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SF、読書のよろこびマガジン

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大人になってからSFの楽しみを知った人の記録。本が好き、ゲーム興味ないかたはここで。
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海外のさんざんな体験談、なんぼあってもいいですからね

海外のさんざんな体験談、なんぼあってもいいですからね

本を買っても最後まで読みきれない状態だったけど「地図と拳」「バッタを倒すぜアフリカへ」の分厚い2冊が一気に面白く読めた。
ちゃんと面白いものを集中できる場所に持ってけば読めるんだ。嬉しい。ゲームへの興味は以前より薄いままだけど。

ところで、最近面白かった動画は、元芸人のレンタルぶさいくという方が、フィリピンに就職してめちゃくちゃな目に遭う話。

「バッタを倒すぜアフリカへ」の中にも、作者がモーリ

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【読書日記】高橋源一郎「だいたい夫が先に死ぬ」 読みたいものと読んでたものが次々出てくる

【読書日記】高橋源一郎「だいたい夫が先に死ぬ」 読みたいものと読んでたものが次々出てくる

高橋源一郎というおいちゃんが、タモリさんや黒柳徹子のように、文学界にずっといてくれるような気がする。

はじめて名前を知ったのは文藝賞の審査員のひとりだったときで、ぼくはまだそれが「選評」とも意識しないで読んでいた。

忘れもしない。
山崎ナオコーラのデビュー作「人のセックスを笑うな」を大賞に選んだときのことで、中身を読む前にペンネームとタイトルだけでその素晴らしさに衝撃を受けて、しばらく読まずに

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「バッタを倒すぜアフリカで」買って風呂だ

「バッタを倒すぜアフリカで」買って風呂だ

深夜のおやつに罪悪感を感じたことはないけど、無駄な休日の使い方に罪悪感がある。

こどもの頃の休みの日は、全部おいしいごちそうのようなもので、起きた瞬間から楽しさしかなかった。

大人になってから、休みの日の無駄使いに罪悪感をおぼえるようになった。

平日と違う場所に行く。初めての映画や料理などを知る。友人などと触れ合うなど、有意義っぽいことをしないと、夜に憂鬱になる。

仕事の日に体が疲れて、休

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これはハヤカワSFトートと「地図と拳」

これはハヤカワSFトートと「地図と拳」

何やってもあんまり楽しめない、短い本も頭に入ってこない精神状態なのに、いきなり思いついて分厚い本を買ってきた。

本好きあるあるだと思うんだけど、薄い本は一文ごとに考えさせられるからなかなか読む手が進まない。分厚い本の方が全然いける。

で、本好き以外でもあるあるだと思うんだけど、いかにもとっつきやすいですよー、初心者のこと考えましたよー、って感じを出した作品よりも、難解そうなものに理由もなく手を

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【読書】タイトルの由来が驚きの「郵便配達は二度ベルを鳴らす」

【読書】タイトルの由来が驚きの「郵便配達は二度ベルを鳴らす」

聞いたことはあるけど内容は知らない話を読むシリーズ。(以前には蠅の王やフランケンシュタインなど読みました)

なんとなく、「郵便配達員が旦那のいない時間に来て奥さんと不倫する話」かと思っていた。
なぜ不倫に関する話なのかは知っていたのか謎でそれは当たってたんだけど、郵便配達員ではなかった。

ストーリー序盤の男女がくっつくまでが、島耕作ぐらいのテンポ感ですすむ。
犯罪歴があってろくでなしの男と、な

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西村亨「自分以外全員他人」で人生からドロップアウトしたくなった思春期に戻る

西村亨「自分以外全員他人」で人生からドロップアウトしたくなった思春期に戻る

たぶんですけど、みんな意味もなく人生からドロップアウトしたいと思った日々があったはず。あっても口にしないだけ。何度も人生が無意味だと思った日があるはず。
年齢を重ねて「しんどいこともあるけど、見たいところも好きな人もいるしボチボチ生きていこう」とか思いながら生きているうちに、若いころの憂鬱なんてなくなって長生きを望むようになるもんだと思う。

「自分以外全員他人」は、若いころからうっすら死にたい気

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【読書記録】丸山ゴンザレス「タバコの煙、旅の記憶」

【読書記録】丸山ゴンザレス「タバコの煙、旅の記憶」

丸山ゴンザレス「タバコの煙、旅の記憶」を買った。
かなり高い国のタバコ一箱ぐらいの値段。

海外の危険地帯ジャーナリストの著者が、タバコに関連した場面について語る。
対応を間違えたら殺される相手とのやりとりの中で、ふっ、とタバコを一本吸って出た言葉。
初めて見る、吸い方のわからないタバコに苦戦していたら通りがかりの男が吸い方を教えてくれて、そのまま持っていかれた話。

ニューヨークやパリの地下都市

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文學界と「女は電子工作できない」の話

文學界と「女は電子工作できない」の話

文學会11月号。
かつて吉本で芸人をやっていた藤原麻里菜さんのエッセイがおもしろかった。
途中で芸人を辞めて「無駄づくり」の話になって、「あの方だ!」と読んでいる途中で気づいた。どこかのバズ動画で目にしたけど、名前で認識していないから。
「初対面の人と思って話していたら、すでに名刺交換した後だった」
みたいな。

R-1グランプリの予選1回戦を突破した話(それでもかなり少数の選ばれし芸人だった)、

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【読書記録】小説すばる2024/2 イノシシとクマの芸風。好きな読みきり「優しくない友達」

【読書記録】小説すばる2024/2 イノシシとクマの芸風。好きな読みきり「優しくない友達」

「小説すばる」に「猪之噛」って巨大イノシシを狩る小説が連載されている。最初は純粋におもしろくて読んでいたけど、
だんだん
「クマとどう差別化していくんだろう」
と考えながら読んでいる自分に気づいた。
別にイノシシも
「あっ!俺、最近ブレイク中のクマと芸風かぶってる!」とか意識しないだろうけど。

直木賞の「ともぐい」だったり「流れ星銀」の最終章が始まったり、時代は クマなのかもしれない。あとリラッ

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「タイタンの妖女」感想と太田光の解説とファミコンMOTHERと

「タイタンの妖女」感想と太田光の解説とファミコンMOTHERと

爆笑問題の太田光が愛し、奥さんが社長をしている社名の由来になったSF小説を読みました。

太田光は不思議な人だ、ファンでもあの人のすべては受け入れられない。
しょうもないギャグもセクハラも問題発言も、台本通りじゃなくて人間として考えていたことが間欠泉みたいに制御できず口から出てしまう感じだ。で、「ちゃんと」問題発言をする。毎回たたかれて、しっかりダメージ受けてるようなのに、また人を怒らせる。

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クリスマスに一番不向きなプレゼント、福本伸行の「二階堂地獄ゴルフ」単行本

クリスマスに一番不向きなプレゼント、福本伸行の「二階堂地獄ゴルフ」単行本

クリスマスに一番適したプレゼントはケーキ。
一番適してないのは二階堂地獄ゴルフの単行本だ。

「カイジ」よりもさらに前の、売れるとは思われてなかったころの福本伸行の作風。
題材はゴルフ。
ぎりぎりでプロテストを落ち続けて35歳になった男の悲哀、だんだん周囲からめんどくさい人と思われていてもプライドを捨てきれない意地、そういうことを描いている。

ゴルフでなくても「漫画」や「お笑い」に置き換えて読め

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太宰「映画好きは弱虫である」

太宰治の文章を280個まとめ買いしてちょっとづつ読む。

「弱者の糧」
文学と違って映画の観方が素朴すぎて、太宰ってこんな?と驚く。
映画を観るとほぼ泣いてしまう。
どんな酷評されてようが泣く。
翌日に思い出してまた泣く。
「映画を芸術だと思っていない。おしるこだと思っている」
「けれども人は芸術よりもおしるこに感謝したいときがある」

「川端康成へ」
文藝春秋で川端康成に小説を酷評された返答。

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山下紘加「煩悩」は女の緻密な距離感小説!

山下紘加「煩悩」は女の緻密な距離感小説!

「煩悩」は、自立した主人公と、長い付き合いの「杏奈」
女性ふたりと周囲の人間関係の話だ。

杏奈!
とにかく杏奈という人がどうなってしまうのかを見てみたい、
たぶん男から見ると、ドジでおっとりして「清楚」とか呼ばれてそうな同級生。
だけど長く付き合っている「私」から見ると、
杏奈の話はあちこち飛んで要領を得ない。
同じミスを何度も繰り返す。あやしい人にも疑うことを知らなかったり、あぶなっかしいとい

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【ノンフィクション】特攻服少女と1825日

【ノンフィクション】特攻服少女と1825日

「コギャル」「ヤンキー」は何となく想像できるけど、女の不良「スケバン」女だけの暴走族「レディース」がいて、彼女らの専門誌が何万部と売れ、本物のヤンキーたちが修学旅行でディズニーランドに行った帰りに編集部に来て、紙面で総長が「半端にやるぐらいなら学校行きな」と不良をさとす。

こんな時代があったのか!の連続。

少年院から出所してすぐにかつての仲間からリンチにあった、ある少女の事件をきっかけに、レデ

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