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よく読み、よく呑み、よく寝落ちします | ふだんはテレビ番組を作ります | 趣味はアナログ派です(本・旅・酒・写真・ボードゲーム )

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    スキの中でも好きなもの。くりかえし読みたいもの。読むと書きたくなるもの。書く前に読む、私のペンシャープナー。

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    仕事に役立ちそう。考えるに役立ちそう。 そんな記事を詰め合わせました。

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恋、どこまでも孤独で自由な営み

こちらは、林伸次さんの文庫版『恋はいつもなにげなく始まって なにげなく終わる。』のあとがきに掲載していただいた文章になります □ 「男性って香水をもらったらうれしい?」 ある既婚女性から、贈り物の相談を受けたことがある。彼女とはずいぶん長い付き合いだ。 「人によるけど…誰かにあげるの?夫に聞いてみればいいじゃない」 と答えると、彼女は 「夫に聞けないから、あなたに聞いてるんじゃない」 当たり前のことを聞くんじゃないよ、とでも言いたげな様子だ。 なるほど。 僕は理

    • 大人になると、願い事が変化するのは

      正月の初詣、お賽銭を投げ入れて二度手を叩いたあと、はて、と止まってしまった。 「お願いごと」が思い浮かばないのだ。 これまで一体、何をお願いしていたっけ。 それはどうやって、思いついたんだっけ。 小学4年生の時、 「塾のテストをがんばるので、ドラクエ6が手に入りますように」 と願った。 家族が大病をした時、 「どうか、病気が悪化しませんように」 と願った。 ひとは年をとると、「~~ができますように」系の願いごとから、 「~~でありますように」系の願いごとへと変化してい

      • 人気のない「転勤」について

        「君、転勤の候補なんだけれども、希望の地方とかある?」 と聞かれたので、 「東京と京都は住んだことがあるので、それ以外がいいです」 と答えた。 結果、北陸へ転勤することになった。 初めての北陸。希望通り。やったね。 いま、若い人の間では「転勤」は人気がないらしい。 「配属ガチャ」「転勤ガチャ」という言葉もあるくらいで、その「ガチャ」の結果次第では、会社を辞める場合もあるとかないとか。 でも、僕は転勤がわりと好きで、今の会社を選んだ理由のかなりの部分を、海外も含めて「色ん

        • 「説明的すぎる」という言葉が気になって

          「全部を描いてしまうと説明的になってしまうんです」 先日、NHKの番組「日曜美術館」で日本伝統工芸展の特集がやっていた。その中でたいそう大きな賞を受賞した蒔絵師の方が、インタビューで語っていて、「なるほどなぁ」とテレビの前で唸ってしまった。 テレビの前で独り言が増えてきてきたら、すっかり年寄りである。 ちなみに、その作者の作品はこちらである。 作者が暮らす北陸の町・輪島では、冬はとにかく天気が悪く晴れがほとんどない。そんな折、ふと雲間からさしてきた陽光が椿を照らすのが美

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          「狂人」とは何者か。マーダーミステリーのすすめ

          悪人はなぜ悪人なのか、狂人はなぜ狂人なのか。 その理由を知るには、悪人なり狂人になってみるのが一番てっとり早い。 ただし、フィクションの中で。 最近、「マーダーミステリー」という遊びにハマっていて、時間が足りない。 コレは一言でいえは「体験するミステリー」だ。(そう、今回は趣味全開の記事です) まずひとりひとりに配られるのは、わずか数ページの小さな「本」。そこにはあなたが担当する登場人物の「これまでの人生」と「きょう1日のこと」が書かれている。もちろん中身はひとりひとりす

          「狂人」とは何者か。マーダーミステリーのすすめ

          何をしているのか。身分はよく分からないけど、面白かったおじさん。

          親戚に<ふだん何をしているのか、どんな仕事をしているのか分からないけれども、よく遊んでくれる面白いおじさん>がいた。 夏休みと春休み、彼を訪ねるのが楽しみだった。 アクション映画の主人公が乗っていそうな大きなバイクに乗り、ビリヤードやボーリングが上手く、絵や工作も得意で、オセロがやたら強かった。 僕の夏休みの工作の宿題は毎年おじさんといっしょに作ったし、あまりに出来がよかったので学校で表彰されたりした。 「ふつうのサラリーマン」で、目立った特技もなかった自分の父親と比べて

          何をしているのか。身分はよく分からないけど、面白かったおじさん。

          雨の土曜の朝のチルい

          土曜日は朝から雨が降っていた。 睡蓮鉢の水面には雨が作る不規則な波紋が広がる。いつもよりゆっくり泳ぐメダカに餌をやっていると、Spotify からテイラー・スウィフトの「willow」が静かに聞こえてくる。穏やかに時間が流れる。 音楽のプレイリストの名前を見ると「チルいヒット曲」とあった。 出た。チルである。 だからチルってなんやねん。 最近では「チル・アウト」なる飲み物まで自販機に並んでいる。 よく聞くものの、けっして自分では使えない言葉たちというのがある。 その急先

          雨の土曜の朝のチルい

          映画を早送りで見られない人

          「あんた、私の気持ち分かる?」 「分かるよ」 「うそばっかり。かなしいわ。」 ……え?どうゆうこと?? 思わず自分が言われたかのように戸惑いながら、「巻き戻し」のボタンを押してしまう。 90分の作品なんだけど、いったりきたりしながら2日がかりで見終えた。 NHKでやっていたドラマ「雪国」である。 このドラマすごく良い。良いというか僕は好きです。 今日もどこかで行われていそうな、「男女の分かり合えなさ」がいかにも普遍的でおかしみがある。 ヒロイン駒子の台詞が絶妙に足りな

          映画を早送りで見られない人

          「飽きる」力

          などと安いビジネス書のようなタイトルをつけてしまったが、この文章の志は低い。 「飽き」は面白い。なにがって、その深刻さや、切迫感、認知の塩梅が人によって千差万別なことが面白い。 ある人の「飽き」はほとんど生きる意味の喪失で由々しき事態だけれども、ある人はいちいち「飽きた」とさえ思わず、息を吐くように自然に飽きて消えていくものだったりする。 年末年始、2、3年ぶりに小さく集まった宴席で、もう誰も仕事の話をしなくなった。それは別に仕事に飽きたわけでもないと思うけれど、「飲み会

          「飽きる」力

          書かない。気分を記録する。

          僕がぼんやり抱いている仮説の一つに 「PVや視聴率だけを追うと、コンテンツは均質化し賞味期限は短くなる」 というのがある。 僕が働き始めた頃よりも、メディアとかマーケットの世界では「分析し、言語化し、メソッドに昇華させ、仕組み化する」というサイクルがめちゃくちゃ早くなった。 それを得意な人が増えたし、業とする人も増えた。たくさんの就活生からもそれをアピールされる。 でも、ゲームそのものよりも、その「攻略本」を作ることにみなが必死になるゲームなんて、みんなすぐに飽きちゃう

          書かない。気分を記録する。

          ただ彼女のことが好きなだけだったのに

          ベランダのビオトープに、ずばぬけて美しく艶のある一匹のメスのヒメダカがいる。 そして、彼女のことが好きで好きでたまらないオスがいた。 いつも彼は、彼女の背後や下を泳いでいる。 他のオスが彼女に近づくことが気に入らないのか、近づくたびに激しく攻撃し追い払う。 ただ、あまりにも攻撃的なので、艶のある彼女も彼を怖がり、距離を置こうとする。 彼女がほかのオスに興味を示し近づいていっても、「彼」が来るのでオス達はあわてて逃げていく。 だから、彼女はいつもひとりぼっち。 愛って難

          ただ彼女のことが好きなだけだったのに

          雨がふり、忘れものをして、

          僕には「ふたつのことを同時にできない」という特徴が顕著にありまして、随分とたくさんの落とし物・忘れものをしてきました。この特徴はお医者さんの“お墨付き”です。 高校時代には友達と何かの話で盛り上がり、学生カバンを駅のプラットフォームに置き忘れたまま電車に乗ってしまったこともあります。 最寄り駅に着いて初めて忘れたことに気付き、あわてて折り返しの電車に飛び乗りました。カバンは誰もいない夕暮れのプラットフォームに、ぽつんと落ちていました。まるで主人の帰りを待つ忠犬みたいに。

          雨がふり、忘れものをして、

          久しぶりに都心を歩くと、

          久しぶりに駅を利用したら改札機から 「ピンポン!チャージしてくださいっ!!」 と言われてしまった。どうして、あれ、すごく怒られている気分になるんでしょうね。 やれやれと思いながら券売機に向かおうとすると、今まさにチャージしようとしていた30代の女性と目が合った。彼女は何かを感じ取ったのか「あ、どうぞ」とゆずろうとしてくれた。 「いえいえ、どうぞ、どうぞ」 なんとか先に券売機を使ってもらったものの、電車に乗った後もしばらく「しまったなぁ、しまったなぁ」と反省した。 久しぶ

          久しぶりに都心を歩くと、

          もし僕がマッチングアプリで出会っても、型にはまった話をしてしまいそう

          かつて「出会い系サイト」という言葉には、どことなく怪しい雰囲気を帯びていて、「実は、使ってるんだ」と言い出しづらい空気があった。 でも、今では「マッチングアプリ」はポピュラーな存在で、先日も20代の後輩がアプリで出会いサクッと結婚した。本当にサクッと。 やっていることも技術もほとんど変わらないように見えるけれど、「会い系サイト」を「マッチングアプリ」にするために、Pairsなどは広告にめちゃくちゃお金をかけたらしい。 先日、大手マッチングアプリに「縁」のある女性の話を聞

          もし僕がマッチングアプリで出会っても、型にはまった話をしてしまいそう

          串から外された焼き鳥は何を失ったのか

          あなたは焼き鳥を串から外す派ですか?外さない派ですか? 串から外す人は、きっと 「外しても味は変わらないし、他の人ともシェアして食べやすい」 という合理的な考え方の人なのだろうと思いますし、絶対に外さない人に理由を聞いてみると 「串で食べるのが焼き鳥のロマンでしょ」 みたいな答えが、なかなかの剣幕で返ってきて面白いです。 どちらも一理あるし「好み」の問題なので、各自がなるべく楽しく食べられる方法を選べばいいと思います。これは思想であり根源的な生き方に関わる問題なので妥協は

          串から外された焼き鳥は何を失ったのか

          ユキヒョウ的ものづくり

          2週間ほど猛烈に忙しくて、書く時間がありませんでした。 秋にかけてもっと忙しくなっていきそうですが、すこしだけ間ができたので、自分のための文章を書きたい。息つぎ、息つぎ。 ひと昔まえ、映像制作の現場では 「お前が作るモノがつまらないのは、お前という人間がつまらないからだ」 みたいな尖った言葉が飛び交っていました。まるで戦場です。飲み会といえばコレ。だから、飲み会はもっとも嫌いな「業務」でした。 いま、こんなことを言うと一発レッドカードなので、こういう人はめっきり見なくな

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