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禅語 松に古今の色無し

出典は夢窓国師語録。臨済宗の禅僧、夢窓疎石(1275~1351)の語録に
「便向他道 竹有上下節 松無古今色」
があります。

松は常に緑色をした常緑樹です。松の緑に古今の色はありません。でもこれを常住不変の色と解釈してはいけないような気がします。
(解釈のしかたは人それぞれですからいろいろな解釈があります。)
なぜなら、すべての存在や事象は恒常的でなく、絶えず変化しています(諸行無常)。一様の色はありますが、そこには古い葉もあれば新しい葉もあります。平等というものの中にも差異があることをあらわしています。
ここでは「時間」の経過の中での変化、差異を言っています。

「松無古今色」の前には「竹に上下の節有り」という句があります。
竹には上下に節があります。この節が上下という区別をつくります。でも、竹という意味では同じです。
ここではものの「形」の変化、差異を言っています。

先の語録は、仏教でいう平等と差別(しゃべつ)のことを言っています。

世の中には、変わらないように見えて、違っているもの(変わるもの)がたくさんあります。
人も変わっていないように見えて少しずつ変わっています。
(形のうえでも、時間のながれの上でも)
それは、無理に変えるものではなく、自然に変わるものだと思います。
(自ずから然り)
こうでなくてはいけないと思う前に、あるがままの自分の変化に気づき
それを受け容れてゆくことも大切な気がします。


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