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真 夏 の 甘 味 屋 さ ん


友人とふたり、買い物帰り。
ひと休みに、ちょっと甘いものが欲しいネ、と
甘味屋さんへ寄ることに。


古風な佇まいの戸をカラカラと引くと、
「いらっしゃい」
おかみさんの、明るい笑顔に迎えられました。



木製のカウンターとその奥に構える桐箪笥が
黒茶に光って渋く、
竹細工、扇子、和傘、茶釜といった装飾も加わって
小粋な雰囲気のお店です。
ふわふわと漂うオルゴールの音が
耳に心地よく届いてきます。

店内には他に
ご年配の女性のお客さんがふたり。

私たちは一番人気という白玉あんみつを
注文しました。



「美味しい!白玉もっちもち」
「内装もすごくお洒落で、素敵、、
こんなお店が近くにあるなんて」

「ありがとうございます。
外から見ると小さくて目立たないけれど
常連さんに支えられているお店で。」

おかみさんと
そんなやり取りをしていると


「落ち着くところでしょう?
私たちもついつい寄りたくなっちゃうのよね」
先にいらしたご婦人のひとりが、にっこり。

「こちらのおふたりもご友人同士で
よく一緒にいらしてくださるんです。」

どうやら、ご婦人たちは
お店の常連さんでいらっしゃるようです。


「私たち、美味しいところを探しては
よくこうしてふたりで
ランチやカフェを楽しんでるの。
お互い、歳を重ねて
時間にゆとりができてからは特にね。
ここへ来る前もパスタランチしてきたのよ。」

「もやもやすることがあったときも
こうやって一緒に美味しいものを食べて、
話のネタにして二人で笑い飛ばしちゃえば
案外ラクになれるのよね。」

気さくなおふたりとのおしゃべりは楽しく、
仕事のこと、趣味のこと、将来のこと。
お話を聞いたり、ちょっとした相談をしたりと
会話が弾みました。



「大人になると、
友達ってますます貴重な存在よ。
だから、おふたりも是非ぜひ
ずっと仲良しで、ね。
それじゃあ、お先に。」

やわらかな笑顔を残して
ご婦人たちはお店を後にされました。

* 

「とっても素敵なお店だったね。」

「うん。なんていうか、すごくいい時間だった。」


すこし涼しくなった、夕焼けの帰り路を
ふたり並んで歩きます。


「連れて行ってくれてありがとう。
あ、あと、これからもどうぞ、よろしく。」

「一緒に行けてよかった!
こちらこそ、よろしくお願いします。
じゃあ、また。」


妙にかしこまった挨拶を交わしていることに
お互いハニカミながら
大きく手を振って別れました。



“ 私たちのこれから ”

変わってしまうこともあるだろうけれど
何かあったとき寄り添える関係でいれたら
嬉しいな。

爽やかな夏の一日が暮れてゆきました。

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