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せーかつ

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まいにちのららら。*・゚
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#フード

朝涼のフルーツサラダ

朝涼のフルーツサラダ

朝涼。
夏、涼しさの残る朝のひととき。

空は、青と黄を混ぜ合わせたような
ゆるやかな色彩で
風はひっそりとしています。

そんな夏の朝に
私がフト、作りたくなる
サラダがあります。

材料は
白ワインビネガー、お塩と胡椒、オリーブ油、
そして
好みのハーブと
太陽のように真っ赤なスイカ。
これは、
スイカが主役の夏サラダなのです。

まず、スイカは、
サイコロほど大きさに切って
見える部分の種を

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好きなドラマは、孤独のグルメ。

好きなドラマは、孤独のグルメ。

サラリーマン役の俳優さんがひとり、
食堂でトンカツ定食を食べるシーンが
映し出されました。



差し出された定食を前に、
背すじをすっと伸ばして
「いただきます」と
胸の前で手を合わせる男性。

分厚く揚がったトンカツの
真ん中のひと切れに
ソースとからしを落とし、
箸でそっと持ち上げて、はふり、とひと口。
よく噛んで、しみじみと肉の旨みを噛みしめて
その美味しさに頬をふっと緩めて。
次は塩で

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七夕の夜、北欧ビストロ。

七夕の夜、北欧ビストロ。

家に帰ってからの楽しみがあると、
つい、帰宅の足取りが弾んでしまいます。

今夜はあいにく、
雨模様の七夕だというのに
ちっとも気にかかりません。

その訳はほかでもなく
楽しみな夜ごはん。

先週末に読んだ本、
北欧の暮らしについて書かれたその本に
興味をそそられて
“今夜はおうちで、北欧ビストロを” と
ひとり、たくらんでいるのです。



キッチンに立ち
冷蔵庫から取り出したのは
じゃがい

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ほのぼの、おいしいお味噌汁日記。

ほのぼの、おいしいお味噌汁日記。

あなたの、朝ごはんの定番は何ですか。

私はもっぱら
ご飯にお味噌汁、カンタンなおかずといった
和ふうの朝食です。

あついお味噌汁を啜り
ふっくら炊けた白米を頬張ると、
身体の芯がホカホカとして
少しずつ目が覚めてゆきます。

それでも
品数が少ない朝ごはんですから、
満足感を足すために工夫しているのが、
お味噌汁です。
季節の野菜を使うことはもちろん、
本で読んだ新しいレシピを試したり、
思い

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17:00  よりみちパン屋さん

17:00 よりみちパン屋さん

かるい気分転換にと
ほんのり暮れていく町を
気まかせに散歩していた時のことです。

大きな通りを折れ、
路地を少し入ったところに、ぽつんと
みかん色に灯っている窓が目に入りました。

ふつうのお家のようですが
よくよく見ると看板が立っています。
黒い板に白いチョークで書かれているのは
「本日のぱん」という文字と
英文字のメニュー。

あら、こんなところに、
隠れ家のようなパン屋さんです。

木製の

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ふるさとに咲く花の秘密

ふるさとに咲く花の秘密

少しだけ背筋をシャンとさせて
キチンと手を合わせて、
みんなで「いただきます」と声を揃える、
お正月の朝。

黒い漆塗りのお椀の蓋をそっと開けると、
穏やかな湯気がふわふわとあがります。
お出汁にお餅が溶けだした、ほんのり甘い匂い。
やわらかい匂い。
いつもの、お正月の匂いです。

澄んだおつゆの中で
トリや白菜、しいたけと一緒に
丸もちはふくよかに煮えています。
その上に、ぽっちり浮かぶ橙色のお

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冬の夜には、あたたまる飲み物を

冬の夜には、あたたまる飲み物を

「寒いと身体が疲れるでしょう。
そんなときはね、お出汁がいいんよ」

「お出汁、ですか?」

教えてくれたのは
義理の母でした。

「甘い飲み物より身体にやさしいし、
お茶を飲むより満足感があるけんね。
最近はスーパーにも
出汁パックがよく売ってるから
私はそれを使ってちゃちゃっと作っちゃう。
色んな種類があるから、
自分の口に合うものを見つけるといいね」

なんとない天気のから
私の冷え症の話に

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足もとの秋、ひらり。

足もとの秋、ひらり。

見上げると
並木のイチョウが
秋の風にすっかり染め出されて
枝先で、まぶしいほどの色づきを見せています。

黄色い葉と葉の隙間から零れる
午後の日差しが
ほんとうに綺麗で
私はつい、上ばかりを眺めながら
ひとり、川沿いの並木道を歩いていました。

休憩にと座った古いベンチで
足もとに目を落としたときです。
あら、と思いました。

ライムイエロー、鶯色、みかん色、
ボルドーにココア色。
それから、扇

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思い出の玉子かけごはん

思い出の玉子かけごはん

ひんやりする朝。
ちょっと、あたたかくなれるものを食べたい、
そんな朝です。

キッチンに立って思い付いたのは
子供のころ、日曜日に
父がよく作ってくれた
朝ごはんでした。

作りやすいふたり分の分量を、
ここに書いてみます。

炊きたてのごはんに
鰹のふりかけをさっくり混ぜ込んで
お椀に二膳、よそっておきます。

つづいて
玉子を2コといて
牛乳を大さじ2ほどと、塩を少々。
タネを作ります。

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月明かりとチョコレートの夜

月明かりとチョコレートの夜

今夜は、
ほんとうに綺麗な月が
空に浮かんでいます。

ベランダに椅子を二脚とサイドテーブル、
小さなランプを用意したら
アーモンドチョコレートと赤ワインを
持ってきました。

「乾杯。」
軽くグラスを合わせて
夫婦ふたり、
月明かりの下の
ささやかな夜会のはじまりです。



私はさっそく、包装を解いて箱を開き、
敷き詰められた楕円体のチョコレートを
ひと粒、取り出しました。

ツルンと滑らか

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海辺の街のコーヒーフロート

海辺の街のコーヒーフロート

デザートの、無花果とヨーグルトを
食べ終えて
時刻はまだ午後六時。

窓の外はほんのり明るく、
そのまま一日を終えてしまうのは
ちょっと勿体無いような、金曜日の夕方です。

本棚の脇の
一冊の写真集が目に留まりました。
ドイツの美しい港町が表紙のその本は
主人のものです。

そうだ、海を見にゆくのも楽しそう。

新しく越してきたこの街は
30分も車に乗れば港へ着きます。
かんたんに身支度を整えて

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真 夏 の 甘 味 屋 さ ん

真 夏 の 甘 味 屋 さ ん

友人とふたり、買い物帰り。
ひと休みに、ちょっと甘いものが欲しいネ、と
甘味屋さんへ寄ることに。

古風な佇まいの戸をカラカラと引くと、
「いらっしゃい」
おかみさんの、明るい笑顔に迎えられました。



木製のカウンターとその奥に構える桐箪笥が
黒茶に光って渋く、
竹細工、扇子、和傘、茶釜といった装飾も加わって
小粋な雰囲気のお店です。
ふわふわと漂うオルゴールの音が
耳に心地よく届いてきます

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隠し味は、ひと匙の心意気

隠し味は、ひと匙の心意気

町の台所として親しまれる、
古い商店街のすみっコで
おばあちゃんたちが営んでいるお惣菜屋さん。

赤いチェックのテーブル掛けが広がる机には
小松菜と油揚げのお浸し、塩鯖、
胡瓜とわかめの酢の物、ひじきの煮物、
唐揚げ、いりこの甘辛煮など

昔ながらの素朴なお惣菜がパックされ
山になって並んでいます。

***

大学一年の春。

入学式を終えた日の帰り道に
そのお惣菜屋さんを見つけました。

店頭

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雨・のち・シフォンケーキ

雨・のち・シフォンケーキ

雨粒が隣の家のトタンに落ちて
ぱたぱたと、せわしなく音を立てています。

こんな雨の日は
こまごまとした片付けが捗ります。

古いアルバムの整理をしていると、
初めてシフォンケーキを焼いた日の、
ニカッと笑う私と母の写真が出てきました。



図書館で借りたお菓子作りの本に載っていた
不思議な形のスポンジケーキ。
純白のホイップクリームが
フチにぽってり乗っかっています。
なにやら可愛く、美味し

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