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【読書】太田光をぎゅ〜っと原稿用紙1200枚に圧縮したら。 笑って人類!
爆笑問題の太田光書き下ろしSF長編娯楽小説「笑って人類!」を読んだ!
完全なネタバレはしませんがある程度内容にふれて語りたい!
お笑い芸人がお笑い以外のジャンルで、ふだん表に出さない過去や暗黒面をぶつけてくるパターンがある。
ビートたけしが北野武になるんだら、太田光が超絶ダークな内容できてもおかしくないと身構えて買ったのに、出てきたのは愛するSF、ギャグ、ミステリー、オタク文化への愛もある、娯
「みんなが私を知れば私の孤独は埋まると思ってました」
女性芸人たちの対談集「女芸人の壁」を読みました。
20年ほど前、お笑いをやりたいのは圧倒的に男性多数。
女性はアナウンサー志望だったりネタをほとんど作ってなくても「たまたま」有名番組に出れるようなことがあった。
プロの技術を極めなくてもうっかり全国に飛び出せた時代。それによって大変な思いをしたり、一生モノの貴重な思い出になったり。
「テレビが最強だった時代」の証言として、性別関係なくおもしろかっ
【読書日記】のっぺらぼうのYouTuber的精神。ラフカディオ・ハーン「怪談・奇談」終わり。
雪で凍える車内で、たまたまラフカディオ・ハーンの怪談・奇談が手元にあるので続きから読み始めた。寒いなかで雪女の伝承などを読むことで、これはもう4DX体験やん、得したやん、と思うことで寒さを迎え撃ってやろうとしたのだ。
フロントガラスを覆った☃。ワイパーでさっと両脇にどけると、ちょうど開いた本の形に外が見える。
ラフカディオハーンが日本中で集めた怪談・奇談のかずかず。死んだ人が形を変えて戻ってき
【読書感想】コロナに傷つけられない程度の人生のぼくと高校球児「あの夏の正解」
コロナで甲子園が中止になった年に、
死にものぐるいで練習してきた愛媛・済美高校と石川・星稜高校の野球部に取材したルポ。
作者の早見和真さんも元球児で、プロを目指していたが有名選手を見てから自信を失い、ずっとだった。そのせいか、甲子園こそ清々しい青春の舞台!とはとらえてなくて、一歩引いて、野球好きなんだけど甲子園のちょっと異常なかんじもわかっている。
補欠だった経験を小説にして作家になったけれど
【読書】1年364日働く化粧品店のおじいさんが元スパイだった話【天路の旅人】
沢木耕太郎「天路の旅人」。感想を勢いにまかせて書くぞ!
内容に触れますが、最初にどんな話か説明しても影響は少ないタイプの本です。
大きなくくりでいえば辺境を旅するノンフィクション。インド旅行ものとか、面白い作品が多いジャンルです。
作家の沢木耕太郎氏が、岩手で化粧品店を営む西川さんという人に話を聞く。
体格のいいおじいさんで、元旦にしか休まない。毎日カップヌードルとコンビニのおにぎりを食べて、
永田カビさんを「わかる」人が沿道で旗を振り、ゴールテープを切る姿を見届けるけど、誰も代わってあげられない【マンガ感想】
永田カビの新作「膵臓がこわれたら少し生きやすくなりました。」を読みました。
ずっと人間の業のようなものに責められている人が、自分を絞り切って絞り切って吐き出した火の玉のようなゲロのようなコミックエッセイの終わりを見届けました。
冒頭は病院脱出シーンで始まる。
海外ドラマかゲームの導入のよう。
点滴をトイレに隠して、ナースセンターを通り抜け、逃げてしまう。
過去作でも心身ともに痛めて入院してい
【読書】奥田英朗「リバー」の終わり方で「えっ」と思う?「らしい!」と思う?
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奥田英朗は話を考えずに小説を書き出す。
浅田次郎みたいに完全に設計図を整えて書き出す人もいれば、少年漫画みたいにとりあえずキャラを動かして、自分で書いてるのに「こいつが犯人になっていくとは」と、川が流れ着くように結末へたどりつく作家もいる。
ぼくは奥田作品を八割は読んでますが、たしかに急に終わるような印象のものがあった。
エッセイによると、けっ
地図禁止!北極縛りプレイ「狩りと漂泊」 #読書記録
映画やマンガのネタバレには注意しないといけない時代ですが、結末までネタバレしてから準備しないと命にかかわることもあります。それが登山。
角幡唯介「狩りと漂白」探検家でライターの作者が計画したのは、未知の場所にたどりつくための旅ではなく、自分が知らない土地に地図無しで踏み込む旅。
道中の予定が立てられない、自分の位置を見失う旅は、軽いハイキングでも命にかかわる。
あえてその土地を初めて訪れた原始
ここだけ世界旅行解禁! 高野秀行「語学の天才まで1億光年」 #読書感想文
情報のない秘境を取材するために世界各国のレア言語を学び、そして次の国にいくたびに前に習ったことは忘れてしまうノンフィクション作家、高野秀行。
ゆっくり長く読みたいのに、残りページ数が最近のかき氷みたいに、すうっと溶けてなくなってしまう。それぐらい手が止まらないエッセイだった!
テーマは語学。ここに出てくる外国語学習は、仕事のために嫌々覚えさせられたり、将来の安泰のためにしかたなく習うような世知