マガジンのカバー画像

好きな記事、好きな小説、好きな文体

225
個人的に好きな記事や小説や文体。個人的に注目している書き手、活動。
運営しているクリエイター

2020年6月の記事一覧

この街の未来をつくるのは、私

この街の未来をつくるのは、私

自分の住む街を、みんなどのように決めるのだろう。
好きな街は、色々ある。例えば、私は京都が好きだ。でも私にとっては、住みたい、ではなく訪れたい街である。

高松はここに住もう!という強い意志を持っているというよりは、色々あってここに流れついて、悪くないから住んでいる、というのが正直なところだ。

コンパクトな街は自転車で大体の場所に行けて、電車もバスも街を網羅し、仕事でも遊びでも困らない。行きたい

もっとみる
【良い人そう選手権優勝者とのアツい夜】

【良い人そう選手権優勝者とのアツい夜】

良い人そうな人…良い人そうな…人…。

私はロータリーに並んでいるタクシーの窓の中をチラチラと覗き見し、ドライバー達の顔を物色していた。

この時、私が降り立ったこの州都は、犯罪が頻発する危険な場所だったと後に知る。

16歳、日本人、155センチ、大きなリュックとスーツケース。

ビッビーーー!!ビーーーーー!!!!

けたたましいクラクションが闇を裂き、そちらをハッと振り返ると、ニヤニヤ笑う白

もっとみる
誰も読んだことのない小説「砂クジラの肌」を知っていますか?

誰も読んだことのない小説「砂クジラの肌」を知っていますか?

もし幻の小説というものがあるならば、そのうちのひとつが「砂クジラの肌」です。

読んだことある人に、会ったことがない。
調べても調べても、わからない。

出版社も、作者のことも、他に同じ本があるのかもわからない。手を尽くして調べても謎。

でも、たしかに面白い。

グーグルも何もヒットしないから、今のところ私だけが知っている小説だと思うんだけど、もし何かわかる人がいたら教えてほしいです。

ふいに

もっとみる

将来のゆめ

大きくなったら5mmになりたいです。

ハーゲンダッツを3日くらいかけて、もぐったり、たべたりしたいからです。

おかあさんにいったら、じゃあピーマンをたべるのも 3日かかっちゃうねといわれました。

それはこまるし、いやだなとおもいました。

ピーマンはにがくて、色もへんだし、きらいです。

おにいちゃんにいったら、じゃあボールであそべなくなっちゃうねといわれました。

それもこまるし、いやだな

もっとみる
おもしろくなりたい(#磨け感情解像度)

おもしろくなりたい(#磨け感情解像度)

先生に指名されたときの珍回答から、センスの光るたとえツッコミまで。教室には「笑われる人」もいれば「笑わせる人」もいて、私はその全員を妬み、羨んでいた。



小学校の六年間も、中学校の三年間も、高校の三年間も、ただひたすら勉強に打ち込む日々だった。何か思い描く将来像があったわけではない。テストで高得点を取れば、みんながちやほやしてくれる。動機はたったそれだけのことだった。

「このクラスで一番良

もっとみる
ミシンとこうもり傘は出会う。

ミシンとこうもり傘は出会う。

都知事選に限らないけど「何かの宣伝になるなら、数百万円は惜しくない」というサイコパス的なことを言う人がいる。中には企業の経営に関わる人まで。

そんなものは「ハック」でも「クレバー」でも「費用対効果」でも、何でもない。ゲーム脳だ。自分が書いたコードで世の中のすべてが動くと考える人共通の感覚は、世界をくだらないRPGに貶めている。

「セキュリティホールを突く」といった考え方に支配されているハッカー

もっとみる
デザインの磨き方 - 造形の質編

デザインの磨き方 - 造形の質編

こんにちは、前田高志(まえだたかし)といいます。株式会社NASUというデザイン系の会社をやっていたり、前田デザイン室というオンラインコミュニティをやっているデザイナーです。主に、ブランディングやコミュニティ事業が得意です。

今日は、「良いデザインを作りたい」という駆け出しのデザイナーに向けに、「デザインを磨くとは?」というところから、その中でも「造形の質を磨く方法」を書いてみます。

「デザイン

もっとみる
-たとえ時代は変われども。食事の味を引き立てる「極上の辛口」を一途に醸す-三千盛 訪問レポート

-たとえ時代は変われども。食事の味を引き立てる「極上の辛口」を一途に醸す-三千盛 訪問レポート

個性豊かな味わいが増え、まさに日本酒は百花繚乱の時代。
日本酒の味を表現する言葉は無数にあり、「辛口ちょうだい」という言葉が失われつつある中、今なお究極の"辛口のうまい酒"を追求し続ける酒蔵があります。

創業230余年、ブレない「極上の辛口」を醸す三千盛

安永年間創業。岐阜県多治見市の地で酒を醸す三千盛さんに伺いました。
日本酒『三千盛』の特徴は、何と言っても"食事の味を引き立てる辛口の酒"で

もっとみる
豊かさとは多くを得ることではなくたくさん「回す」こと

豊かさとは多くを得ることではなくたくさん「回す」こと

「戦争は資本主義が加熱し、奪うことで成長しようとしはじめたときに起きるのだ」

100分de平和論を見て一番印象的だったのは、経済のあり方について書かれた本が半分を占めていたことだった。

ブローデルの「地中海」と井原西鶴の「日本永代蔵」。

一見すると「平和」に直接関係のないように思えるこの二冊から読み解く平和のあり方は、私たちがこれから「成長」にどう向き合うかを考えさせるものだった。

二冊に

もっとみる
カメラにいざなわれて (#カメラのたのしみ方)

カメラにいざなわれて (#カメラのたのしみ方)

「写真が好きで、旅をしているんです」

そんなふうに説明しながら旅をしていると、カメラは随分と遠くまで連れて行ってくれる。

僕は(意外と)引っ込み思案で、すでにできあがったコミュニティの中に飛び込むのは得意じゃない。粗相がないようにせねばと、誰から話しかけてよいのかも分からない。

でも、カメラ片手に街を歩いていると「すてきなカメラですね」とか「日本人ですか?」みたいな会話が始まることがある。

もっとみる
イヌイットの伝承と、叡智の消え去り方

イヌイットの伝承と、叡智の消え去り方

以前、カナダからグリーンランドまで一人で歩いた時、ゴールのグリーンランド最北の集落シオラパルクに定住する大島育雄さんから、一つの伝承を教えてもらった。

グリーンランド最北の村シオラパルクから、海岸線を伝ってさらに北上した場所には、かつて小さな集落が存在した。

その集落の海岸線には、婆さんが海を見つめたまま固まってしまったと伝えられる「石」があるという。

その伝説とはこうだ。

昔々、その村に

もっとみる
日本酒好きにとっての記念日。

日本酒好きにとっての記念日。

先日、日本酒好きのぼくにとって、記念すべき出来事がありました。

タイトル写真にある日本酒本を先月かな、購入したんですね。

千葉麻里絵さんという、日本酒業界の方はもちろん、日本酒愛好家ならおそらく皆んなが知っているであろう、日本酒界のカリスマのような方が書かれた本。(東京・恵比寿で「GEM by moto」という飲食店をされてます)。

結論から言ってしまうと、この本で千葉さんが紹介されていた燗

もっとみる
感じ取り、気づきを交換する世界をつくる。

感じ取り、気づきを交換する世界をつくる。

オーダーメイドというと、自分の好きや欲しいものが明確な人が行うイメージがあるかもしれません。でも私はオーダーとは、自身の世界を深めるためにするのではないかと思います。人から自分はどう見えているのか。自分を捉え直していくようなオーダーは、欲しいものを手に入れることではなく、遠くから歩いてくる自分に出会うような新しい体験です。

とはいえ、何が出るかわからない!不安も多いと思います。
今日は実際のオー

もっとみる
全文公開 『2020年6月30日にまたここで会おう』 第一檄「人のふりした猿にはなるな」

全文公開 『2020年6月30日にまたここで会おう』 第一檄「人のふりした猿にはなるな」

 はい、瀧本です。
 とくに今日は自己紹介する必要もないと思うので、バーッと進めますね。
 僕は話すのがちょっと速すぎるようで、よく通訳が必要とか言われるんですが(笑)、ここに集まったみなさんは頭も良いかと思うので、京大の授業でいつもやっているようにやります。
 はい、ついてきてもらえればと。
 で、今日のこの会場は、東京大学の伊藤謝恩ホールです。みなさん、「伊藤」って誰のことだか、わかります? 

もっとみる