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少年と鳩

少年と鳩のものがたり

ある日、少年の母親が生まれたばかりの鳩の雛をもらってきました。巣から落ちた雛のようでした。母親は、
「春休みだから、この雛を育ててあげてね。」
といって少年に手渡しました。
鳩の雛の姿は、産毛が生えていてかわいいと呼べるようなものではありませんでしたが、少年はかわいそうだと思って、育てることにしました。
まだ自分で餌を食べれないので、春休みの間は付きっきりで世話を
しました。

雛は無時に大きくなり、少年は父親といっしょに鳥小屋を作ってあげました。小学校から帰るとコロといっしょに遊ぶことが楽しみでした。
数ヶ月してコロはもう飛べるようになっていました。母親が、
「そろそろ自然に返してあげたら。」
といったとき、少年はとても寂しい気持ちになりました。
でもこんな狭い小屋にずっといて他の鳩たちのように自由に飛べないのはかわいそうだなとも感じていました。

少年は鳥小屋の戸を開けたままにしてコロを逃がそうとしましたが、
また戻ってきてしまいます。何度も何度もそうやっているうちに
コロは戻ってこなくなりました。でも、少年は毎日小屋を見に行くのでした。

数ヶ月たったある夕方、小屋の屋根に2羽の鳩がとまっていることに気づきました。近寄っても逃げないので少年はコロだと気付きました。
少年は急いで母親を呼びに行って小屋に連れてきました。
「コロはきっとあなたに彼女を見せに来たのね。」
少年はとてもうれしくなりました。

このとき少年は、コロに自分の気持ちが伝わったのかなと感じました。
鳩にも人の気持ちがわかるのかもしれないと思ったのです。
そう思うと少年はとても幸せを感じました。
少年はこれまで以上に動物が好きになりました。
そして動物と心通わせることの喜びを学びました。

動物を飼ってお世話をすることによって、人が生きてゆく上で大切なものをたくさん学べるのだとあらためて感じました。


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