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『仕組まれたラストファイト』

『仕組まれたラストファイト』 No.066

3人の男達の戦いは、最終ラウンドを迎えていた…
1ラウンド目は数回手を合わせた後、なんとか俺が勝った
そして2ラウンドは、髪をくくった金髪野郎に一撃で取られてしまった
銀縁メガネをかけた優男はニヤリと微笑む
気持ち悪い笑顔を浮かべやがって…クソッタレが…
俺がこの勝負に負ければ親の借金が倍になるか、女が身売りされる
どちらかを天秤にかけて選ぶなんて、俺には出来ない
だからどんな勝負でも勝つことだけを考えて今まで生きてきた…

俺は小さい頃から喧嘩の才能があったが、それを生かせる場所がなかった
そんな俺をファイターとして生かしてくれたのが、ボスだ
しかしアンタは俺を利用し、家族や女にまで脅しをかけた
アンタには才能を生かせる場所を与えてくれた恩がある
だから今回の件で俺は協力した…いや、せざるを得なかった
これからは、こんな俺を愛してくれる女の為に生きる…
そう決めたんだよ
だからこれがアンタに見せる、俺のラストファイトになる
個人的にはルール無用の喧嘩スタイルが良かったが…
仕方がない、これもれっきとした伝統的な勝負だからな
不利だと分かっていても、受けたからには絶対に勝つ
それが男の流儀であり、俺の流儀でもある
その時、どこからともなく吹くそよ風を感じた
ふとその方向を見ると、椅子に縛られた女が俺をじっと見つめている
そして女が僅かにつま先を動かし、何かのサインを送っていることに気づいた…

ではそろそろ最終ラウンドと行こうか、そうボスが囁く
にやけながら少しずれたメガネをかけ直す優男
金髪野郎は首と肩を回しながら体をほぐす
俺は拳に力を込め、ゆっくりと身構えた…

“…せ~の!ジャン!ケン!ポ…”


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