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embalming。

 年度末も過ぎて、久しぶりに美容院へ。そして担当のTさんとも、久しぶりに顔を合わせた。

 「今回は暫く空いたね」

 「ええ、気づいたら、カットはもうどうにもならなくて、後、髪の艶、艶が欲しい…」

  砂漠で水を求めて彷徨う旅行者の如く、手を伸ばしてジェスチャーして、受付でマスク越しに、お互い大笑いした。

 「伸びたね〜この間に一度も?切らなかったの?」

 「もちろん。セルフカットなんて、いくら器用だと言ったってムリ」

   「伸びるのが早い人は〇〇とか、妙な都市伝説的なやつ、子供の頃あったよね」

 「ん?それは何が言いたいのかな?」

 「い、いえ独り言です……」

 ひと通り終えて、トリートメントを丁寧にしてもらい、頭皮マッサージも少し強めで、グリグリグリと解してもらい、仕上げのスチームを当ててもらい、チェアに横になったままで、

 モアモアモア 白く視界を遮りながら天井に消えるスチームで、まるで自分が中華まんになった気持ちになって、蒸されホアホアホアになるイメージ思考の中、こんな小噺を聞く。

髪の毛って、"死んだ細胞"だからね。なのに、人間って面白くない?其れを、真っ直ぐにしたり、カールさせたり、色を染めたり、手触り良く艶やかにしたり、要するに生きながら、既に"自分自身でエンバーミングを施してる訳"其れを踏まえて考えると、"死後の世界"はある事になるよね。ハサミ✂️で切り落とされて、本当の死だと捉えても、ヘアードネーションてのがあって、アレはリサイクルだ。"誰かの死んだ細胞"を持続可能な〜なんとかに繋がってる。ほお…だから髪にまつわる怪談があるんだ。やはり、美容師は重要なお仕事だ。


 鏡に映る、新しい自分のヘアスタイルを眺めながら、そう考えると、「目に見える死後の世界はあるなあ」と思った。TOKIO INKARAMI HOME の自宅用トリートメントを受け取り、蘇った髪の毛と気分で、るんるんるん思考回路の旅を続ける。次は期間を空けずに訪れたい。


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 涅槃のサンスクリット語。春のパジャマは此れ✨

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