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#コラム
「感動した!」と言ってもらえるぼくの料理には、圧倒的な戦略とロジックがある
はじめまして。鳥羽周作と申します。「sio」という代々木上原のレストランでシェフをやっています。
このnoteでは、ぼくがふだんどのようなことを考えながら料理づくり、お店づくりをしているのかをお伝えしていければと思います。
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ただの「おいしい」ではなく「感動した!」と言われたいぼくが目指すのは、ただの「おいしい」ではありません。「感動」です。
日本に「おいしい」お店は無数にありますが、「
「文化的な生活」とは何か
「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」。
日本国憲法二十五条を改めて読むと、「最低限度の生活」の基準に「文化的な」の一言が入っていることの意味を考えさせられる。私たちはただ「生きのびる」ためだけに日々を重ねるのではない。「生きる」ために、文化的な暮らしを自分たちの権利として主張できるのだ。
では「文化的な生活」とは何なのだろうか。
テレビや新聞、インターネットなどの
旅行コンプレックスの私が『0メートルの旅』を読んだら
私は旅行が苦手だ。
旅行中、頭の片隅では自宅に帰ることをいつもぼんやりと考えている。もっとも好きなのは観光することでも地元の人と交流することでもなく、ホテルの部屋で風呂上がりにビールを飲みながらテレビを見ている瞬間だ。
旅慣れた誰かから「観光ガイドに載ってる店なんかじゃなくて、地元のおじさん達が日常的に使ってるような小汚いお店がいちばん美味しいんだぜ」とアドバイスをされても、ことりっぷに載って
「考える」とは、自己と向き合う時間
「インプット」と「アウトプット」という言葉がある。
本を読んだり話を聞いたり、自分の中に何かを取り入れる「インプット」と、それを自分なりに咀嚼した上で表現する「アウトプット」。
この2つのバランスが大事だというのは至るところで言われていることだ。
特にアウトプットは意識しなければできないことでもあるので、行動に移すとか文章やトーク、それ以外にも絵や音楽など何かしら表現することは是とされている
「あー、これを食べるときが一番幸せ」
今一番好きな食べ物を聞かれたら、たまご焼きと答える。
それも卵2つに醤油だけで味を付け、少し多いかなと思うくらいの油を熱したところへジュッと一気に入れたら箸で大きく混ぜて、なんとなく形作っただけの適当なのが一番で、自分にとっておいしければそれでいいもの、それが好きな食べ物かなと思う。
これまで直に接した中で最も尊敬する料理人の1人に、料理屋での修行を一度も経験せず、本からの知識と自ら歩いて得た体