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バーテンダー社会学

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夜の飲食で働く人々の生態系と日常の社会生活のギャップを考察。そこから見えてくる様々な問題を考える。
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#日記

「バーテンダー褒め学」基礎編

「バーテンダー褒め学」基礎編

バーテンダーにとって「褒める」ことは、重要なスキルだ。いや、これはバーテンダーに限ったことではないだろう。生きていく上で、存在を否定されるか肯定されるか、あなたはどちらがよろしいか?などという議論は、深掘りしなければテーマにもならない。案外、深掘りをしたらおもしろいのではないかと思ってしまった。
大半の人は、肯定されたいだろうし成果を認めてもらいたいものだ。中には、「お前如きが私を評価しやがって、

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「カオス営業」〜トラと羊〜

「カオス営業」〜トラと羊〜

BARを営む上で最も充実感が満たされる状況のひとつに、「一体感」がある。
店が意思をもった巨大な生命体に変わる。
スタッフのバースデー祝いや周年などで時折見られる現象だ。
お客さんとスタッフの求める思いが一体となって湧き起こるウェーヴ感がそれを可能にする。
「ああ、お店を続けていて本当によかった」
と、心底思える瞬間だ。
若いのも年寄りも隣に座った面識のない者同士でも、すぐに旧知の中よろしく打ち解

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「一見さんの6つのルール」

「一見さんの6つのルール」

繁盛している飲食店には、必ず店を愛してくれている常連さんが存在する。
店を愛し、スタッフとも気心が知れて、家族ぐるみの仲、なんて関係もあるだろう。
店が満席になると進んで席を空けてくれるようなスタッフ的な気配りができる、そんな縁の下の力持ち的存在、それが常連さんだ。
だが、どんなに家族のような親しい常連さんも、初めはみんな「一見さん」なのである。

私の店にも常連さんは存在している。
20年以上も

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モテ学3「髭の魅力」

モテ学3「髭の魅力」

残念なことに私は髭が薄い。
せいぜいが鼻下と顎あたりにボチボチとお粗末なカビ髭だ。

昨今、毛深い男子がメンズエステで脱毛に金をかけていると方々で耳にする。
無駄毛処理ならまだわかる。
だが、自らの髭を嫌う者も少なくないと聞いて驚いた。
けしからん!もったいない!と思うのである。

元来、髭とは男性の「3大シンボル」の1つではないのか?
2つ目はたくましい筋肉、3つ目は言うまでもないだろう。
これ

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「死についての授業」は、なぜないのか?

「死についての授業」は、なぜないのか?

結論から書かせてもらうと、12歳から15歳の思春期に、学校で「死についての授業」を実施すべきだ。
少し前のアンケート記事だが、死んだらどうなる?という問いに対し、生き返ると回答した小学生が30%に達し、中学生も20%はいるという調べが出ていた。
これには、ゲームが大きく影響している。

イェール大学の「死についての授業」は、著書も出ているくらいだから、知らない人も少なくないと思う。
だが、大学で学

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(3)バーテンダーは3つの空気を自在に操る。空気を壊す編

(3)バーテンダーは3つの空気を自在に操る。空気を壊す編

これまで、1.空気を読む、2.空気を作るについて書いてきました。
そして今回は最終章、「空気を壊す」について書いていこうと思います。
まずは、なぜ空気を壊すスキルを覚えなければならないのかについて書いていきます。

コミニケーションの中には、気の合った仲間や同年代の友達ばかりではありません。
むしろ、そうでない場合のシチュエーションが多数存在します。

想像してみてください。
例えば、初対面の複数

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「日本のバーテンダーはニューヨークを生きている」

「日本のバーテンダーはニューヨークを生きている」

僕はニューヨークに行ったことがない。

だが、日本に居住しながらおよそ27年あまり、ニューヨーク時間を過ごしているのである。
断っておきたいが、これはドヤ自慢が言いたいわけではない。むしろその逆さまで、愚痴や泣き言に限りなく近い話である。

まず、僕のタイムスケジュールを聞いていただきたい。僕の仕事の就業時間は20:00〜05:00である。店の買い物や準備などを考慮すると、動き出すのは18時ごろ。

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「飲み仲間、知っておくべき暗黙の十字架」

「飲み仲間、知っておくべき暗黙の十字架」

当たり前だが、酒は気のおけない仲間と屈託なく飲むのが一番楽しい。
「飲み仲間」という造語はいつ誕生したのかはわからないが、この関係の繋がりはまさに「飲む」に限定されているようだ。相手の仕事や立場も一切関係ないし、年齢も関係ない。大切なのは三つ。時間感覚、金銭感覚、ノリである。
この三種の感覚が飲み仲間の絶対条件であると常々僕は考えている。
時間感覚は、飲食における満足時間と言い換えてもいい。朝の早

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