常気象、温暖化問題もあるし、秋らしい秋や春らしい春って、実に短い。秋や春はお洒落に最適なのにね。だから、その季節の洋服の売上が上がらないんだよね、との声も聞いたりする。

 また先日、あるコートを手離した。それはセリーヌのカ

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秋模様。

秋模様。

 先日の出来事。子供の学校に用事があって久しぶりに訪れた午後。その先生(女性)は噂でも聞いていたけど、可愛らしい風貌でありながら、子供に常に厳しい態度を取るのが有名だった。「すっごい怖くてね、理由も聞いてくれないし、すぐ怒るんだよ」最近は子供も生意気だからね、多少は仕方ないのかも?男性教師より舐められても困るだろうし。若いお嬢さんならば尚更よね。

 その先生と職員室前で遭遇。

 保護者である私

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生きることすべてが旅をしているようなもの。

生きることすべてが旅をしているようなもの。

 どんな時代になっても、生きてること自体が旅をするのと同じだと最近特に思う。日常のルーティンに謙虚に向き合っていても、光と影の法則みたいに、記憶に焼き付けたい非日常を求める気持ちは誰にも止められない。

 去年は見送った夏の旅行。

 今年はどうしたものか?世の情勢、雰囲気的には自粛になるんだろうな…と複雑な思いの中。去年の夏が一度切りであったように、また今年の夏も今年でしか味わえない。二年目にな

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