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『息詰まったメッセージ』

『息詰まったメッセージ』No.065

私が意識を取り戻した時、既に椅子に縛り付けられていた
そして口にはハンカチで猿ぐつわを噛まされている
こんな状態で身体を揺すって助かるはずはないが、試しに一度だけ抵抗してみた
それに気付いた質の悪そうな男が睨みながら近づき、おとなしくしてろと髪を掴む
私はそいつが立ち去るまでぐっと目を閉じた
耳を澄ましてみたところ、車の音はあまり聞こえない…
ゆっくりと目を開け、周りをそっと見渡す
そこはかつて商業施設が入るテナントのような古びた造りの空間だった
私は、”彼が約束を果たすまでの人質”ってことね…
奥の方からグレーのスーツに身を包んだ男が近づいてくる
周りの反応を見てすぐに分かったわ
見た目の厳つさはないけど、冷淡さは怖いほど感じる
一見やさしい人のように見える人間の方が、きっと何倍も恐ろしい
ソファーにどっしりと腰掛け、腕時計を私に見せつけるかのように眺める
さぁ、愛しの彼は時間までに間に合うのかな…

暫くして部下の一人がボスに駆け寄り、耳打ちする
そして両脇を部下に囲まれ、フードを被った男が歩いてきた
彼は椅子に縛り付けられた私に近づきながらフードを脱ぎ、ゆっくりと頷く
私も小さく何度も頷き、無事よと視線で答えた
そしてボスに見えるよう、彼はポケットからUSBメモリを取り出した
部下の一人がそれを取ろうとしたとき、彼はそれをまた握りしめた
私の解放が先だと
ボスはそう来るだろうと予測していたかのように、ある提案を持ちかけた
それは部下と古来から伝わる勝負をし、勝てば私の解放と親の借金をチャラにする
でももし負ければ、親の借金を倍にするか、私を身売りさせるかを選べと
いくらあなたが地下格闘技で伝説のファイターだろうと、今回は絶対に勝てないわ
全部仕組まれてるのが分からないの!?
きっとこれは罠よ!
必死で悶える私の訴えは、彼に届かなかった…



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