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CH.119 ゆっくり読みたい記事

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#小説

公募コンテスト成績

公募コンテスト成績

2021年から、note内外の公募やコンテストに挑戦しています。嬉しい結果が出たものを残しておきたいと思います。随時更新する予定です。どんどん更新できますように!

2021年
・note公式 #挑戦している君へ
 グランプリ
エッセイ「駆け抜けたUTMB170kmの風は、誰かへの優しさの匂いがした。」
・小説宝石デビュー作をプロデュース賞
 最終選考落選
小説「土壇場の比類なき思考回路」
・光文

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シティポップが聴こえる

シティポップが聴こえる

 シティポップが好きだ。

 あの洗練された、コンクリートジャングルに生きるスタイリッシュな大人たちを彷彿とさせる歌詞、そして小洒落たサウンドは、マルイのロゴマークを「オイオイ」だと信じて疑わなかった根っからの田舎者の心をむずと鷲掴み、瞬く間に大都会東京への憧憬を抱かせた。

 もっとも、かく言う自分自身はまったくもってシティポップ世代ではない。シティポップ最盛期が八十年代だとして、僕が音楽に目覚

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【焼き鳥と猫】 #あなたへの手紙コンテスト

【焼き鳥と猫】 #あなたへの手紙コンテスト

猫と、猫を愛する人々へ

 家に帰るとタマが甘えた声で擦り寄ってきた。台所へ向かい戸棚からカリカリを取り出したものの、それが一食分しか残っていないことに気づいた。ウェットフードもちゅ〜るもない。これでは朝の分がない。うっかりしていた。タマはもうご飯をもらえるものだと思ってお皿の近くでおとなしく座って、時折舌をぺろっとしてはまん丸の目でわたしのことを待っている。そこであることを思い出した。

 先週

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褒めていただけた好き嫌いの分かれる小説たち(追記あり2021/05/23)

褒めていただけた好き嫌いの分かれる小説たち(追記あり2021/05/23)

ダッシュボードから、小説スキランキング、ワースト5とベスト5を発表いたしましたが、ランキングからもれてしまったけれど、褒めていただけたり、オススメしていただけた小説集めてみました\(^o^)/

結局、過去の作品をいろいろ読んでいただきたいだけです笑。すみません。よろしくお願いします。

「ある青年の死」
不慮の事故で死んでしまった息子を偲ぶ夫婦。遺品のスマートフォンから見つけた、知りたくなかった

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小説スキ数、ワースト5、ベスト5発表!

小説スキ数、ワースト5、ベスト5発表!

新しい小説が書けていません!と言いながら、小説を書かずに雑記を書くという!

さようなら言ったばっかりなのに、なんてやつでしょうね(。-∀-)

小説の投稿を少し休もうと思ってから、普段全然見ないダッシュボードを見てみました♡

まず、スキ10000!ってお知らせきてたけど、10767だった!1日で767もスキは来ていないから、ちょっとタイムラグがあるんですね( *ˊᵕˋ)

それで、ビューはチラ

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忘れられない言葉

忘れられない言葉

小春日和。
運動会の徒競走、わたしの苦手な種目だ。
順番が回ってきて、スタートラインに並ぶ。
観覧席からお兄ちゃんの「大丈夫!大丈夫!」「大丈夫だよ〜!」「大丈夫だって!」「大丈夫だから〜、心配するなって!」というエールが聞こえる。
わたしのたった一人の応援団。
この日のために買ってくれた運動靴に願いを込める。

運動会の数ヶ月前のこと。

お腹が空いてイライラしていたわたしは、お兄ちゃんに「運動

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【小学生リメイク版】全力

【小学生リメイク版】全力

※今回の記事は、8/22に投稿した「全力」のリメイク版です。note公式で募集のポプラ社「#こんな学校あったらいいな」用にリメイクしました。私の記事は、事実をただ書いており創作はひとつもありません。鶴木マキさんからのコメントがきっかけで、試しにやってみました。何の経験も知識も力量も構想も時間も無いkojuro初めての、ちょっとした創作。いつもより少し長いです。気の向いた方だけ、その貴重なお時間を頂

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小説:セレナーデ【40088文字】

小説:セレナーデ【40088文字】

【小夜】

ゆるい日差しに、桜の淡い花びらが光る。まだ少し冷たい風が前髪を揺らして頬を撫でる。景色は何もかもが平和で、平凡で、平均的な春の日。ベンチに浅く腰掛けて、煙草を吸う。
爪の短い私の指に挟まる、長いメンソール。

煙草から直接立ち上る煙は青白く見えるのに、吐き出す煙はただの白に見えるのはなぜだろう。私の肺で、青色が濾過されたのだろうか。煙を深く吸い込みながら思う。私の肺に、置き去りにされ溜

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双葉荘 2

双葉荘 2

二、出会い暫く曇天や雨天が続いていたので心配したが、『双葉荘』への入居当日、横浜の空は朝から晴れ渡っていた。3月の年度末時期を控えて、私も美江も仕事が立て込んでおり、週末はほぼ塞がっていたので、初旬の平日に二人合わせて休みを取った。ほんの一駅の距離だ。運送屋の手伝いを借りて荷物の運び込みも午前中にはほぼ片付いた。

美江と二人駅前で昼食を済ませると、まずは挨拶に隣を訪ねる…扉横の呼び鈴を押すと、3

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双葉荘 1

双葉荘 1

一、 百葉今朝、妻と二人で実家近くの区役所に離婚届を提出してきた。2年もの別居生活中、幾度も二人で話し合ってきたが、やはりお互い別々の人生を歩もうという結論に達したのだ。二人には子供もいなかったし、特に憎しみ合っていた訳ではないので、円満な結論と言えるだろう。

今や妻はコラムライターである私の担当編集者。夫婦としては紆余曲折あったが、仕事上では良き仲間である。届け出の後、もう妻でなくなった美江と

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小説:クロニック デイズ【16065文字】

小説:クロニック デイズ【16065文字】

 僕は恋をしている。

 人生で初めての、本物の恋だ。今までも、ちょっと気になる女の子はいたけれど、今回の気持ちとは比較にならない。高校3年生にして、僕は初めて、本物の恋をしている。

 相手は同じクラスの佐藤エミ。3年生になって初めて同じクラスになった。2年生のときまでは「他のクラスの金髪の派手な子」という印象しかなかった。でも、3年生になって同じクラスになってから、印象が大きく変わった。

 

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【脱出ゲーム】白い部屋から脱出せよ(スタート記事)

【脱出ゲーム】白い部屋から脱出せよ(スタート記事)

いらっしゃいませ~。この記事は『脱出ゲーム』のスタート記事です。
あなたの行動を選択して、この白い部屋から脱出しましょう!
面白かったら『スキ』『フォロー』『コメント』を貰えると糧になります😁
『サポート』もして頂けたら嬉しいなぁ……結構大変なんです……(笑)
ページ数が多いので12月30日12時までに分散して投稿します。

あなたが目を覚ますと、四方真っ白な部屋の中心にいた。正面、左右の壁には

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掌編小説:満開の白木蓮【4324文字】

掌編小説:満開の白木蓮【4324文字】

 名前は歌子。私の一番の親友。毎日一緒に遊んでいる。とても仲良し。

 歌子は学校に行っていない。
 何歳かも知らない。
 歌子は私が住んでいる市営団地の、床下に住んでいる。

 歌子の住む床下には、玄関の外の、電気メーターが入っている鉄の扉から行く。

 鉄の扉は玄関の横にあって、鉄の扉を開けると、ひんやりと湿っていて冷たく暗い。土とカビのようなにおいだ。

 歌子のことはみんな知らないから、私

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小説:宵闇の月【17648文字】

小説:宵闇の月【17648文字】

「私、バリアが張れます」

 思い切って宣言した。自分からカミングアウトするのは初めてだ。

「バリア?」

 男は無表情のまま少し首をかしげた。

「はい。バリアです。この力は、きっとここで働く上で、力になると思います。だから、働かせて下さい」

 目の前の男、この探偵事務所の探偵、山矢は目つきの悪い男だった。黒いジャケットに黒いネクタイ。「お葬式のときみたいな恰好」第一印象でそう思った。あと、

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