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欧米の子供を見て気づいた、日韓との美意識の違い

日本と韓国で美容整形が流行って久しい。韓国では医師が美容医療に流れすぎて、医師不足が社会問題にまでなった。なぜ日本と韓国だけなのか、ずっと疑問に思っていたところ、答えが先日見つかった。

モルディブでクラブメッドに宿泊した時のことである。そこでは4歳から10歳は「ミニクラブ」、11歳以上は「ジュニアクラブ」で、子どもを預かってくれる。「子どもと一緒に旅行は行きたいけど、ずっと子どもの面倒を見るのは嫌」という、わがままな親が集まる場所として名高い(違うか)。私もそのうちのひとりで、長男と長女をミニクラブに預けていた。ミニクラブではGO(現地のスタッフ)主導の元、夜に子どもたちにショーをさせる日がある。舞台の上でダンスをしたり、得意なものを発表してくれたりして、親も観ることができる。

ショーには様々な国の子どもたちがいた。モルディブはかつてフランス領で公用語がフランスだから、フランス人の子どもが比較的多かった。観賞していて感じたのは「欧米の子ども、特に女の子は、小学校で生きていくのしんどいだろうな」ということだった。

とにかく容姿の差が激しいのだ。

正直言って日本の小学生は、クラスで一番かわいい子と、かわいくない子の差はそこまで大きくない。誰もが髪は黒くて、肌は黄色で、背格好も似ているからだ。しかしフランスをはじめとした欧米は違う。くすんだ赤毛の子がいる一方で、輝くような金髪の子もいる。これと言って印象に残らない茶色い瞳の子もいる一方で、ハッとするような青い瞳の子がいる。何より骨格が大きく違う。食生活だけでは説明できないほど太っている子と痩せている子、ずんぐりむっくりの子とスラリとした手足を持った子がいる。その差は同じ国籍と思えないくらい、著しいいのだ。

ぽっちゃりしている子も、目が小さい子も、私のように大人が眺める分には「みんなかわいいなぁ」程度にしか思わないのだが、もし自分が逆の立場だったら、しんどかったんだろうなと思う。私はこのルッキズムのハイラルキーの中で、そもそもアジア人というだけで、かなり下の方になると思うから。

その点では、韓国や日本はかなりフェアだ。下剋上が可能だし、かつて「一番かわいい」と言われたあの子も重力には逆らえないから、下手したら革命も可能。日本人や韓国人がとにかく美容に走るのは、「自分も頑張れば綺麗になれる」という希望があるからなのだろう。女性の読者は思い返してみてほしいが、「クラスで一番かわいい」と言われていたあの子に、美容を頑張れば追いつける気がしないだろうか? だいたい高校くらいから崩れてきて、太ったり肌が荒れたりして、オーラが消えてくるし。小さい頃から、どう頑張っても追いつかない存在を見ていた、欧米の子たちとはわけが違う。

でも日本と韓国のように「頑張れば何とかなる、きれいになれる」という価値観を持つことには、デメリットもある。美容に無頓着で、何も努力をしなくて、それでいたあまり美しくない女性に対して、どうしても批判的になってしまう。美容整形を繰り返している女性がブスに厳しいのは周知の事実だ。別にそこまで顔面偏差値が低いわけじゃない子に対してもブス呼ばわりしていたりする。

これは偏差値が低い学校に行っている子に「もっと勉強すればいいのに」というようなものだ。大きなお世話である。偏差値が低い学校に行っている事実の裏側には、思いっきり部活を頑張っている子がいるかもしれないし、青春を謳歌している子がいるかもしれない。学歴もそうだが「頑張ればできる」という思い込みは、個人の価値観を勝手に押し付けて、人格否定にすり替えてしまう。諦めを知らない世界では、そんなことが起こる。

これらと無縁でいられる領域に入らせてくれるのは、愛情だ。子どもにとっての救いは「うちの子が一番かわいい」と言ってくれる親がいること。いつか長女も私から離れた時に「君が一番かわいいよ」と言ってくれる男の子と出会えることを、祈るばかりである。必要な時に欲しい言葉をくれて、場合によっては嘘を交えつつでも良いから、やさしくて、彼女を溺愛してくれる男の子と。

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