めばる

趣味は書道、硯石の研究、やきもの蒐集のほか、禅、ブッダ、芸道、哲学、科学、進化生物学、…

めばる

趣味は書道、硯石の研究、やきもの蒐集のほか、禅、ブッダ、芸道、哲学、科学、進化生物学、宇宙論、歴史などに興味があります。たんなる噂話にならないよう、学びのある情報発信を心掛けています。 @thakuraku #硯 #赤間硯愛好会 #書道 #伝統工芸 #独学 #哲学

マガジン

  • 硯考

    硯と磨墨のしくみ

記事一覧

固定された記事

はじめての哲学 自分探し?

 養老孟子 「自分」の壁 では人生には世界の基準、物差しがあるべきなのにそれが揺らいでしまっているとあります。  人間というのは一人一人がそれぞれの世界像をもっ…

めばる
3年前
46

「老師と少年」 南直哉

今回は南直哉和尚さんの「老師と少年」について考えてみます。 少年は死ぬとはどういうことかが知りたくて老師のもとを訪ねます。 前夜 少年 「なぜです。みんなが考える…

めばる
11時間前
3

俳句 朝顔につるべとられてもらひ水

この俳句は加賀の千代女の作で、お気に入りの一句です。 加賀の千代女)は、1703年加賀国松任、現在の石川県白山市に表具屋の娘として生まれました。幼い頃から父が集めた…

めばる
1日前
5

思考のレシピ6 共に考える

価値の基準 伝統や文化について考えるとき何を基準に考えればよいのでしょう。伝統や文化はふつうは守っていくべきものと考えます。その価値とは何でしょう。 伝統工芸品と…

めばる
1日前
3

座右の書

辞典にはこのように説明されています。頼りにできるものがあると心の支えにもなります。 では、座右の書はどのようにしたらできるのでしょう。 よく座右の書にする○○冊…

めばる
1日前
3

生き方 ゲシュタルトの祈り

私は私の人生を生き、 あなたはあなたの人生を生きる。 私はあなたの期待に応えるために、この世に生まれたのではない。 あまたも私の期待に応えるために、この世に生まれ…

めばる
2日前
6

思考のレシピ3 相対化して考える

例えば、富士山は静岡側から見る姿と山梨側から見る姿とは違っています。また、飛行機から見える姿と新幹線から見える姿も違っています。 ものは固定的なひとつの在り方を…

めばる
3日前
5

思考のレシピ10 自分を創る

自分とは何かという結論を出すことではなく、問うことが大切です。問いながら自分を創り出す。そのプロセスが大切なんだと思います。 自分を客観的に観るということはでき…

めばる
5日前
6

思考のレシピ2 思考の三つの方法

私たちはどのようにしてモノの存在を認識しているのでしょうか。 カントは私たちの認識能力として「感性」「悟性」「理性」の三つを挙げています。 感性 私たちのいる世界…

めばる
6日前
3

宮地嶽神社

今回ご紹介するのは福岡県福津市にある宮地嶽神社です。 数年前にCMの光の道でも有名になりました。 県内では3社参りの一つに数えられる大きな神社です。 タイトル写真の…

めばる
7日前
5

めばるのイラスト変更

これまでHPなどに使っていたロゴマークがデジタルのイラストだったため、今回、絵の先生に描いていただきました。手書きのイラストです。 この「めばるちゃん」は眼張とい…

めばる
2週間前
19

硯考 漢字用とかな用の墨

今回は、かなに漢字用の墨を使うとどうなるかについて考えてみました。 漢字用として古梅園の紅花墨(三星)、かな用として古梅園のかな用櫻形を使用しました。 これら二…

めばる
2週間前
6

科学とブッダが相性が良いのはなぜですか?

今回は、科学とブッダについてのお話です。私もそうですが、ブッダの教えというのは理系の人には受け入れやすいものです。 ブッダが創成した本来の仏教は大変合理的なもの…

めばる
3週間前
8

硯考 書道と心技体

「心技体」とはその言葉の通り心、技、体、(メンタル、テクニカル、フィジカル)三つのバランスがすべて整ったときある特定の能力において最高の力=パフォーマンスが発揮…

めばる
4週間前
9

1/fゆらぎ

ゆらぎ 近ごろ、1/fゆらぎということばをよく耳にします。これを理解するためにまず、ゆらぎとはいったい何でしょうか。 ゆらぎ というのは動作として揺れているよいうこ…

めばる
4週間前
5

道草

最近ある方からこんなことをいわれました。 名馬とか駿馬というのは気の使い過ぎで、本当はただの馬なのですが、とても的を得ています。勝手気ままだし、すぐに何かにこだ…

めばる
1か月前
7
はじめての哲学 自分探し?

はじめての哲学 自分探し?

 養老孟子 「自分」の壁 では人生には世界の基準、物差しがあるべきなのにそれが揺らいでしまっているとあります。

 人間というのは一人一人がそれぞれの世界像をもっています。その世界像に方向づけられて生きているので、自分の世界像が危機に瀕したときそれを見直す必要にせまられます。このときに役立つのが哲学ではないかと思います。

 私とは何かについて他人や自分に対して物語る場面で私たちは自分の世界像をつ

もっとみる
「老師と少年」 南直哉

「老師と少年」 南直哉

今回は南直哉和尚さんの「老師と少年」について考えてみます。
少年は死ぬとはどういうことかが知りたくて老師のもとを訪ねます。

前夜

少年
「なぜです。みんなが考えるべきこと、考えなくてはいけないことではないのですか?」
老師
「そうではない。考えてしまう人と、考えなくてもすむ人がいるだけだ。そして考えなくてもすむ人が、世の中の仕組みをきめていく。その世の中で、考えてしまう人は迷い、遅れ、損をする

もっとみる
俳句 朝顔につるべとられてもらひ水

俳句 朝顔につるべとられてもらひ水

この俳句は加賀の千代女の作で、お気に入りの一句です。

加賀の千代女)は、1703年加賀国松任、現在の石川県白山市に表具屋の娘として生まれました。幼い頃から父が集めた書画に囲まれて育ち、6歳の頃にはすでに俳句を詠んでいたと伝わっています。17歳のときに松尾芭蕉の弟子であった各務支考に俳句の才能を認められ、千代女は俳句の創作に打ち込みます。1775年に73歳で亡くなる直前まで俳句の創作に励み、現在ま

もっとみる
思考のレシピ6 共に考える

思考のレシピ6 共に考える

価値の基準
伝統や文化について考えるとき何を基準に考えればよいのでしょう。伝統や文化はふつうは守っていくべきものと考えます。その価値とは何でしょう。
伝統工芸品というものがあります。経済効率や生産性にその価値を置くと一般的な工業製品にはかないません。同じものをより安くつくるという経済的な満足度の考え方です。

それに対してより人間的な満足度で価値を判断するということがあります。それぞれが持つ芸術性

もっとみる
座右の書

座右の書

辞典にはこのように説明されています。頼りにできるものがあると心の支えにもなります。
では、座右の書はどのようにしたらできるのでしょう。

よく座右の書にする○○冊といった本を目にします。こういう推薦本から気に入ったものを選ぶという方法もあると思います。でも、座右の書というのは繰り返し何度も読む本ですよね。果たしてそういった本と簡単に出会えるのでしょうか?

私の考えでは、座右の書は選ぶものではなく

もっとみる
生き方 ゲシュタルトの祈り

生き方 ゲシュタルトの祈り

私は私の人生を生き、
あなたはあなたの人生を生きる。
私はあなたの期待に応えるために、この世に生まれたのではない。
あまたも私の期待に応えるために、この世に生まれたのではない。
あなたはあなた。私は私。
もしふたり、心が通い合うことがあれば、それは素晴らしいこと。
けれどももし、わかり合えないままであっても、
それはそれで致し方のないこと。
                  フレデリック・パール

もっとみる
思考のレシピ3 相対化して考える

思考のレシピ3 相対化して考える

例えば、富士山は静岡側から見る姿と山梨側から見る姿とは違っています。また、飛行機から見える姿と新幹線から見える姿も違っています。
ものは固定的なひとつの在り方をしているわけではありません。

私たちは何かに行き詰まったとき、そのことだけしか見えなくなることがよくあります。そんなとき別の見方もあると気づくことによって道が開けることがあります。

相対化してみるというのは具体的にどういうことなのでしょ

もっとみる
思考のレシピ10 自分を創る

思考のレシピ10 自分を創る

自分とは何かという結論を出すことではなく、問うことが大切です。問いながら自分を創り出す。そのプロセスが大切なんだと思います。

自分を客観的に観るということはできるのでしょうか。内側から自分を観るということは難しそうです。そういう時は他者の視点を参考にしてもいいような気がします。これまでに気付かなかった自分の一面に気づくことができるかもしれません。

変るものと変わらないもの
哲学では変わる存在と

もっとみる
思考のレシピ2 思考の三つの方法

思考のレシピ2 思考の三つの方法

私たちはどのようにしてモノの存在を認識しているのでしょうか。
カントは私たちの認識能力として「感性」「悟性」「理性」の三つを挙げています。

感性
私たちのいる世界は三次元の空間に時間が加わった四次元の世界ですよね。この時間と空間という形式によって、そこにモノがあることに気づくのが感性です。ですから、感性によってある時ある場所にを把握することができます。

悟性
私たちはモノを把握したあとそれがど

もっとみる
宮地嶽神社

宮地嶽神社

今回ご紹介するのは福岡県福津市にある宮地嶽神社です。
数年前にCMの光の道でも有名になりました。
県内では3社参りの一つに数えられる大きな神社です。
タイトル写真の松林の向こうに見えるのは相ノ島です。

御由緒息長足比売命(おきながたらしひめのみこと)様
別名「神功皇后」様は第14代仲哀天皇様のお后様にあたられます。
古事記、日本書紀等では渡韓の折、この地に滞在され、宮地嶽山頂より大海原を臨み天神

もっとみる
めばるのイラスト変更

めばるのイラスト変更

これまでHPなどに使っていたロゴマークがデジタルのイラストだったため、今回、絵の先生に描いていただきました。手書きのイラストです。

この「めばるちゃん」は眼張というだけあって、とってもいとおしいお目をしています。うるうるしてるー。きれいでかわいいー。
今日届いたので、今、机の上に飾ってあります。
額までついてたー。popoさん、ありがとう。

popoさんのnoteページはこちらから https

もっとみる
硯考 漢字用とかな用の墨

硯考 漢字用とかな用の墨

今回は、かなに漢字用の墨を使うとどうなるかについて考えてみました。
漢字用として古梅園の紅花墨(三星)、かな用として古梅園のかな用櫻形を使用しました。

これら二つの墨の大きな違いは価格を別とすると、原料となる煤粒子の違いです。一般にかな用の油煙墨漢字用に比べて微粒子で、さらっとしてのびが良いという特徴があります。漢字用は粒子はそれほど細かくなく粘性も高い傾向があります。

漢字用の墨がかなで使え

もっとみる
科学とブッダが相性が良いのはなぜですか?

科学とブッダが相性が良いのはなぜですか?

今回は、科学とブッダについてのお話です。私もそうですが、ブッダの教えというのは理系の人には受け入れやすいものです。
ブッダが創成した本来の仏教は大変合理的なもので、神秘性というものはほとんどありません。合理性という面で科学と仏教は同じ世界観に立っているといえそうです。

科学の物質的世界観は神の視点という物から遠ざかってしまいました。そして現在では人間という存在だけをよりどころにしています。
一方

もっとみる
硯考 書道と心技体

硯考 書道と心技体

「心技体」とはその言葉の通り心、技、体、(メンタル、テクニカル、フィジカル)三つのバランスがすべて整ったときある特定の能力において最高の力=パフォーマンスが発揮されるということです。

「心技体」を最初に使い始めた人物は、柔道家の道上伯(みちがみ はく1912〜2002)といわれています。彼は戦前からこの言葉を使っていたようです。1953年に柔道とは何かという質問に対し、
「最終目標は心技体の錬成

もっとみる
1/fゆらぎ

1/fゆらぎ

ゆらぎ

近ごろ、1/fゆらぎということばをよく耳にします。これを理解するためにまず、ゆらぎとはいったい何でしょうか。

ゆらぎ というのは動作として揺れているよいうことではありません。ゆらぎ とは規則正しく並んでいるものが少しズレることを意味しています。ものごとの空間的時間的変化や動きが全体としては連続的だけれど、部分的に不規則な状態であることをあらわしています。

例えば音。音には周波数があり

もっとみる
道草

道草

最近ある方からこんなことをいわれました。

名馬とか駿馬というのは気の使い過ぎで、本当はただの馬なのですが、とても的を得ています。勝手気ままだし、すぐに何かにこだわって深堀するので相手するのは大変ですよということのようです。まあ、こうまで当たっていると困ってしまいます。

この話は少し前に私がnoteにあげた善友というのがありますが、それが下敷きになっています。つまり、

千里馬常有而伯楽不常有

もっとみる