マガジンのカバー画像

筆箱の中のペンシャープナー

143
スキの中でも好きなもの。くりかえし読みたいもの。読むと書きたくなるもの。書く前に読む、私のペンシャープナー。
運営しているクリエイター

記事一覧

【短編小説】てのひらの春

このジャンケンに勝ちたい。 祈る思いで、握った右手を左の手のひらで包み込んだ。 目の前で…

さくさく
9か月前
306

「うまいけど、ダメな写真」と「ヘタだけど、いい写真」

作家の岸田奈美さんと16才の男子高校生に写真を教えることになった。二人ともカメラのことも写…

幡野広志
1年前
4,478

浜崎あゆみが『(miss)understood』で暴く本質

2006年1月1日発売、7枚目のオリジナル・フルアルバム。 アルバム発売前のシングルから「変化…

pineapple
1年前
23

相思相愛

「僕と結婚してほしいんだ」 「え? それは、なんで……?」 「なんでって、愛してるから」 …

52

作品を「自分の中に棲まわせる」に共感した、「むしろ自分が棲んじゃう」派の私。

先日、teapotさんが投稿されていたこちらの記事を読んで、首がもげそうになるくらい頷いてしま…

先生、あのね。

先生あのね、 国語の時間、みんなが本読みしている時にわたしが別のページを読んでいたのは、…

mono-graphy
4年前
4

返して、僕らのスーファミ。

市民プールへ、20インチで駆ける。 河川敷の草花は青嵐と共にささくれ立ち、僕たち二人はギヤをあげた。小学生にはちょっとした冒険くらいの距離に市民プールはある。ペダルを漕いで行けば漕いで行くほど、塩素が鼻腔を震わす気がした。 市民プールに行く時は必ず、ブリックの紙パックジュースを一緒に買って、プールサイドで飲み干す。そしてまたプールへ飛び込んで行くのがルーティンだった。けれどその日はなぜだろう。紙パックの両サイドを広げ、畳んだままのパックを彼は体育座りをしながらずっと吸い続け

【れぽ1】知的障害の検査に行ってきた

自分がどうしてこんなにも「バカ」なのか? それがどうしても知りたくて病院に行ってきた。 …

3,025

昭和のかけらを探して

大分県の豊後高田市には昭和の町という愛称で、昭和30年代の商店街を残存、復元している地域が…

久郷ゼロ
2年前
252

香ばしい映画レビュー『花束みたいな恋をした』は壮大な皮肉だったのでは…

そこらへんにいる何事も中途半端で平凡な男女がクソつまらん日常を送りながら惰性で付き合い続…

天使
3年前
4,012

純愛なんか存在しない

いま思えば性格も見た目も全然ちがうんだけど、地元の治安の悪い公立小学校のなかでは勉強がで…

114

あるはずだった恋に思いを馳せて、そっとページをめくろう

「窓から漏れ出る灯り」が、事のほか好きだ。ハリウッド映画なんかでよく見るけれど、主人公が…

henzutsuu
2年前
57

心を凪にする。―弁護士に聞く「批判」への考え方―

Twitterの通知欄にぽこっと数字がついたので、タップする。誰かが私のnoteをシェアしてくれた…

玄川阿紀
3年前
529

おままごとの家出と父の不倫相手。

25歳のとき、うつとパニック障害になって新卒で入った会社を辞めた。それと同時に、家にいることがしんどくなった。母の「元気になってほしい」という要望に応えられるほど私にはエネルギーが残っていなかった。 どこか、遠くへ行きたい。 私を誰も知らないところへ。 無職なのでお金に余裕はない。貧乏旅行をするか、ウィークリーマンションでも借りるか。予算を頭に入れながら、候補地をネットで調べるだけでクラクラした。 無理。今の私にそんな元気はない。こんな当たり前のことすら、できなくなっ