マガジンのカバー画像

エッセイ

58
ノンフィクション、実録エピソードです。生きづらさ、自己肯定感、悩みが中心。
運営しているクリエイター

#エッセイ

結婚に必要なのは「努力、忍耐、たえ忍ぶ心」

結婚に必要なのは「努力、忍耐、たえ忍ぶ心」

夫から「メタトロン受けてきたんだね」と言われた。彼にはそのことを言っていなかったから驚いたが、おそらく私のnoteを読んでくれたのだろう。彼に伝えていなかったのは、そういう非科学的なものが嫌いだと知っていたからだ。私が診断結果を軽く説明すると「……まあ、占い程度に考えた方がいいよ」と返された。当たるも八卦、当たらぬも八卦。

「そもそもメタトロンって何?」という方は、こちらの記事を参照下さい。

もっとみる
占いに行って、少し泣く

占いに行って、少し泣く

 占いに行ってみたいと、ずっと思っていた。

 その日は午前中に代官山でマッサージの後に予定があるだけで、午後には何も予定がなかった。そこで友人からお勧めされた、渋谷にある占いのお店のことを思い出した。調べたらお値段も良心的だし、電話をしたら予約が取れた。人間はどうして、ここまで退屈に耐えられない生き物なのだろう。ほとんどの元凶は「ひま」から始まる。

 マッサージを終えて、占いのお店が入るマンシ

もっとみる
ミュートのすすめ

ミュートのすすめ

今まで誰にも言わなかったことがある。かなり性格が悪いことが露呈してしまうから、黙っているつもりだったのだが、最近やたらネットで目につくようになったので、ここで書くことにする。

特定の人たちの「それって、ただの自慢ですよね?」と思うような発信についてだ。

具体的な名前は伏せるが、先日「うちの子どもは、こんなに本を読むのが好きなんです」という作家の親バカを、新聞のコラム欄で見かけた。また、「私って

もっとみる
東大医学部の卒業式で見た、親の共通点

東大医学部の卒業式で見た、親の共通点

東京大学の卒業式へ行った。そこで見た「親の共通点」がはっきりしていることに衝撃を受けたので、話そうと思う。誤解を生まないように説明しておくと、私の卒業式ではない。参加の理由は、今回の記事では関係ないので省かせていただく。

東大の卒業式は例年2日間にわたって行われる。22日は修士と博士、23日は学部生だ。1日の中で3部制に分かれており、学部によって式の時間が違う。私が見てきたのは22日の第2部で、

もっとみる
雨の日は軽率にタクシー使っていいよ~仕事の成果は"仕事以外"で8割決まる~ 

雨の日は軽率にタクシー使っていいよ~仕事の成果は"仕事以外"で8割決まる~ 

大事な会議の直前に、親から憂鬱なLINEが来た。"お願いだから、この日だけは"という日に、保育園から「お子さんがお熱で……」とお迎えを要請された。正直言って仕事どころじゃない。そんな経験は、誰もがしたことがあるんじゃないだろうか。

子連れ共働き世帯は、仕事以外の環境をどう整えるかで、仕事の成果が決まる。仕事の成果は"仕事以外"で8割決まると言ってもいい。3児の母である私は十数年に及ぶ社会人生活を

もっとみる
人前で屁をこき続けてきた半生でした。俺はどうやら、とんでもない思い違いをしていたようだ……

人前で屁をこき続けてきた半生でした。俺はどうやら、とんでもない思い違いをしていたようだ……

私には18年間思い込んできた事実がある。それは「人間がおならをしても、その臭いがわかるのは自分だけ。他人には決して臭いがばれることはない」というものだ。

今思えば、恐ろしい話である。なぜそのように思い込みに至ったのかは定かではない。おそらく当時の私を取り囲んでいた優しい人たちが、私をおならをしても知らんぷりをしてくれていたからだろう。幸か不幸か、一人も「うわ!お前、屁こいただろ!臭えよ!」と言っ

もっとみる
大丈夫じゃなくても大丈夫なふりをしてしまう

大丈夫じゃなくても大丈夫なふりをしてしまう

先日アフタースクールの面談で、小学1年生の長男がどう過ごしているか教えてもらった。「基本的には問題ないんですが、大丈夫じゃないのに大丈夫なふりをしてしまう時があるんですよね」と先生から言われた。

長男にはよく一緒に遊ぶ、Aくんという男の子がいる。Aくんは長男と二人きりで遊びたいタイプの子だ。だから他の子たちが「仲間に入れて!」とやってきた時、Aくんは長男に「なんか、人いっぱい来ちゃったな……あっ

もっとみる
中国の田舎で、詐欺に遭う #わたしの旅行記

中国の田舎で、詐欺に遭う #わたしの旅行記

まさか自分が詐欺に合う日が来るとは、思わなかった。

あれは十数年前のゴールデンウィーク前。「ANAのマイルが失効しそうだから、一緒に海外旅行へ行かない?行先は上海ね。もうチケット取っちゃったから」と、同期の女性に声をかけられたのがきっかけだった。

今思えばずいぶんと雑な誘われ方かもしれないが、私はひとつ返事で了承した。当時の私たちはメガバンクで法人営業をしていて、小さな箱の中にぎゅうぎゅうに押

もっとみる
不愉快だった料理を、楽しくさせてくれたもの

不愉快だった料理を、楽しくさせてくれたもの

「苦手なことは?」と聞かれたら、真っ先に「料理です」と答えていた。

 就活時代、この返しは大半の面接官に、冷ややかな笑みを浮かべさせた。
「こいつと結婚する男は苦労するだろうな」という憐れみと、
「俺がそうでなくて良かった」という安心感が、歪んだ口元から伝わって来た。

 数年後、そんな女と結婚した男、つまり現在の夫は、その事実を知る由も無かった。
 私の料理スキルが上がったのではない。夫は激務

もっとみる
サウナで旅先を体感。新しく見える景色。

サウナで旅先を体感。新しく見える景色。

 都会での暮らしは、本当に必要なものが分からなくなってしまう。

 もっと良い暮らしをして、やりがいのある仕事をしている人に出会ってしまう。
 理解のあるパートナーと結ばれ、素直を絵に描いたような子供に恵まれた人が目に入る。

 なんだか自分の人生が、とてつもなく惨めなもののように思えてきてしまう。
 あれもこれも、と欲しくなる。気付くと走り続けていて、息を付くのも忘れてしまうほどだ。

 自分を

もっとみる
【エッセイ】いきなり老人ホーム

【エッセイ】いきなり老人ホーム

 物心ついた時から「高学歴で大企業の会社員か医者か弁護士にならないと、人生終了」という思い込んでいた。これが変わったきっかけは、大学入試に惨敗したことだけではない。祖父の老人ホームで遭遇した、ある出来事だった。(思い込みが変わった後も、「今まで必死に求めてきた学歴が全てじゃない。だとしたら、自分は今まで何をしていたんだ? そもそも人間の価値って何なんだ?」という問いに、苦しむことになるのだが)。

もっとみる
存在理由

存在理由

陽が暮れた学校ほど、おかしなことが起こる場所はない。人生で最もおかしなことが起きたあの場所は愛知と岐阜の県境にある、私立の中高一貫校だった。

あの頃、高校校舎の一階廊下の突き当りに鏡が置かれていた。何の特徴もないガラスの板だ。だだ、置いてある場所が妙だった。誰が廊下で身だしなみを整えるだろう? 機能としては最悪だが、高校生の暇潰しには最高だった。正解のある受験勉強に飽き飽きしていた生徒たちは、「

もっとみる
少年院の職員

少年院の職員

彼に声をかけられた時。私は歩道に寝転がっていた。
三月と思えない陽気。金曜日の夜。マンションの入り口で。

「お前。こんなとこで何してんの?」

聞かれなくても分かっていた。私のような二十三歳の会社員は、誰かと過ごすべきなのだ。悩みを話せる上司。共にいて息苦しくない彼氏。夢を語り合う友達。そんな類の知人は、持ち合わせていなかった。私にあるのは朝までの時間と、静かな歩道だけだった。

「あんたこそ、

もっとみる
【エッセイ】天職なんてない

【エッセイ】天職なんてない

noteみたいな平均年収が高そうな場所ですら、九割の人は、本当はこう思っているのではないだろうか。「天職だと感じた瞬間? ねーよw」と。

だいたい「天職」と聞いて、まず胡散臭さを感じる世の中である。

なぜなら「今の仕事が天職です!」と鼻息荒く言っている奴らは、サイバーエージェントを『卒業』して本を一冊出版して「なんちゃらコンサルタント」を自称しているか、ワーママたちの金に物を言わせたキラキラS

もっとみる