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読書からの葉脈

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読了の落とし込み。読んで書いて読んで書いてし続けたいし、その先の自分の表現を見つけたい。
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#コラム

スズキ ヒロに伝えたいこと

スズキ ヒロに伝えたいこと

久しぶりの読書は、スズキ ヒロの『Book Cover』からにした。スズキ ヒロとは、卍丸くんだ。

彼とは会ったことはない。会ったことはないけれど繋がっている。矛盾しているが、SNS上の繋がりだけではないという、見えない繋がりに何かしらの見える物を感じる繋がりだと言いたい。

どうして、こういう回りくどい言い方をしなければならないのか。少なくとも私には、人との関係が希薄になったこの何年間で一番、

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手紙になるような一日を終えて、自己を知る。

その日の約束は、昨年の9月からの約束になる。僕は、逸る気持ちを抑えきれずに待ち合わせの40分程前にそこに着いた。伊勢佐木町のBOOK・OFF前が待ち合わせ場所だったのは、きっと僕が早く到着しても大丈夫なようにという気遣いからだろう。

僕に渡したい本がある。

そう言っていただき、実際に会うまでに5ヵ月。聞きたい事、話したい事が積もりに積もっていた。

大江健三郎という一人の作家がいる。僕が大江健

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哲学におもふ事情と、自分の事情は二乗でありたい

哲学におもふ事情と、自分の事情は二乗でありたい

📚 #41歳からの哲学 #池田晶子

著者の言葉です。

死の確率を知っていますか。

100%です。生まれた時から変わらず100%です。

とかく、死生観について考えようとも忘れがちになったり、急に迫ったり、身近な人で何か起きた時に不意に隣にあることに気付くこと。

それを気づかされました。

誰にでも訪れますが、都合よく忘れてしまいがち。

人とは何ぞや。

読むべくして読む時に読むもの。

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大江健三郎を味わい、続く作家の旅は壮大になりそうだ。

大江健三郎を味わい、続く作家の旅は壮大になりそうだ。

📚 #大江健三郎 #万延元年のフットボール

大江健三郎を未読の私に「古典だって何百年、何千年と経て今読みますから、作家や作品はタイミングで出逢うもの」と優しく教えていただいた。

私は、読書が好きだが、周りに本を薦めてくれたり、感想を言い合ったりする環境がないまま経年している。

だが、今読みたい、触れたい文学への座標が出来て、進みたい道に、教えてくれる方達がいるのは、とてもありがたい事だ

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孤独に於ける考え方と、ダイエットに於ける孤独。

孤独に於ける考え方と、ダイエットに於ける孤独。

📚
ザリガニの鳴くところ
ディーリア・オーエンズ

海外文学に触れる機会が、久しぶりに訪れた。
どうして、このタイミングでなどと考え読書するのも好きである。

著者は、動物学者。

物語を通して、一貫して孤独に対しての訴えを綴っているように思う。

1人の女性の一生の孤独を描く相対に、人間社会とは違う。自然界の生き物、植物等の人との調和を描いているように考える。

本来、人間は生き物と違

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僕と大工と偶然と必然

僕と大工と偶然と必然

「あら。須賀敦子はどうだった?」
珍しく司書の方から話し掛けられた。
「そう。それについては、まだ落ち着かないんだ。でもまとめるよ」
僕はそう答えていたが、僕の話を聞くまでもなく司書はこう言った。
「あなたが次に読む本。彼は何て言っているの?」
僕は、答えた。
「彼を知っているの?」
司書はそれに答えずこう言った。
「偶然と必然を知る意味はあなたにとっての必然になり得るかもね」
僕は、本を受け取り

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谷崎潤一郎が好きである。それと同じくらい方言が好きである。

谷崎潤一郎が好きである。それと同じくらい方言が好きである。

📚
谷崎潤一郎全集より

日本に於けるクリップン事件 を読みました。

私は、関西弁を喋れない。 

これは勉強すれば喋れるようになるのだろうか。
卍で操られる言語は、関西弁を喋れない人が本当に書いているのだろうか。 

同性愛を告白する女性の話しで綴られていく男女4人の交差にタイトルの意味を感じる。 

私が借りた全集には、谷崎潤一郎が、卍はモデルや種本はなく、上方言葉の甘美と流麗とに魅せら

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山に想いを馳せるとこうなった

山に想いを馳せるとこうなった

📚
作家の山旅
ヤマケイ文庫 

物を書く対象が自然となった場合、どんなに達筆な方達も自然そのものに追い付けない。 

どの作家も皆、とても綺麗に折々の言葉を綴り山を語っている。 

大変失礼だが、それがとても可愛く思う。 

やはり、山そのもの、自然そのものに対してどこかしっかりと畏怖しているからだろうか。 

作家と山は近くにあった。 

それが知れてとても嬉しい。 

私がやりたかったこと

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廓言葉と花魁(おいらの姉さん)

廓言葉と花魁(おいらの姉さん)

📚
吉原花魁日記
光明に芽ぐむ日
森光子

1926年。大正15年に刊行された本。

吉原に売られた著者の、自分が自分を保つために書き残した約2年間の日記。

吉原花魁の仕組み、どんな世界だったのか知らなかったが、とても興味があった。

思い浮かぶ花魁の世界は、歌舞伎の花魁などに残る優雅で艶美な香りが漂う、美しいイメージに時と歴史と共に変遷されていった事だろう。

私なんては、表面の情

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