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硯考 書の線質について

書の線質とは何かについての話から、先生はこういう引用をされました。
「神気骨肉血」

これは蘇東坡の書論『東坡題跋』に出てくる言葉です。

書には必ず神・気・骨・肉・血有り。五者、一を欠けば成書と為さざるなり。

東坡題跋

神気は精神、心のこと
骨肉血は肉体、体のこと
こう捉えると神気骨肉血とは心体、つまり人間のことになります。

中田勇次郎の『中國書論集』によれば、

要するに書はただ書き手先の器用さで上手に書いたり、古人の書をそっくりそのままうつしたりすることはしないで、ほんとうの自分の人間性を打ち出すべきものであるという説であるとみてよいであろう。
 かれはよく書を人間の人体にたとえている。書にはかならず、神、気、骨、肉、血の五つの要素がなければならない。この一つを書いても書にならないという。このことばは前にのべた人間性の発露のちょうど裏付けをなす説明にもなるのである。

中田勇次郎『中國書論集』

蘇東坡は技術や形の美しさのみに捉われることなく、高い人格が書に表現されることを重要と考えています。
書はうまく書こうという気持ちが少しも無ければうまく書けるといいます。
また、無理のない自然なものを第一とし、自由な内的な精神が必要だと指摘しています。
蘇東坡は書の中に人間性というものを見いだしました。

このように考えると書の線質も人体のように生きていなければなりません。先生はそれを針で刺すとしぼむような感じのもの。つまり、立体感のあるものがよいと表現されていました。よい線質は立体に見えるそうです。
微妙にわかるような気もします。

私の書く小楷で立体的な線を出す。何とも難しい課題です。線質はその人が持っている素質によるところが大きいようです。上記のように人間性を強く反映するものであればそうなのかもしれません。どう変えるかではなくてどう磨くかと考えたほうがよさそうです。

一ヶ月で何らかの回答を見つけ出さなければなりません。
来月はもう少しましな話ができるようになっておきたい。
でも、こういう事態は書を学ぶ上では結構楽しいものでもあります。笑

我由衷地感谢您。


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