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『ソルト安堵プラム』
『ソルト安堵プラム』 No.071少年は、蹴られた空き缶を探して草むらに分け入った
あいつ、何でこんな遠くまで飛ばすんだよ…
文句を言いながら探していると、茂みの奥に廃材で建てられたような小屋が見えた
あ…!あんなところに…
それは、屋根を覆う蔦に挟まっていた
少年はため息をつき、仕方なくそれを取りに行く決心をする
手を伸ばして届く高さではなかったので、周りを見渡し、台になるモノを探した
唯一使え
『ホーリービジョン』
『ホーリービジョン』No.068輝く光体が上空で揺らめいている
形を歪めながら三つに分かれ、それぞれに散っていった…
少女はいつもの様に森を散策している
ふと足元には見慣れない綺麗な黄色い花
屈んでそれを摘みっとった
その時、一羽の小鳥が舞い降りる
白い煌めきは、少女の肩に飛び移った
自然と笑みがこぼれる
花弁から吸い込まれた香りは、鼻腔を満たす
澄み渡るさえずりは、三半規管を揺らす
少女は段々
『仕組まれたラストファイト』
『仕組まれたラストファイト』 No.0663人の男達の戦いは、最終ラウンドを迎えていた…
1ラウンド目は数回手を合わせた後、なんとか俺が勝った
そして2ラウンドは、髪をくくった金髪野郎に一撃で取られてしまった
銀縁メガネをかけた優男はニヤリと微笑む
気持ち悪い笑顔を浮かべやがって…クソッタレが…
俺がこの勝負に負ければ親の借金が倍になるか、女が身売りされる
どちらかを天秤にかけて選ぶなんて、俺には
『息詰まったメッセージ』
『息詰まったメッセージ』No.065私が意識を取り戻した時、既に椅子に縛り付けられていた
そして口にはハンカチで猿ぐつわを噛まされている
こんな状態で身体を揺すって助かるはずはないが、試しに一度だけ抵抗してみた
それに気付いた質の悪そうな男が睨みながら近づき、おとなしくしてろと髪を掴む
私はそいつが立ち去るまでぐっと目を閉じた
耳を澄ましてみたところ、車の音はあまり聞こえない…
ゆっくりと目を開け
『ロック・オン・ザ・ロック』
『ロック・オン・ザ・ロック』 No.064私は湯船に浸かりながら最近起こった事件を整理していた
先ずは警部補の自宅が放火された可能性があるということ
そして大学生の乗った車が崖から転落する事件
それに決して公には出来ない血を吸われたような変死体の数々
最後は夫婦でクルーズ船に乗ったが、妻が行方不明になった事件
夫の証言では旅の途中で喧嘩をし、妻がいなくなっていることに気付かなかったと
周辺を捜索し