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礒永秀雄の詩の広場
2024年7月8日 06:56
海 だれに聞いたらよい海 おまえはわたしの墓場だ と海 おまえはわたしの恋人だ と海 おまえはわたしにかかわりがない と海 だれに聞いたらよい海 わたしの胸の 悲しみのしわ海 わたしの秘めた心のながれ海 わたしの奥にひろがる 暗やみ海 だれもまわりにはいないから海 その傷を わたしに見せてはくれぬか海 神々の死骸をきつとかくしたおまえ海 愛をふみぬいたその足の裏をわたしは
久住ハル
2024年7月5日 22:21
ショッピングモールの小さい広場に何を見る訳でもなくぼんやり舞台に目をやる僕はこのままプロット通りのよくある人生を行けばいいのか設定だけ決めたどうなるかわからない人生を行けばいいのかマシな人生はどこにあるのだろうあの人よりマシならいいって気が付いたら染みついてるくだらない常識誰かよりマシよりも自分が自分らしく生きることで満足できることが目指すべ
西岡泉
2024年6月5日 10:10
茶色い目をしたヒマワリが車から降りてきたマリーゴールドも後ろからついてきたわたしちょっと休みたいの日当たりのいい部屋にしてねマリーちゃんは庭で休んでらっしゃいヒマワリをサンルームに案内してあげた細い首の上で頭がゆらゆら揺れていた大谷翔平のボブルヘッド人形みたいだったオレンジジュースを出してあげたらストローで器用に飲んだ私の種はまだ食べないでそう言ってまばたきしたら
2024年3月4日 07:22
お帰り 小さな牝鹿わたしは寒い森迷いの小径をたくさんに抱えておまえの目路の果てにさすらう幻の森お帰り 小さな牝鹿おまえの夢が描く牡鹿の角はわたしの森の裸木たち年ごとに増えていく悲しみの塚わたしが輝いて見えたのは冬の太陽のいたずらおまえの浅い眠りの束の間に春のさきぶれのしかけた罠お帰り 小さな牝鹿この道はおまえのしなやかな足にはとても耐えられない石ころばかりの道お
2024年2月14日 10:27
冬の季節風がかき集めた記憶の中から端がまくれ上がった手記を一冊見つけた葉を落とした欅が毛細血管のような枝を空の曲面に張り巡らせていた優しい言葉をかけてくれる人が優しい人ではないあなたにはもう何も言うことはないそう言われた取り返しがつかないことを数えあげてみる忘れてしまった悲しみと忘れられない悲しみの間を君は風のように吹きぬけてゆけるかあしたの時刻が懸けられてい
2024年2月2日 22:47
日々を丁寧に生きている誇れるのはそんなことスタートラインに並んでいるのにすでにスポットライトが当たっている人がいてスポットライトが当たるのは誰が見ても当然で羨ましいとも思わない好きでやっていたことやれると思っていたこと気が付けば頭ひとつ出るわけでもなくその他大勢の中努力して我慢して絶え間なくそれでもスポットライトは当たらない輝いている人を見て足元に
Cir
2023年11月9日 07:19
少し前まで二人で歩いた道今は一人で歩いている少し前まで二人で座ったベンチ今は一人で座っている少し前まで二人で囲んだ食卓今は一人で食べている少し前まで二人で添い寝した部屋今は一人で横たわっている少し前まで二人で笑っていたのに今は一人で涙を流している
2023年8月23日 01:01
蝉の亡骸が舗道に転がっていたクマゼミだったここにはアブラゼミはいないクマゼミばかりだ私たちの頃は茶色いアブラゼミばかりが網にかかって嫌になったものだ黒い体に橙色の鎧をまとい透明な羽根が光るクマゼミはたまに捕まえることができたりすると自慢したくなったほどだ路上の電話ボックスは沈黙を密封するガラス箱から太陽の光と熱をひたむきに浴び続ける実験装置になり果て昨日と今日が
汐田大輝
2023年7月23日 08:29
個性的な画家たちがAIに憑依して描いた作品と俳句との絡みです。絵画と俳句はズレをともないながらも、相互に影響を及ぼしています。俳句には別記事で発表したものを含みます。熱帯夜息のできない昇降機夏白夜眠らぬ街は踊るだけ妹の背中に火蛾の暴れをり巴里祭やミックジャガーの紅い舌黒南風を喰らい尽くして獣たち村滅び象形文字となりし蜘蛛短夜のライトノベルの因果律昼寝覚ここはあのよと諭
テルル Te
2023年7月15日 10:45
メロンソーダみたいな空が僕らを照らしている蝉時雨が奏でる季節にヘッドフォンでノイズを隠して涼んでいる景気付けにアイスを買おうかなどこまでも伸びる澄んだ空を見つめ自転車を漕ぎだしたんだ灼熱のアスファルトの上僕らの時間は蒼く碧い空それはまるで夏みかんの甘酸っぱさ瞬きする間に頬を伝う汗が弾けるような衝動を生きている呪いのような青夏のシンドローム陽炎を追っている君の顔を見つめ
2023年6月21日 00:56
諸事情ありまして夕焼は夕焼けに失敗するのです諸事情ありまして詩に届く前にみんな帰ってしまうのです諸事情ありまして私は最後に残ってしまうのです毎日洗い物をやりましていくら袖まくりしても袖が濡れてしまうのですしょうもない喧嘩ばかりやりまして私が君だったこともあったのです仮定法過去をテレビ英会話で習いまして空と雲をながめては一喜一憂しているのです買い物をしたあとのセルフレジ
そら
2023年2月15日 06:14
気づけば昼過ぎ 陽射しは斜め錆びつく僕を 容赦なく刺す昨夜の酒は 効き過ぎた頭痛に眩暈、嘔気が揺れる去り行く友の 背中を見つめ粋な言葉も 言えない僕はタバコ燻らし 笑顔の君をただ、眩しいとだけ そう思った名声、傑作? そんなモノ誰が決めるか 知ってるかい?寂しげ憂い 漂う横顔見惚れて僕は 言葉、失う女子もカネも 狂気の沙汰さ酒が進めば 腑に落ちた求める芸術
クラシノイロ
2022年7月8日 21:24
息子が生まれてからこんなことを思うようになった。 僕が絵を描くのって、もちろん絵を描く事が好きだから、楽しいからなんだけど、それだけじゃないだなって。父ちゃんが生きていたという証みたいなものを残したいからかな・・・絵(原画)って写真とおなじように、その場の空気や息づかい、温度などをその一枚に閉じ込めている。大袈裟かもしれないが、その絵に触れることで命を感じるような。絵に限らず、誰もが
kee
2023年2月8日 20:37
海外旅行に行ったこともない飛行機にさえ乗ったこともない君は毎日 同じ街の 同じ道を通ってたいてい私より先にうちに帰って”おかえり”って同じソファの 同じ位置で私を迎える君は人を愛することを知っていてそうして君はこの広い世界を知り尽くしている