kee

詩をかいています。

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最近の記事

【詩】軽薄

君からの熱い口づけは さっき食べたセロリのピクルスの味 ”2番目でいいから” 君に言わせる私の軽薄が目に余る夜 ”100番目だよ” と残酷に笑って君の手をほどくけど 君からの熱い口づけは ただただ甘くなって こんなはずじゃなかった こんなはずじゃ

    • 【詩】曙

      ダウン症のお兄ちゃんはね お相撲さんの曙が大好きだった みんな若貴びいきで 世紀の悪役を引き受けていたけれど 外国からひとりやってきて 苦労をたくさんして みんなと違う見た目で 土俵をおりると優しい笑顔の 曙をずっと応援していた 曙の強さは  曙の優しさは お兄ちゃんの憧れだった ”春はあけぼの” 本当に美しく彼は逝った

      • 【詩】花冷え

        花冷えの日 上着を忘れたまま 酔っぱらって遅くなった私を 駅まで迎えに来て つないだ手を 自分のブルゾンの ポッケに入れる君 スキップでもしようかな 春なんだしさ

        • 【詩】太宰治

          雪深い白銀の弘前 もう日が沈みそうなころ ひとり太宰のまなびの家を訪れた 病の影が長く伸びて 職を転々としていたときだった 身一つで何も持たない者たちのなかで 叱責や嘲笑、憐憫に 毎日のようにまみれて暮らしていたら 突然太宰に会いたくなった 太宰の机は薄明りのなかで冷たかった ”満開の桜” 図書館で借りた 場違いな弘前の旅行本の写真は 幻のようで でも若い女のコがひとり はるばると時さえも越え 会いに来たと知って 自惚れた太宰には 薄いピンク色は そのときとても似合うような気

        【詩】軽薄

          【詩】写真

          ドライブの最中 いちゃいちゃしてたら ガードレールにぶつかって 修理代に60万支払った学生時代の元彼は 今Instagramで空の写真ばかりを撮っている

          【詩】写真

          【詩】学生

          明るい髪色が桜とともに舞う 職場は大学キャンパスのすぐ近くで 真新しい服装の学生たちの真似をして 新しい靴をおろしたら 靴擦れができた この小さな痛みさえも愉快 彼らのこれから出くわす たくさんの”初めて”が 私までを遠くへ連れ出して さあ はじまったばかりだと 勇気づけるから

          【詩】学生

          【詩】浮気

          ”keeちゃん、マスク忘れたぁ~” ”とって~” って今朝玄関に急いで引き返してきた君 夜の帰り道 道端で落ちて 踏みつけられいる 無残なマスクを見つけて 浮気はしないとなんとなく思った

          【詩】浮気

          【詩】空

          正しいとか正しくないとか 結局誰にもわからないじゃない こうであるべきとか こうであらねばならないとかさ ほんとのとこ誰もわかっちゃいなくて なのに気づかないうちに そいいうことでアタマがいっぱいで 知らないうちに窒息寸前になってさ 私はこうありたいで十分なんじゃないかな 君はどうありたい?って聞けたらいいのかなって でももしかしたらそういうことも必要ないのかしら そんなこと今日は空を見ながら考えた

          【詩】空

          【詩】処方箋

          君のいう”大丈夫”には 何の根拠もないけれど いちばん優しいこころの処方箋

          【詩】処方箋

          【詩】春の嵐

          吹き飛ばしてよ風 このごろつきまとってる自分への”失望”とか そうして”希望”とか”可能性”とかと ごちゃまぜにして吹きあげて 春の空まで届かせて

          【詩】春の嵐

          【詩】コマ

          初めてコマをまわせたとき うれしかったな ひとりでくるくるくるくるまわるコマに わくわくしたな きれいなコマの色が 今でもまぶたにやきついている そういう純粋な体験が あといくつできるだろう ポチっとすれば なんでもみたような なんでもわかったような 気になれるこの世界でさ

          【詩】コマ

          【詩】ジェンダーレス

          "女のコらしいですね” なんてジェンダーレスな社会 今は言っちゃいけないって わかっているけど ”男のコって感じですね” なんて今日も言っちゃって そういうのに敏感な先輩のひんしゅくをかう おしゃべりで感情的な男がいっぱいいるのも 嫌というほど知ってるさ 私は人におごってもらうこともないし なんなら男のコにごちそうしてばっかだし 身長も収入も学歴も 夫が私に勝っているものはなにひとつないぜ 子どもが人の生産性の証明にもなる世のなか 私たちには子どももいない だけどなんてことも

          【詩】ジェンダーレス

          【詩】結婚

          ミノムシみたいに ふとんにくるまって アタマちょこっとだけだして ぐうぐう居眠りする君をみて 私は君と結婚した 私はリビングからそれをみて かわいいと思ったから

          【詩】結婚

          【詩】道しるべ

          "好きだということだけ伝えたかった” そう言ってくれた人がいた そのとき私は大失恋のあとで そう言ってくれた人は 私の大失恋の相手の友達だった そのときの私はやさぐれていて 自分のことを大切に扱えずにいて ちょうど違う男の部屋にいた そう言ってくれた人は 女のコと二人でいるところなんて 見たことなくて 真面目で ピュアで きっと童貞だった 私は社交辞令的に ”ありがとう” と言ってからすぐに携帯を切って その人の言葉を鼻で笑いさえした それからもうずいぶんたって 私は一度もそ

          【詩】道しるべ

          【詩】ちりかす

          自分が生産性のない人間だという 自覚はあって ときどき他人にとっての ”ちりかす”になって 居場所なんてなくなって 迷惑でしかなくなって 消えてしまっても気づかれない だけど そんな経験をした人にしかわからないこと そんな経験をした人にしか触れられないもの が必ずあるはずだと思うのさ それを根拠もない戯言と笑う人もいるだろうけど それに何の意味があるのと笑う人もいるだろうけど どうしようもなく私はそこに生きる意味があると思いたいのだ

          【詩】ちりかす

          【詩】ABC

          夜勤明け ミナミで 声をかけてきた黒人のやってるバーに 何の気なしについて行って セックスを断ったら なけなしの1000円をとられたときは 心底悔しかった これで本当になんにもなくなったから 店内ではジャクソン・ファイブの ”ABC”がかかって ”愛は気楽に”とうたっていて

          【詩】ABC