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『ダーウィンの進化論はどこまで正しいのか?』 読者からの質問に答えます。
『ダーウィンの進化論はどこまで正しいのか?進化の仕組みを基礎から学ぶ』(光文社新書)は、進化について解されやすいトピックをもとに、進化学の基礎を分かりやすく紹介する入門書を目指しました。
本書では、進化についてほとんど知らない読者にも理解してもらえるように執筆しました。とはいえ、進化の仕組みを具体的に説明するためには、遺伝学や生物学の事柄を含めて記載する必要があったので、少し難しいと感じられる
進化を説明する上で「利己的な遺伝子」という比喩は適切か?
『『ダーウィンの進化論はどこまで正しいのか?進化の仕組みを基礎から学ぶ』(光文社新書)の「利己的な遺伝子」の内容について、意見をいただきました。
Shorebirdさんは、進化心理学関係の本や進化の本を洋書を含め、多くの書評をアップされている方です。Shorebirdさんは、本書を取り上げていただき「関連するトピックについて最新の知見を紹介しつつ所々深掘りしていて,初心者用の単なる入門書に留ま
新型コロナウイルスの進化と感染症の傾向
新型コロナウイルスの進化とはなにか 「時間とともに集団の遺伝素材(genetic material)が変化する過程である」が進化である。新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)は、自らのゲノム(RNA配列)が突然変異によって変化した変異株(異なる配列をもったウイルス粒子)が、ウイルスの集団に頻度を拡大したり、消失したりしており、まさに、進化しているといえる。新型コロナウイルスは急速に進化し
もっとみるSARS-Cov-2はどのように進化しているのか: 新型コロナウイルスの進化
コロナ感染症(Covid-19)の流行とコロナウイルスの進化 感染症の単純な数理モデルによると、感染した宿主の数が減少していくのは、すでに感染し、免疫を獲得した個体が集団に占める割合が高くなったとき(すなわち集団免疫が獲得されたとき)であると予測される。
しかし、これまで過去二年以上のコロナ感染症(Covid-19)の状況をみてみると、充分に集団免疫が獲得される前から感染状況は減少していく傾向が
古代人・現代人ゲノムから探る人の「こころ」の性質の進化
「こころ」の性質の進化をさぐる 「こころ」、あるいは精神的な性質は、人によって様々である。たとえば、ものごとをネガティブにとらえる傾向が強い人もいれば、ポジティブにとらえる人もいる。また、自己抑制的な人もいれば、衝動的な人もいる。また、ヒトが幸福を感じるかどうかは、その人の置かれた環境や状況が同じでもより幸福感を感じる人とそうでない人がいる。このようなこころの性質は、人が誕生してから、現代までに
生物多様性は感染症リスクを減少させるのか増大させるのか
生物多様性と人獣共通感染症リスク
生物多様性の減少は、生態系がもたらす様々な恩恵(生態系サービス)を減少させることが予測されることから、生物多様性の保全は、SDGs(持続可能な開発目標)でも重要課題とされている。そのような状況の中、新型コロナウィルス感染症の流行は、人間の開発による生態系への影響が原因の一つであるとする論調が多くみられる。野生生物の中で保持されているウイルスなどの病原体が、自然
人類の進化史と病気の進化
ヒトの病気と進化 2020年はじめから急速に拡大した新型コロナウィルスの影響により、2021年8月21日現在、全世界での感染者は2億1千万人、死者は440万人に達している。このようなウィルスや細菌などの感染症は幾度となくヒトの歴史や進化に大きな影響を与えてきた(新型コロナウイルスによる感染拡大は人為的流出の可能性もあり、その場合は人類にとって初めての経験となる)。たとえば、近代の歴史でみると、ヨ