トラックに乗ってみた(おわりのはじまり2)
トラックの助手席は、ありとあらゆる不摂生の残り香を漂わせていた。吐瀉物こそないものの、すえたモップに包まれているかのようだ。私は彼に、過去へ行く前にある場所へ向かうよう頼んだ。「良いけど、あんまり時間ないですよ。もう呼んじゃったから。待たせると面倒なことになるし、逃げられるともっと大変なことになるんで」。そう言いつつも、彼は私の告げた道を走ってくれた。私は道中で、人生で良かったことを思い出した。四菱銀行から内定を得て、父のはしゃぐ声を聞いた日。夫と婚約して、婚活から開放された