マガジンのカバー画像

エッセイ

62
ノンフィクション、実録エピソードです。生きづらさ、自己肯定感、悩みが中心。
運営しているクリエイター

記事一覧

子どもに期待するのをやめた日

子どもに期待するのをやめた日

その植物の名前を、まだ知らなかった。

ベランダのプランターに見たことのない植物が生えていた。おそらく6歳になる長女の仕業だろう。彼女はありとあらゆる種を集めて、せっせとプランターに植えていたから。その植物はしゅっとした、鋭利な草だった。レモングラスのようだが、匂いはしない。「スイカかな、さくらんぼかな」と思った。「それとも……」と私は思った。未知の植物で、世紀の大発見につながるかもしれない。いず

もっとみる
なぜ子どもを生むと文章がつまらなくなるのか

なぜ子どもを生むと文章がつまらなくなるのか

ある作家(Aさんとする)のエッセイが、少し前から、書くことがことごとく両親の事だったり、子どものことばっかりで、なんだかいつも同じとこをぐるぐる回っていてつまらなくなった。

Aさんの両親は既に他界しているし、子どもたちも成人して家を出ている。でも、いつまでも両親が生きていた頃のことや、子どもたちと過ごしていた頃のことを思い出して、ノスタルジーにふけっている。読まされた側としては「あんたの昔話は聞

もっとみる
スキンケアを諦めて、物を書く

スキンケアを諦めて、物を書く

小学生の頃、いつも心の中で毒づいていた。ヒアルロンさんだのボトックスだの顔に打ちまくる母親を見て、「35歳のBBAなんて誰が見るんだよ?」と。今、35歳のBBAになってみて分かる。めっちゃ悪あがきしたい。

毎朝、鏡を見てぎょっとする。化粧してなんとかマシになったものの、夕方には再びオバケになっていた。だから私は選んだ。鏡を見ないという道を。鏡を見なければ現実を直視せずに済むし、別に身なりで売って

もっとみる
子どもの誕生日に「いつもと違うところ」へ行くのは親のエゴ?

子どもの誕生日に「いつもと違うところ」へ行くのは親のエゴ?

一年の中で割と憂鬱な、子どもの誕生日がやってきた。先月迎えた長男の誕生日にはさすがに何もやらなさすぎたので、罪悪感から、長女の誕生日にはどこか楽しいところへ連れてってあげようと思い立った。

私には強い味方、八景島シーパラダイスの無料券があった。シーパラは正規料金では5,600円だし、遠いから気軽には行けない。誕生日にぴったりだ。しかし私は忘れていた。チケットには有効期限があることを。有効期限を見

もっとみる
結婚に必要なのは「努力、忍耐、たえ忍ぶ心」

結婚に必要なのは「努力、忍耐、たえ忍ぶ心」

夫から「メタトロン受けてきたんだね」と言われた。彼にはそのことを言っていなかったから驚いたが、おそらく私のnoteを読んでくれたのだろう。彼に伝えていなかったのは、そういう非科学的なものが嫌いだと知っていたからだ。私が診断結果を軽く説明すると「……まあ、占い程度に考えた方がいいよ」と返された。当たるも八卦、当たらぬも八卦。

「そもそもメタトロンって何?」という方は、こちらの記事を参照下さい。

もっとみる
ムカついたら夫のクレカで爆買いする

ムカついたら夫のクレカで爆買いする

新年度は何かと忙しい。令和なのに昭和の価値観を引きずった上司、Z世代のトンデモない新入社員……会社だけでなく、子どもの環境も変わる。進級に伴う細かいルールの変更に追われることになる。当然、ストレスがたまる。

筋トレ、ピラティス、サウナ。これらの類でストレスが解消できるのは分かっている。でも仕事がやっと終わったと思ったら、育児が待ち構えているのだ。1日が終わる頃に、これらに手をつける気力は残されて

もっとみる
わたしは料理ができない

わたしは料理ができない

わたしは料理ができない。冷凍餃子はほぼ確実に焦がしてしまう。パンケーキは何度やっても丸く焼けない。ゆで卵は中身がドロドロか、硬すぎるかのどちらか。これらは3人の子どもたちの要望に応えてほぼ毎週のように作っているのに、一向に上達しない。

そんな我が家だが不思議なことに、週に3回くらい、誰かしら他人が家で夜ご飯を食べている。それは長男の悪童仲間であったり、長女の同じ保育園の友達であったり、彼らの気分

もっとみる
「人生の引き算」をはじめる

「人生の引き算」をはじめる

新しく何かを始めようと思うと、だいたい足し算になってしまう。ダイエットのためにジムを契約したり、英語のために英会話レッスンに申し込んだり、その先には忙しい日々が待っている。特に都会は選択肢が多いから、ぼーっとしていると、どんどん足し算された人生になってしまう。

でも、これって結局、他人の欲求でしかない。本当に瘦せなくてはいけないのか? 本当に英語を話せなくてはいけないのか? 腹落ちしていないまま

もっとみる
モンスターボールを99個集めないと気が済まない

モンスターボールを99個集めないと気が済まない

自分がゲームの趣旨から逸れた遊び方をしていて、取り返しのつかないところまで来ていることは、小学三年生の私でも、気付いていた。

ゲーム「ポケットモンスター」は、今でこそ多様な遊び方ができるが、初代と次世代までは「ポケモンを集めること」と「ジムリーダーに勝って、ポケモンリーグに挑むこと」に重きを置かれてゲームが設計されていた。ポケモンの数は初代「ポケットモンスター赤緑」では181匹、次世代「ポケット

もっとみる
占いに行って、少し泣く

占いに行って、少し泣く

 占いに行ってみたいと、ずっと思っていた。

 その日は午前中に代官山でマッサージの後に予定があるだけで、午後には何も予定がなかった。そこで友人からお勧めされた、渋谷にある占いのお店のことを思い出した。調べたらお値段も良心的だし、電話をしたら予約が取れた。人間はどうして、ここまで退屈に耐えられない生き物なのだろう。ほとんどの元凶は「ひま」から始まる。

 マッサージを終えて、占いのお店が入るマンシ

もっとみる
ミュートのすすめ

ミュートのすすめ

今まで誰にも言わなかったことがある。かなり性格が悪いことが露呈してしまうから、黙っているつもりだったのだが、最近やたらネットで目につくようになったので、ここで書くことにする。

特定の人たちの「それって、ただの自慢ですよね?」と思うような発信についてだ。

具体的な名前は伏せるが、先日「うちの子どもは、こんなに本を読むのが好きなんです」という作家の親バカを、新聞のコラム欄で見かけた。また、「私って

もっとみる
私は段取りができない

私は段取りができない

 ああ。今日という日が来てしまった。夏至? 満月? 大祓? どれも違う。本日21日は、クラウドファンディングで購入したサウナチケットの有効期限だったのだ。

 私は段取りができない。前の記事で「私は料理ができない」と書いたが、じゃあ一体私にできることってなんだろう? 少なくとも息はできる。排泄もできる。……これ以上はやめておこう。ただでさえ〇毛ヘア(夫から「ネットで陰〇とか書かないで!」と頼まれた

もっとみる
クソな現実は酒と夢小説でふきとばせ

クソな現実は酒と夢小説でふきとばせ

【趣味全開】二次創作の長編を完結させるという偉業

ある夢小説サイトの、長編作品が完結した。ジャンルはH×H(界隈では「狩人」とぼかします)で、相手は私の最推しであるイルミ(界隈では「📍」と呼ばれます)である。

それは完結まで数年かかった超大作で、たぶん文字数にすると10万文字くらい。本当にすごいことだ。

二次創作サイトで読める長編作品には、圧倒的に未完結の方が多い。小学生の頃から布団の中で

もっとみる
人に振り回されない

人に振り回されない

 「脱・陰毛ヘア」を目指して予約をしていた明日の美容院を、キャンセルした。はい、せーの。

 はぁ~~~?

 昨日の記事であれだけ「金曜日に楽しみな予定がむふふ」とか「週末に母校の同窓会がドヤァ(私の定義では同窓会に行く奴はリア充である。よってドヤる)」とか騒いでおいて、何キャンセルしてんの? 決してお金が惜しくなったわけではない(ちょっとはあるけど)。時間がなくなったのだ。

 美容院でトリー

もっとみる