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いつか届きますように。言葉の力を信じてます。 chikuwatokyo@gmail.com

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    いつか思いが届きますように

  • 文学作品

    高校生の頃に作ったものを手直ししています。あとは最近の作品です。

  • 「変身」アルマジロ、シッポクンにオカイコさま

    「変身」をテーマにした空想活劇です。笑いあり涙ありの不思議で不条理な世界をお楽しみください。

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    スキを70も頂いた人気記事のストックです。皆様、ありがとうございます。

  • 癒やしの間

    キズを癒やせたら良いなと思い書いた作品です

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腰痛で病院に行ったら意外と不条理だった話

ここ最近腰痛がひどい。腰痛、というよりも背骨が痛い。きしむのだ。奥さんは年のせいだと笑ったが、実際笑い事では済まされない程の痛みだ。こういう痛みは他人には中々わかってもらえない。ボクは心まで痛くなりそうだ。 ため息をついて我慢するのも癪なので、しつこく痛い痛いと言い張ってみると、奥さんに病院でも行って来たら?と言われた。何でも最近夜中になるとボクの部屋からいびきのような、うめくような声が聞こえるらしい。 ボクの家では数年前より夜は別ベッドでの就寝と決まっている。酔いつぶれ

    • 壊れゆくもの...(2)

      ようやく気怠い試験期間が終わった。この程度の学力の評価に何の意味があるのだろう。およそ興味も持てないような暗記にパズルに、思考の浅い問題の群れ。こんなモノができたとて何かしらの価値や意味はあるのだろうか。物知り顔の教師にもうんざりだが、この程度の負荷に耐えられない同世代の脆さにも残念さと異物感が拭えない。加えて多様性だの教育の見直しだの世間が騒ぐ一方で、この学校では相も変わらず廊下の壁に成績順位なんぞを張り出している。何の罰ゲームなのだろう? 「〇〇さん、スゴーい!!」 そう

      • 壊れゆくもの...(1)

        人は誰しも心の中に、懐かしい記憶を抱えている。私で言えば、それは幼い子どもの頃に見た景色だ。ぼんやりとしていて、でもその所々を私ははっきりと覚えている。陽が落ちて暗がりに包まれた公園の通りを、眩いばかりの明かりをまとった神輿のような乗り物が次々と通っていく。頭の大きな人形達が手を振り、周りの見物客からは次々に歓声が起こる。きっと私は目を輝かせて心を躍らせていたのだろう。横に座った母の顔は明かりに照らされて目が輝いている。見上げると、私を抱いた父が嬉しそうな顔で私と目を合わせた

        • 世直しリョウ君の日記帳 第二話:キレイ好きな娘さんのこと

          「『イヤよ、そんなキタナイの!何で私がそんなコトしなきゃいけないの???』…だってさ…いきなり娘にそんな風に言われてさ、さすがにオレも落ち込んだよ…」 目の前の男は力なくそう言うと、床へと視線を落としため息をついた。 彼は僕の得意先の部長さんなのだが、何故か気に入られて月に数回お昼をご馳走になっている。娘をひとり育てただけなので、僕と話していると息子のような気がすると、以前言われたこともある。年のころは50も過ぎ、そろそろ髪が薄くなりかけたようにも見受けたが、うつむいた拍子

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          |徒然《つれづれ》なるモノ

          書きたいものって 何だっけ? 言いたいことは どんなコト? 読みたいものって 何だろう? 知りたいことは 何ですか? 知らないことは 何だろう? 違う世界の 絵空事  嬉しいことは 何ですか? 哀しいことは 何でしょう? 逢いたい人はどんなヒト? 逢えないヒトはどんな人? キー打つたびに 思うのは 日々想うこと 胸のうち そう思いつつ、ふと 青空を見上げる …みなさん、noteを前に時々こんなコト考えてませんか? (イラスト ふうちゃんさん)

          |徒然《つれづれ》なるモノ

          世直しリョウ君 第一話:イタ過ぎたオトコ④

          その日僕は得意先の営業の帰りで、喫茶店でしばしの休憩をしていた。仕事中なので当然ヤツも一緒だった。お昼時で店内はやや混み合っていたが、僕はカウンターそばのテーブルに陣取ると、ヤツに席を勧めた。 「何だよオマエ。こんな店で休もうなんて、一人前に仕事に慣れたつもりかよ。」 相変わらず何も考えていない、ココロに浮かんだまま遠慮のない言葉だ。 「そうですね。偉そうかもしれませんね、スイマセン。」 僕は例の如く、コイツの話に合わせるようにして店員さんに無用な被害が及ばないように仕向けた

          世直しリョウ君 第一話:イタ過ぎたオトコ④

          世直しリョウ君 第一話:イタ過ぎたオトコ③

          ヒトを前にして、ヒトは様々な感情を抱く。それが嬉しいとか楽しいとかpositiveな要素なら正のエネルギーを感じ、逆に苦手意識や不安、怒りとかnegativeな要素なら負のエネルギーを感じる。正のエネルギーでは幸福感や満足感を得られる一方、負のエネルギーが強すぎると絶望感や激しいストレスを感じてしまうものだ。結果、ヒトはココロを痛め、傷つくこととなってしまう。原因は様々だが、僕の考える中ではヒトのパターン分類に従った対処方法が知られていないことが大きいように思う。 例えば反

          世直しリョウ君 第一話:イタ過ぎたオトコ③

          世直しリョウ君 第一話:イタ過ぎたオトコ②

          それから月が変わったある日の夕方、僕は仕事帰りに立ち寄った書店でヤツの奥さんに偶然会った。 「あの…さん、ですか?」 笑顔で軽く会釈した彼女だが、声の調子まで優しさと気品に満ちていた。彼女に会うのは結婚式の二次会以来でまだ二度目だが、僕にはすぐに彼女だと分かった。 「…コイツ、使えねぇ新人クンでさ、オレが面倒見てやってるんだ。」 式の二次会で僕が挨拶した時の、ヤツのコトバだ。酔って上機嫌だったが、隅々まで無礼とか不躾とかいう表現でしか言い表せないようなイタさが溢れていた。『

          世直しリョウ君 第一話:イタ過ぎたオトコ②

          世直しリョウくん 第一話:イタ過ぎたオトコ①

          「いいかオマエ、結婚なんてそうそうするもんじゃないぞ。オレなんてもう何回後悔したか覚えてもないよ…」 「いくら美人って言ってもそのうち見飽きるし年も取る。それに毎日一緒にいりゃ目に入るのは何の化粧っ気もないすっぴん姿だしな。」 斜向かいに座った5歳先輩の男は、最近この手の愚痴が多くなった。正直面倒極まりないが、心理学部で人間心理やコミュニケーションの実技を学んだ僕にはこの手の『面倒なヤツ』の相手は苦手ではない。 「そうですか、大変そうですね。じゃあ、気を付けますね。」 冷た

          世直しリョウくん 第一話:イタ過ぎたオトコ①

          ボクは、世捨て人になりたい

          古代インドの識者が進んだ人生のカタチ、それが「四住期」。話せば長く、みなさんきっと飽きちゃうので、めちゃ簡単に書きますね…そういや前にもこんなん書いたかも… 第一の「学生期」。これは若い頃に知識や経験を学び、教えを得ることで先の人生に役立つスキルを身につける時期です。 第二の「家住期」。これは社会人として、一家の長として家庭を成し仕事に励む時期です。 そして第三の「林住期」。古代インド社会では50歳を過ぎれば社会や家庭での役割を終え、修行や瞑想に励むことで自らと向き合い

          ボクは、世捨て人になりたい

          カオスな時代 ver.2~オタクの中心で愛を叫ぶ

          オトコ達は最初こそ戸惑っていたものの、今やノリノリになって舞いと雄叫びを繰り返し、一度は萎えかけたココロが次第に昂っていくのを感じていた。精神が高揚するとはこういうのを言うのだろう。死んだサカナの目はいつしか生き生きとした輝きを取り戻し、霊験あらたかな御神木を前にひたすらに舞と雄叫びを繰り返した。ボクはといえば、舞に集中しようにも前の女子から目が離せなくなっていた。いや、正直に言えば彼女の胸から目が離せなくなっていた。自由を求めて舞踊るその様は、『バインバイン』、『プルンプル

          カオスな時代 ver.2~オタクの中心で愛を叫ぶ

          カオスな時代 ver.1~運命の出会いと夢の先

          その夜、ボクは人気のない山間の集落にいた。というか、連れてこられた…。でも何者かに拉致された、というのは少し言い過ぎだ。「自ら好き好んでのこのこ付いていった」というのが正直な表現だろう。 どうも記憶が定かでない。クスリの類を盛られた訳ではないが、ひどい衝撃を受けたせいなのだろう。ただの自己嫌悪と現実逃避の結果、ただそれだけだが、辺りを見回せば死んだような眼をしたオトコ達の群れが力なく立ち尽くしていた。そしてボク同様に打ちひしがれている…コイツら同類か…。ボクはこの状況を前に

          カオスな時代 ver.1~運命の出会いと夢の先

          蠢く想い

          朧月夜に 絆されて  想い蠢く 掻き乱す 儚きものと 眺めせし間に 秘めし心ぞ 騒ぎ出す 蕾み膨らめば 麗しき 花散りゆけば 悼ましき  時の流れは 絶えずして もとの水には 在らざるを 幾度噛みしめ 呑み干せど 乾きし想い 遙か彼方へ 世に馴染まぬは 望みならずや 満ちた暮らしは 望み叶わん ひとり宴に 星はさざめく 揺蕩う空の 西へ東へ 一夜の想い 願わくば 在りや無しやと 何処にか在らん   イラストは、いつものふうちゃんさんです。 本当に、いつもあり

          蠢く想い

          "ムダ"の意味

          「皆さん、今を生き抜くには「効率化」の追求は避けて通ることのできない問題です。かつてこの世の中には様々な「ムダ」がはびこっていました。」 今ではすっかりお馴染みとなった、動画サイトでの通信販売番組。一昔前ならテレビショッピングを良く見かけたものだが、令和も頃合いとなった今ではこうした動画の報が一般的だし、人気もある。そもそも購買層のメインは20代後半から40代なのだし、視聴するだけの高齢者がテレビに集まっている現状では致し方のないことだろう。商品自体も「若者および主婦層」が

          "ムダ"の意味

          ニートな気分 ver.3

          僕が外界と交わる唯一の手段、それがSNSだ。僕の生きる聖域は狭い六畳間の部屋だけで、外部との通信は中古のPC機に頼っている。毎日夕方に目覚め、ニュース記事を眺め世間の情報を集めたら、後は動画を眺め、アダルトサイトを徘徊し、深夜になると同じような連中が集うSNSに辿り着く。いつもの連中、冷やかし目的の新規の奴もぞろぞろと入ってくるのがいつもの光景だ。 『乙ですw』 『www草生えたwww』 いつもの当たり障りのない書き込みが続くのだが、まるで互いに生存確認しているかのように

          ニートな気分 ver.3

          ニートな気分 ver.2

          「あのねえ、来月から入所施設のお世話になることにしたよ…いよいよムリも効かなくなってきたようだしね…昨日ケアマネの佐々木さんと相談して、そうして決めたんだ。アンタも良い歳なんだから、いい加減キチンとしなきゃダメだよ。いつまでもそうやってゴロゴロして。本当お天道様に申し訳ないよ…」 そう寂しそうに呟いた、皺だらけの老婆の顔はひどく疲れていた。もう何年も僕の目を見て話す事はなく、視線の先は遠くの景色か記憶の中にでもあるようだ。積年の苦労の記憶が僕に言い聞かせることを諦めさせたの

          ニートな気分 ver.2