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『護られたデータ』

『護られたデータ』 No.063

俺は特殊なアルゴリズムを使って、データを保護した
このコードを解読できるのは、あいつ以外不可能なはずだ
電話は盗聴されている可能性もあるので、いきなり送り付けるしかない
今回の一連の流れを手紙に書き、USBメモリと共に封筒に入れた
しかし、かなりやばいところまで踏み込んじまったか…
真相を追っていくとやはり財界を裏で牛耳るあの一族が絡んでいた
父親の跡を継ぎ、長男も政治家になっている
次男が裏稼業の中枢にいるのは、この業界を知る人間なら有名な話だ
そして俺が辿り着いたのが、三男が経営するとされる建設会社
公式のホームページは一応存在しているが、それは表向きに過ぎない
これが世に出ることになれば…
その時、ガレージの辺りから何か物音が聞こえた
遂に来やがったか、そう心で呟きながら脇に立て掛けてあるバットを握りしめた…

ガレージの辺りを確認し誰もいないとホッとして振り向いた瞬間、頭に衝撃が走る
よろめきながら見ると、フードを被った男が自転車の空気入れを握っていた
そして今度はそのチューブで俺の首を締めあげたが、必死で抵抗し振りほどいた
しかしその直後、高速の拳が見えた時、俺は意識を失った…

フードの男は封筒からUSBメモリを取り出し、ポケットに入れた
そしてその代わりにデスクの上にあった形状の良く似た消しゴムを封筒に入れ直す
これでやっとアイツと…

俺は意識がまだ定まらない中、再びバットを握り、ゆっくりと奴に近づいた
後ろから一気にバットで殴り付けようと振りかぶる
フードの男はそこで素早く身を翻して鳩尾と顔面に拳をたたき込み、走り去った
俺は衝撃的な痛みに膝を突き、悶えながらもデスクの上の封筒を手探りで探した
そして手にした封筒には、まだ膨らみがあった
…ふぅ、何とか助かったぜ…
腹と顔の痛みに堪え、咳き込みながらも安堵した
その封筒を急いで糊付けし、俺はよろめきながらもポストへと急いだ…


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